表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
73/199

『クリスマス』

他の皆さんの投稿してるクリスマス話に触発されてふと思いついてしまったのでSSとして投稿する事にしました。

構想1日もないので色々突っ込みどころがあるかもしれませんが……。

心暖かく見守ってくだされば幸いです。



※2014/01/13掲載場所を移動しました。

 ――これは、クロ達が冒険者の街で活動をはじめた後のことである――







 ここはティナの宝部屋……殆どのメンバーにはガラクタ倉庫と思われているが……あいも変わらずガラクタの山で埋め尽くされていた。

 あ、ついついガラクタの山と……。

 まあ、そんな中にこの部屋の主人、ティナが居た。


「おおおおお、これは!」


 彼女が一冊の本……漫画? いや絵本だろうか?……をガラクタの山から掘り起こしていた。

 その表紙には真っ赤なお鼻のあの動物が引くソリに赤い衣装のおじいさんが乗ってる絵だ。

 表題は『クリスマス』と書かれている。

 この時点でクロが近くに居たら、特に何の問題もなく終わったのだろう。

 マユが居たとしたらクロに尋ねて同じく問題は起こらなかっただろう。

 リーフが居たら本を取り上げてこれまた問題はなかっただろう。

 

 しかし、今この部屋に居るのは目をキラキラと輝かせているティナ一人だ。

 さらに間の悪いことに、見つけた絵本は殆ど文字が無い本当に小さい子向けのものだった。

 それを全く予備知識の無いティナ一人で見ると……。


「欲しい物が手に入る魔法の儀式だ!」


 なんて、とんでもない方向に話は進み始めるのである。




 


「あった、赤と緑の靴下!」


 部屋(居住用)に戻ったティナは、棚から靴下をうれしそうに取り出す。

 それをベッドの頭側に飾り付ける。


「これでよし! あとは……寝るだけだ! おやすみなさい」


 …………。


「…………」


 …………。


「…………」


 …………。


「お、おかしい! 儀式が成功しない!」


 ティナはもう一度絵本を見直す。

 そして、うんうん数分うなった後。


「あ、靴下が足りないんだ!」


 ティナは直ぐさま棚にしまってあった靴下を全部取り出しベッドの上に並べる。

 

「これでよし! おやすみなさい」




 そんな様子をいぶかしげに扉の隙間からのぞいてる人物が居た。

 シーナだ。

 もし彼女が、クロやその他のメンバーの部屋をこんなふうに覗いていたとしたら、色々と問題になる。

 そもそも、扉には部屋の住人しか開け閉めできないようになっている(マスターキーなどは別として)。

 だが、ティナの部屋だけは違った。

 誰でもメンバーなら許可なく入れるし、様子を伺っていたとしても問題に思われない。

 なぜなら、ティナが隠れてこここそしてるのを放置すると、とんでもないトラブルとして顕現することがあるからだ。

 トラブルを未然に防ぐ為にも、彼女が妙な事をしてると感じた場合様子を探ると言うのがメンバーでの決まりになっていた。


「何をしてるのよあれ。あれって靴下よね? 何がしたいの?」


 シーナは疑問に頭を悩ますも結局答えは出ず、ティナに聞いてみることにした。

 ティナは基本隠し事をしない(出来ない)から聞いてみればある程度わかるのだ。


「ちょと邪魔するわよ。あんた何してるのよ?」


 シーナがティナの部屋に入ってティナに尋ねる。


「グーグーグー。今は儀式中で寝てるから返事は出来ないよ!」


 シーナは「返事してるじゃない」というツッコミを飲み込み気になった事を尋ねる。


「儀式?」

「うるさいよ! シーナちゃん! 儀式に集中できないじゃない!」


 といってティナは起き上がって、絵本を「これだよ」とシーナに渡して直ぐにベッドに横になる。

 


 シーナは受け取った絵本を読み始める。

 まあ、殆どが絵なので読むだけなら直ぐに終わる。

 それをシーナは10分以上丁寧にみた後おもむろに呟いた。


「これって、レアモンスターの出現記録なんじゃないの?」


 その呟きに即座にティナが反応して飛び起きる。


「レアモンスター!?」


 その顔からは興味津々という思いがコレでもかというくらいにあふれ出ていた。


「これはきっと1年に1度だけ出現するレアモンスターについて書かれているのよ。時間はきっとこれね……12月24日の夜から25日の早朝か……」

「12月24日って???」


 絵本に書かれた暦はこの世界の暦とは違うもので聞いたこともないものだった。

 

