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異世界に飛ばされた俺は奴隷調教師になっていた  作者: 七瀬 優
第8章 いざ冒険の旅へ!
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第3話 旅のつきもの

ゲームなんかの旅では定番のイベントってあるよね。


予約の日付が間違ってました。

慌てて修正しました。

 冒険者の街へ出発してから1時間、早くも気が緩み始めていた。

 なぜなら、シーナとティナの索敵性能が高すぎるからだ。

 職業的にシーナの索敵スキルが高いのは当然だろう。

 それに加えて、本来索敵範囲が落ちるはずの森の中こそ得意なティナがいる。

 まあ、地元だというのも大きいのかもしれないが……。

 妖精や森の仲間達の協力を得たティナの索敵はシーナに迫るものがあった。


「2時の上空、たぶんキラーイーグル2匹よ」

「え~~~もう見つけたの!? う~ん。あ、本当だ! また負けた~~~」


 まあ、本職のシーナからは一歩負けてる感じだが……。

 敗因は情報伝達速度だろうか?

 妖精たちが見つけたとしても、ティナに伝えるまでにタイムラグが発生してしまうのだ。

 それでも、ずっと負け続けるのは悔しいらしく、ティナが一方的に張り合ってる感じになっている。

 まあ、シーナは殆ど無意識のうちに索敵をする感じまで熟練しているし、ティナが真剣に張り合っているので全く死角がないのだ。


「じゃあ、戦闘じゅん……」

「るーちゃんやっちゃって~」


 戦闘準備しようとした所で、ティナがシルフのるーちゃんに命令して風の刃で羽を切り落とす。

 そのまま、浮力を失ったキラーイーグル達は、墜落ダメージで倒してしまう。

 素材アイテムはシルフのふーちゃんが運んで来る。


 うん、俺達は何もすることが無い。

 ちなみに、近づいてくるモンスターが地上の場合はセリカが突撃して殲滅だ。

 やっぱりやることが無い。


 う~ん、昨日決めたあれは、意味があったのだろうか?



 出発前日の昨日、冒険者の街へのルートなどを決めていた。


「どういうルートで行きましょう?」

「地図が欲しい所ね」


 何て相談してるところに、


「地図なら、この大陸の地図があるよ~~」


 と、ティナがエルフの里から地図を持ってきた。


「うわ、何これ凄く細かいじゃない? 国の軍事機密とかなんじゃないのこれ?」

「え? 普通に倉庫にあったよ~」


 ティナにしては準備がいいなと感心した物の、ティナらしいオチが待っていた。


「この大陸の地図っぽくはあるのですが……なんか色々とおかしくありません?」


 マユさんは何箇所か地図の形を指摘している。

 湖のあるはずの場所に山があったり、森があるはずの場所が砂漠だったり。

 そんな感じの相違点をいくつか挙げていく。


「え? おかしいな。ちゃんとした地図なはずなのに……」


 まあ、ティナの言い分もわからなくは無い。

 凄く詳細な地図で覚えのある地形もちゃんと掲載されているのだ。

 う~ん、何故だ?


「ちょっと待ってください。地図に書かれた街の名前とか色々おかしくは無いですか?」


 レナさんがそんな指摘をする。


「あ、聞いた事もない名前ばっかりね。やっぱり間違ってるんじゃないのこれ」

「えええ~~昔、おじいちゃんに教えてもらったんだよ。凄く正確な地図だって……」


 うん? ()? 

 なんかわかったような気がする。


「あ、この街の名前って、一夜にして滅びたあの伝説の街では?」


 レナさんが指差す街の名前。

 伝説については良くわからないが、この地図については解った気がする。

 まあ、自動更新するような魔法の地図ではなさそうだしな……。

 時間感覚の違うエルフが毎年地図の更新をするような事はないだろうしな。


「つまり、ずっと昔の地図だって訳?」


 まあ、そういうことだな。


「え? 地図ってそんなに変わるものなの?」


 ま、100年とかの単位で考えてそうだからなエルフって……。

 でも、さっきのマユさんの指摘にあった砂漠化した森とか、山脈が湖になるとか、何があったか結構気になるな……。


「ま、なまじ中途半端に正しいからこの地図使うのはやめた方がいいわね。思わぬ落とし穴にはまりそう」


 それには俺も賛成。

 最短ルートだと思ったら、通れずに戻るとかありそうだからな。


「じゃあ……」

「この地図は使えないわね」

「そんな~~~」


 なんてやり取りの後、街道に出て街道沿いの村で色々聞きながら進む事になった。

 森から街道までティナの案内になった所に少し不安を覚えるんだが……。


 あとティナが、


「街道までドカーン! って一瞬でいける方法があるよ!」


 なんて言っていた。

 ダンジョンなんかからの脱出魔法ならそれもアリかもと一瞬考えたが、ドカーンって擬音が少し怖かった。

 頭に浮かんだのは森の中に出来たカタパルトから打ち出される様子。

 これが何気に真実のような気がして否定できない。

 聞いてみればいいのだろうが、他のメンバーが「面白そう」とか言ってやる事になってもたまらない。

 なので、急ぐ旅でもないし、旅の訓練もかねて徒歩で行くって事で断った。

 ついでに、ギルド拠点の利用も2日に1度にする事にした。

 夜営の訓練も必要だと思ったからだ。

 まあ、緊急時は普通に使えるし問題ないだろう。

 少なくとも、ティナの庭ともいえる大森林の中なら危険も少ないしな。

 少しでもこの世界の旅というものになれておくのも必要だろう。



 なんて、決めたんだけど……。

 訓練になってるのかこれ?

