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第4話 シーフな少女

第4話まだまだいくよ~

 飛ばされた世界で始めて出会った少女からの有り金全部おいて行け宣言。

 真っ先に浮かんだのがPKいわゆるプレイヤーキラーといわれるプレイヤーだ。

 だがそこで疑問が浮かぶ、PKにしては攻撃がぬるすぎる。

 動きを止めて勧告するとか甘すぎるのだ。

 PKなら不意打ちで最強の攻撃を叩き込み一撃必殺。もしくは大ダメージを与え一気に殺しにかかって来る。

 ゲーム内でキャラクターからアイテムを奪うのであればそれが一番速い。

 キャラが殺されればアイテムがランダムでドロップするのだから。

 また、襲われたプレイヤーにも有り金全部置いていくメリットは無い。PKで殺されても全部が奪われるわけではないのだ。

 そんな事を疑問に思いはしたが頭の隅において反撃することにする。


 だが、立ち上がろうとした時に異変に気づく。

 動けない。確かに麻痺毒は確かに解毒したはずなのにどうして?

「無駄よ、動きは封じさせてもらったから」

 猫のような雰囲気をもった少女は得意げにそう宣言する。

 

 俺は彼女をよく観察する。

 軽装で装備はナイフ。見た目は力よりも速度重視だろう。

 あとナイフには毒が仕込まれていた。搦め手が得意……。

 そうなってくると思い当たる職業はシーフ系の職業それも派生職の暗殺者方面か?

 そのあたりの職業で動きを封じるスキルは毒系以外になにかあったか?

 このゲームでは中々みない搦め手のスキル、必死にシーフ系のスキルを思い出す。

「あ、『シャドウバインド』か!?」

「ふふ、気づいたようねでも遅いけど」

 確かに、『シャドウバインド』や『影縫い』などのスキルは縛っているナイフなどの武器を抜けば治るような簡単な技ではあるが、ソロプレイの時は自分自身の動きが封じられているので抜け出すのは難しい。

 一番簡単な方法は……。

「『サン……』」

 光の魔法で影を消すことだったのだが……。

「させないわ。アンチマジックボム」

 ボンという軽い爆発音のあとに魔法陣が広がる。

 狭い範囲ではあるが一定期間完璧に魔法が無効化されるアイテムだったはずだ。

 マジックアイテムの売ってある店ならよほど品揃えが悪くない限りあるような低レベルのアイテムだが、この状況ではさすがにまずい。

 結構考えられたコンボのようだ。この少女、結構手馴れているな。

「どう? 無駄な抵抗はやめて大人しく有り金渡すなら命まではとらないわよ」

 だがまあ、普通だったら詰みだったんだろうが、ネタさえ解かってしまえば俺には方法はある。

「『シャドウウォーク(M)』」

 『シャドウウォーク(M)』は影を移動するスキルではあるが、使い方によっては影の中にもぐって体勢を変える事も可能なのだ。

 そして、こんな風に影に刺さったナイフも簡単に抜ける。

「な、なによそのスキル。知らないわよ!」

 少女は驚きをあらわにしている。

 やっぱりおかしいPKにしてはあまりに色々甘すぎる?

 PK初心者? にしては手馴れてる部分もある。

 何か変だな。

 まあ、今度はこちらが彼女を捕縛するか。

 このあたりの情報とかも知りたいな。

 『バインドアタック(M)』に『手加減(M)』を重ねがけして一気に間合いをつめる。

「は、はやい」

 少女は慌ててナイフを構えるが遅すぎる。

「『バインドアタック(M)』」

 彼女に攻撃がクリーンヒットする。

 そのまま彼女の袈裟懸けに切り裂き真っ赤な鮮血が飛び散る。

「え?」

 ゲーム内では見たことが無い返り血に俺の思考は止まってしまった。

次回ついにシーフな少女が……

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