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異世界に飛ばされた俺は奴隷調教師になっていた  作者: 七瀬 優
第6章 目覚めたミルファ
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第4話 変わり者のエルフ

更新です。


やっと真のエルフの登場です!

「ここは我々の土地。それ以上踏み込むというなら命を落とす事になるぞ!」


 エルフの男達のはそれぞれに武器を構え、直ぐにでも動き出せる状況だ。

 

 俺達はと言うと……。


 セリカは剣を握り締め今にも飛び出しそうだ。

 シーナは油断なく周りを警戒し、いつでも戦える。

 マユさんは後ろの方で状況にオロオロしている、こういう場面に慣れていないのだろう。


 レナさんは、


「触る事が出来ない草。ミルファの治療には其れが必要なんです! 其れが手に入れば直ぐに立ち去りますから!」


 と、エルフ達を説得しようとしている。


「私達には関係ない。直ぐに立ち去れ」


 エルフの男は問答無用で切り捨てる。


「お願いですから……」


 エルフの男がうるさいと威圧しようとした所で、レナさんを守るという言いつけ通り、ミルファが彼女の盾となる。


 

 まさに、いつ引き金が引かれてもおかしくない緊迫した状況になっていた。

 殺し合いはまずい、ここに来た目的には、素材がなかった時にエルフに知恵を借りるというのもあったのだ。

 現状でその望みがどれだけ残っているかは解からないが、ここで戦えば完全にダメになる事だけは確実だ。


 どうする?


 こう考えている間にも、セリカや弓を持ったエルフの一部が戦いを始めそうだ。

 ここは一旦引こう。

 セリカの我慢もそろそろ怪しい。

 ただ、その前に少し仕込みを……。

 

「それ以上踏み込むなと言う事は、どこかに境界線があるのか? この広い森全部が全部、あんた達の土地ではないのだろう?」

「この結界の内側が我らの土地だ」


 エルフ達のいう結界を調べてみる。

 俺達の場所とエルフ達の場所の丁度中間あたりに魔法探知用のスキルを使ってやっと見つかる結界を見つけた。


「確かに、結界があるな。つまり結界の外を動く分には問題ないと言う事だな?」

「そのとおりだ。我らの土地の外の事は感知しない」

「では、ひとまずこの場は引こう」

「ええ! 触れない草はどうするのですか!?」


 レナさんは非難まじりの声をあげる。


「まずは一旦引け、このままじゃ殺し合いになる」


 俺は、まだ戦いたそうなセリカと、草を手に入れることに未練を残したレナさんを促す。


「ま、今はそれが正解ね」


 シーナはあっさり、納得すると距離をとり始める。

 

「ミルファさん、『命令』だレナさんを抱えて下がってくれ」

「……了解しました……」

「ちょ、ミルファ。私は貴方の為に……」


 レナさんはミルファさんに任せて、俺はセリカ腕をつかんで引っ張る。

 危険な状況は変わらないのでいつでもスキルを使える心積もりは忘れない。

 マユさんは、あ、さっさと離脱したシーナが連れて行ってるな。


 俺達は、こうして、エルフ達との睨み合いから離脱していった。



 しばらく、森を戻ってエルフ達が見えない位置までいくってすぐに説明を始める。

 このままでは、レナさんが許してくれそうになかったからだ。


「まずは、エルフの領域の周囲を探索する。草花は必ず一箇所に咲き続けるものでも無いし、もしかしたら領域外で見つかるかもしれない」

「まあ、同じ森の中なんだから、ありえない事は無いわね」


 俺の意見にシーナも賛成する。


「でも、無いかも知れないです」


 当然の如くレナさんが指摘する。


「なかったら、なかった時だ。エルフ達と一戦交えて彼らの領域に押し入る事を考えればいいさ」

「わかりました」


 よし、レナさんも一応は納得してくれたみたいだな。

 となると次は……。


『シーナ:ちょっといい? 返事はいいわ、これはPT機能の一つでコツがいるから。盗賊ギルドの連絡とかで使って重宝したのよ。それは今はいいか、たぶんエルフ達は今の会話聞いてるわよ』


 突然シーナの声が頭に響く。

 PT機能?

 ああ、PTチャットか。

 一応こっちでも使えたのか!