「12月……12番目の月? 24日はその24番目? でいいの? となると……これって今日じゃない!」

「本当!? じゃあすぐに行かないと!」


 ティナは準備を始めようとするが、シーナは待ったをかける。


「時間はわかっても、場所がわからないじゃない! まずはそっちを……」

「たぶん、この塔に来るんだよ!」


 ティナは、絵本のページをめくって一つの絵を指差す。

 そこには塔のようなものに入ろうとするおじいさんの絵が載っていた。

 クロが居たらそれは煙突だと突っ込んだのだろうがあいにくここには居ない。

 まあ、常識的に煙突に入るモンスターが居るとは思わないだろう。それを聞いても「何のために」という疑問が出るだろう。


「塔か……この街だと……街の防壁の物見塔ぐらいしかないわよ」

「そこだよ! 今日はこれからレアモンスターを見つけるよ!」

「まあ、暇だったし私もつきあうわ」


 シーナは普通だったらこんなあやふやな手がかりを元に行動したりしない。

 そもそも、「ばかじゃないの?」と言って見向きもしない。まあ、それが普通だろう。

 ただ、問題はコレをティナが見つけてきたことにある。

 彼女が見つけてくるものは、時々妙なものが混ざっているのだ。

 普通じゃないものを見つける嗅覚がするどい……単に興味を示すものが普通じゃないものばかりだという説もあるが……のだ。

 「面白そうな地図を見つけた」と街で買ってきたのは、宝の地図(結構強いモンスターが居たからクロ達でなければデストラップだろう)だったり。

 「面白い壷だよ~」っと手にした壷には妙なものが封印されていたり……トラブルに事欠かないのだ……まあ、ハズレ(何も無い事)も大量にあるのだが……。

 なので、シーナは情報の真偽はさておいて自分の利になりそうな情報がまざっていたら、ティナに結構協力してたりする。


「うん、じゃあ準備して行こう~お弁当は何がいいかな~~~」


 何て言いがら準備を始めるティナ。

 その後ろで。


「この袋、絶対手に入れるわ」


 小さな声で呟くシーナが居た。

 




 そして、その日の夜。

 物見塔に登ったティナとシーナは温かい飲み物片手に周りを探っていた。

 本来の見張り番のおじさんも一緒に飲み物を飲んでいる。

 「レアモンスターの情報があるから……」と言って見張りに加わることには異論が出なかった。

 倒しに来た冒険者が一緒にいた方が、もしそのモンスターが現われても命が助かる可能性が高いからだ。


「ぜんぜんでないね~」

「そうね~まあ、夜は長いしのんびり待ちましょう」


 ティナは少し退屈になってきたのか別の方向を見たりしている。

 シーナは待つことには慣れているのだろうある程度緊張感をもったままのんびりと構えている。




 数時間後……。


「でないね~」

「そうね……」







 一方、M&Mでは……。


 クロが提案した明日のパーティに向けて色々準備が行われていた。

 彼の世界で12月24日に当たる日にやるのがいいとは思ったが、シーナとティナが出かけていたので25日(明日)にやることにしたのだ。


「それにしてもあの二人は何処に行ったんでしょう?」


 マユさんがパーティ用の料理の仕込をしながら、同じく仕込みをしているクロに尋ねた。


「あの組み合わせなら、宝探しにでも行ってるんだろう。まあ、シーナが居るから大きなトラブルにはならないさ」


 クロにとっては、この二人の組み合わせは悪い組み合わせではない。

 ティナとセリカやちびっ子組みの組み合わせだと今すぐ何をやってるか不安にはなる。

 だけど、シーナの場合面倒なトラブルは避けるし、面倒になったら大事になる前にこっちに丸投げしてくるので、ある意味安心が出来るのだ。

 それに、何時も気苦労が耐えないリーフが唯一安心してまかせきりになれたりもする。ちなみに彼女はゆっくりと何の心配もなく大浴場で風呂に浸かって居たりする。


「楽しみですね。明日のクリスマスパーティ」

「そうだな。たまには騒ぐのもいいよな」


 そんな平和な時間が過ぎていく……。









 深夜日付が変わったごろの物見塔。


「……こないよ……ねむいよ……」

「ティナあんたちゃんと起きてなさいよ、あんたが言い出したんだから……ふぁぁぁぁ」

「ZZZZ……zzzz……」


 ティナとシーナは必死に睡魔と戦っていた。

 ちなみに、見張りのおじさんは、一人で無い事に安心したのだろう、一番最初に睡魔に屈していた。








 そして、朝になる。

 徹夜でしぱしぱする目をこすりながら歩くティナが居た。


「うう、あえなかったよ~」


 まあ、眠さよりも残念な気持ちで沈んでいる。


「ちっ、今回ははずれね」


 シーナは舌打ちしながら、空振りに終わった事を悔しがっていた。

 そんなこんなでM&Mへの道を歩いていく。



 そして、二人がM&Mに帰り着き、ドアを開けたところで……。


「ああああ、見つけた~~~」


 ティナが凄い速度で赤い服を着た人物を取り押さえる。

 

「やったよ! シーナちゃん。レアモンスターだよ!」


 彼女がシーナの方に振り返ると、こっそり逃げ出そうとしている姿が……。


「????」


 ティナは疑問符を浮かべるが、背筋にぞくっとした寒気が走りピシリと固まる。


「……ティナ……どういうつもり?」


 よくよく赤い服の人物を見ると……エルフ耳が飛び出していてティナの良く知るエルフの特徴が見える。


「リーちゃん?」

「そうよ? で……訳を聞かせてもらえるかしら? 納得できる言い訳があるのでしょうね?」



 その後……。

 クリスマスプレゼントとして、それはそれは豪勢な『お説教』が二人にプレゼントされる事になった。




 『お説教』のプレゼントが終わってから。

 M&Mのクリスマスパーティが行われた。


 ティナ曰く「クリスマスケーキは涙の味がした」そうだ。

ちなみにパーティの後部屋でティナは大きな赤と緑の縞模様の靴下に入った”本当”のクリスマスプレゼントを発見して大喜びする事になる。


プレゼントの内容は……。


「うわ~~変形合体するゴーレムのお人形だ~~~」


クロが何処からか手に入れてきた。

とあるアニメのロボットのおもちゃだったりする。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