 サーチ&デストロイが高性能すぎて、俺、レナさん、マユさんの旅なれてない3人の訓練になってる気がしない。

 まあ、旅なれないメンバーには、ミルファさんやティナも入るかもしれない。

 この二人についてはあんまり旅という面では問題なさそうな気もするけどな……。 


 まあ、そんな訳だから、こんな風に考え事をしてしまうのだが……。

 そして、考えないようにしようとは思ってもどうしても考えてしまうのが、出発の時のティナのあの呟きだ。


(「旅に出る前に――ちゃんに会いたかったな。ここ数日行方不明なんてタイミング悪いな~」)


 う~ん、考え始めると凄く気になる。

 ティナに確認したい。

 でも、確認してしまったら何かイベントが開始されてしまう気がする。

 聞かなきゃよかったと後悔しそうな予感がすごくする。

 う~ん、どうしたら……。


「クロちゃんどうしたの? 何か悩み事?」

「ああ、ティナが出る時呟いてた行方不明の友達ってのが気になって……あ……」


 上の空で考え事してたのがまずかったのか、無意識のうちにティナに返事をしていた。


「え? 何でそんな事が気になるの?」


 う~ん、どうする?

 ここでごまかしても、もうすでに手遅れなきもする。

 あと、ごまかすのも色々と面倒そうだな……。

 しょうがない。


「友達が行方不明って凄く重大なことじゃないのか? 大怪我してるとかあるかもしれないじゃないか」

「大怪我とかだったら妖精さんや精霊さん、あと森の皆が教えてくれるよ」


 うん?

 もしかして俺の行方不明のイメージと何か違うのか?


「森の外に居てもわかるものなのか?」

「森の外に出て行った友達とかは、100年とか連絡が無いのは普通だよ?」


 つまり、森の外に出て行った場合行方が知れないのが普通で行方不明と特に気にする事は無いって事か。

 フラっと旅に出て、フラっと帰ってくるような親戚が俺にも居るが、確かに行方が解らなくても行方不明とは騒いだことは無いよな。


「まあ、森の外の話はわかったけど、それなら何で森の中で行方不明になるんだ?」

「1年ぐらい行方不明が続かないと皆探さないからだよ」


 うん、少し質問と回答がかみ合ってない気はするがまあいいか。


「何で探さないんだ? 行方不明だろ?」

「う~ん、昔は探してた様な気がするけど……皆気にしなくなったんだよ」


 う~ん、もしや俺の感覚で言うと、家族の帰りが遅くても暫く様子を見てみようって数時間待つような物なのか?

 エルフ的にはその待つ時間が1年とか……何気に否定できないかも。

 でも、昔は探してたのか? 何かあったのか?


「昔は探してたって事は、捜さなくなるのに何か理由があったのか?」

「う~ん、1月に数回行方不明になってたら、だんだん皆が探しに来なくなった気がする……なにかあったのかな?」


 うん、お前のせいか。

 まあ後は、エルフに時間感覚と、精霊や妖精なんかが見守ってるから安心って事か。

 変な心配して損したな。


「そうか~特にトラブルって訳じゃないんだな安心した」

「うん、うん。良かったよ」

「あ、そういえば、月に数回行方不明って何やってたんだ?」


 行方不明って、ポンポン成る様な物でもないだろう?


「エルフの試練の裏技だよ!」

「裏技?」

「秘密の裏技でね、裏道を通って気づかれないように森の外に出れたら、怒られたりしないんだよ!」


 うん、何となく読めるなその裏技の意味が……。


「隠れて、油断した隙にこっそりと……って何ども挑戦したんだけど何時も見つかるんだよね。何でだろう?」

 

 それは多分、こっそりと森を出ようとするエルフを牽制する為に、あえてそういう話を流してるんだろうな。

 抜け出すルートが元々ばれていたら成功するはずも無い。

 こっそり抜け出せたとかいう話そのものが作り話だと思うぞ。


「ま、試練に合格したティナにはもう関係ないんじゃないか?」

「そうだね~」





 その後、これと言って問題も無く一週間ほどで大森林を抜け、街道に出る。


「やっと街道に出たわね」

「もう直ぐ街で商売が出来ますね」

「モンスターと殆どあえなくなるな~」

「少しは歩きやすくなるでしょうか?」

「レナ~疲れたの?」


 何て普通の感じ中、一人だけテンションがおかしい奴が居た。


「おおおおおお~森の外だ~~~街道だ~~~冒険だ~~~おおおお~~~~~」


 当然、そんな風に感動してるのはティナだ。

 やっと念願かなって森の外に出たんだからわからないでもないが……。

 この様子だと街とかにいったら速攻で迷子とかトラブルとか起しそうだな。

 う~ん、少し心配だ。



 そんな感じで暫くその場で休憩をしたあと、街道を西に向けて進んだ。

 そして、大きな岩が不自然に幾つも転がった場所を通り抜けようとした時、旅……ゲームなんかの旅ではつきもののあるイベントに遭遇する。


「お前ら~命が惜しいなら逃げようなんて考えるんじゃねえぞ!」


 何て言いながら20人以上のチンピラの様な男達が岩陰から飛び出してきたのだ。


 定番って言ってしまえば定番だが……。

 この面子に対して襲ってくる相手の方がかわいそうになったりする。


 そう、ゲームなんかの旅ではつきものの、盗賊とか山賊の襲撃イベントだ!

次回……盗賊(チンピラ?)の命運は……。

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