 

「え!?」

「なに!?」

「???」

「…………」


 あ、シーナが頭を抑えてる。


『シーナ:だから声を出さないように! 会話がもれるでしょ』

『クロ:あーあーテステス。おおお、確かに使えるな』

『シーナ:訓練もなしに何すぐに使ってるのよ!』

『クロ:まあ、使えたんだからいいだろう。それよりエルフ達が聞いてるって話だが、其れはわかってる』

『シーナ:え!? じゃあ何で、あんな所で堂々と作戦会議したのよ!』

『クロ:聞かせるためだよ』

『シーナ:聞かせるため? どういうことよ?』

『クロ:俺達はエルフの領域の周囲を探索する。そのとき偶然、目当ての草を見つける事が出来たら何もせずに立ち去る。もし見つけることもなければ戦いを始めるって伝えたのさ』

『シーナ:それって宣戦布告じゃないの?』

『クロ:そうさ、条件付のだがな。エルフのやつらは排他的で自分達の領域以外には興味を持たないって聞いていたからな。偶然が起きるように手を回すこともありえるさ』

『シーナ:それって……。あいつらが協力してくれるって事?』


 まあ、エルフの特徴云々はWMOでの情報だけどな、こっちでもそう変わりは無いようだ。


『クロ:いや偶然の確率が高くなるだろうって言ってるだけさ』

『シーナ:あ、あんた……。まあ、いいわ。でも失敗した時はどうするの? 本気で戦う気?』

『クロ:そのときはシーナにがんばってもらうのさ』

『シーナ:私に丸投げ!?』

『クロ:色々とアイテムを貸し出すさ』

『シーナ:くれるなら考えてもいいわよ』

『クロ:わかった、そうなったら考えるよ(使い捨てのアイテムを渡そう)』

『シーナ:その言葉忘れないでね』


 俺とシーナでPTチャットで話し続けていた内容を聞いて。


「なるほど~」


 セリカは声を上げてる。

 って、声を出すなよ、PTチャットの意味が無いだろう!?

 マユさんにレナさんは一応は納得してる感じだ。

 方法の是非はともかくとして。


「じゃあ、本格的に探索を始める前に寝床を用意しよう。結構時間が掛かりそうだからな」

「確かにね~でもそれなら、もう少し離れた方がいいでしょうね」



 そんな感じでエルフの森の境界から15分ほど離れた場所に寝床を作ることにした。

 できれば在る程度の空き地があればよかったのだけど、このあたりは木々が生い茂っていてそういった場所が無い。

 探せば見つかるのかもしれないが、それは本題ではないので、ギルド拠点を設置できる広さを作ることにした。

 木々を伐採して土魔法で土地を整えれば比較的簡単に空き地を作れるからだ。


「セリカ、それじゃあこの辺の木を全部切り倒してくれ」

「うん、わかったよ!」


 セリカが斧などではなく、剣を構え木を切り倒そうとした所で、その声が聞こえてきた。


「なになに? 何してるの?」


 好奇心いっぱいで、少し幼さが残るそれは、少し離れた木の上から聞こえてきた。


「だれ!?」


 シーナが鋭く声を発する。


「えい、ととと……」


 木の上から飛び降り華麗に着地を決めたと思いきや少しふらつく少女。

 問題はそんなところではない。

 あの耳、長くとがった特徴的な耳。

 ホワイトエメラルドの透き通った髪!

 すごく整った顔立ち。

 細身の体!

 ついに、待ち望んでいたエルフの少女だ!

 エルフにあるまじき巨乳をもっているが、それもまたいい!


「やっと、エルフに会えた気がする!」

「さっきも会ったでしょ」


 俺の呟きに胡散臭げに目を向けるシーナ。


「で、で? なにしてたの!?」

「ここの木を切り倒そうとしてたんだよ」

「空き地を作るためにね」


 セリカにシーナが付け加える。


「ええええええええ~。木がかわいそうじゃない! それならどいてもらえばいいだけだよ!」


 エルフの少女が凄くびっくりしたように言う。

 というか、どいてもらうって何だ?


「どいてくれるなら楽でいいわね」


 シーナがバカにしたように口にする。

 まあ、言い方はともかく俺も同感だ。


「じゃ、私がお願いするね~森の草木のみんな~少しここを空けて~お願いね~」


 エルフの少女のそんな軽い言葉にあろう事か、木々が動き出す。


「え?」

「えええええええええ~」

「わ~」

「すごいよ~」

「すごいですね」

「…………」


 俺達は一様に驚く。まあ、ミルファさんは変わらず反応なしだけど。


「ね、傷つけなくても、頼めば動いてくれるよ~」


 あ、そうか思い出した。

 エルフ種族限定のスキルで森の自然の力を借りるってのがあったな。

 敵に草や蔦が絡みつき行動を阻害したり、木の実を落としてダメージを与えるとかってやつが……。

 こっちの世界で使うとああなるわけか……。


 

 こうして俺達は先ほどのエルフ達とは打って変わって友好的なエルフの少女にであったのだ。

 一般的なエルフの特徴とは色々と違うけど……排他的じゃないとか、巨乳だとか……。


 可愛いからこの際、全部いい!

次回、異種族交流?

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