表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/199

第2話 商人とメイドさん

何とか今日も投稿できました。

この調子でがんばりたいです。

 なにか嫌な予感がして慌てて店を飛び出してきちゃったけど、買出しには少し時間が早すぎたわね。

 露店もまばらにしか出てないわ。

 今出てる露店を一応見回ってその後は少し時間をつぶした方がよさそうね。

 といっても、どの店も前日の商品の売れ残りを出してる感で、まともな品揃えの店は旅の消耗品などを売ってる店ばかり。

 まあ、日が出てから街を出る冒険者はそれなりに多いからその辺を狙ってるんでしょうね。

 それ以外は……やっぱり待つしかないようね。


 う~ん、どうやって時間をつぶそうかしら?

 朝食は店で食べてきたから食べるのはパスね。

 そうなると……適当に情報収集して何か面白いネタでもさがしますか。



 まずは定番の酒場から……。

 特に急なニュースで盛り上がってる感じでもないわね。

 今の時間無駄話するような暇な人は少ないから次にいきますか。



 次に来たのは冒険者ギルド。

 あら? 何か掲示板の前に人だかりがあるわね。あのあたりはクエストの張り出されてるあたりか。

 ちょっと気になるわ。

 

 よっと、ほっと、そらっと……流れに逆らわず人をよけて進んでいく。

 うん、ここからなら少し見難いけど一応掲示板が見えるわ、さて問題のクエストはどれかしら?

 探すまでもなさそうね、一番目立つ所に張ってあるわ。


『急募:エリクサー

 ランク:不問

 依頼主:セントリナ騎士団

 …………

 …………

 …………

 報酬:1つにつき1000000000G』


 エリクサー1つにつき100000……え?

 1千万G? 違うわ1……10億G!?

 なによそれ10億Gの依頼!?

 そんな報酬額聞いた事がないわよ。

 あったとしてもドラゴンの上位種が王都に向かって進撃中なんかの時に討伐報酬であるかもしれないくらいでしょ。

 アイテム一つに払う額じゃないわよ!

 依頼書を読む限り回復薬の一種のようね、聞いた事もないような薬だから相当珍しいんでしょうね。

 冒険者ギルドの壁際では何人か集まって情報をやり取りしてるみたいだからお金を払えば情報は得られるかもしれないけど……。

 取得に直結するような情報はないでしょうね。

 まあ、帰ったらマユに聞いてみましょう。薬の話だから何か情報をもっていそうだしね。


 その後は冒険者ギルドのカウンターで受付をしてる知り合いの子としばらく世間話をして時間をつぶした。

 まあエリクサーの依頼が凄いという話ばっかりだったけど……。



 冒険者ギルドでいい感じに時間をつぶせたので露店が出ているあたりに戻ってみる。

 うん、露店も増えてにぎわっているわね。

 それじゃあ、掘り出し物さがしをはじめましょうか!


 なんて意気揚々とはじめてみたのはいいのだけど……。

 今日は何かおかしかった。

 掘り出し物が全然無いどころか、全体的に素材の値段が大きくあがっているのだ。

 今日に限ってどうして?


 疑問を持ちながら露店をめぐりを続ける。

 すると掘り出し物を良く出してる顔見知りの露店を見つけた。

 そこでも商品がいつもより高い。


「いらっしゃい。おお、じょうちゃんじゃねーか」

「今日なんか高いけど何かあった?」

「なんかギルドの方で薬の高価買取の急募があったらしい。みんな材料を買いあさって値段が急騰してるみたいだな」

「へ~そうなんだ」


 冒険者ギルドではそんな話出てなかったけど、他のギルドなんだろうか?

 ……うん? 薬の高価買取? ……そういえば、エリクサーに10億Gとかあったわね。

 もしかして、作成レシピのデマが色々と広がってるの?

 もしもそうなら、売り時ではあるけど、買い時ではないわね……今日は諦めた方がいいのかもしれないわ。


「ありがとう。そういうことなら今日はやめておくわ」

「今度何か買ってくれよ~」

「安かったらね」


 なんて挨拶をして露店から離れる。

 


 今日は掘り出し物はなさそうね。

 となると、素材の採取でもして戻った方がいいのかしら?

 でも、この調子だと近場は色々あらされてそうね……。

 かといって今帰ったらセリカにつかまりそうだしね……セリカがどこかに出かけてるとかは無いだろうしね。

 う~ん、本当にどうしようかしら?


「あの、もしかしてシーナさんでしょうか?」


 これから何をしようか考えていた所で後ろから声をかけられた。

 振り向くと、商人のような服を着た男が私に観察するような視線を向けていた。

 私の名前を知っているようだけど誰だろう?

 記憶に無いわね……。


 

 その後私達は、近くの酒場に入ると、簡単な自己紹介をする。その男は外見の通りの商人でSK商会のガンマと名乗った。

 SK商会なんて聞いた事もない商会だし、名前も偽名臭いわね。

 それ以前に外見は商人だけど、気配が商人のそれじゃない。どちらかと言うと私に近い……裏の世界で生きてるような気配がする。商人よりも、盗賊の系統の職業を名乗られた方がまだ納得できるわ。

 

「早速ですが、少々聞きたい事があります」

「知ってる事で報酬があえばね……」

「内容は先日とある商会に持ち込まれた品についてです。貴方とお連れの男の二人で売られた薬の事です。心当たりはあるでしょう?」

「まあ、一応ね……」


 たぶん、あいつがバカ高い薬を売り払った時の話ね……。

 その事自体はともかく、何故そんな事を気にするの? あそこはSK商会なんて商会には加盟してなかったはずだし、私達の情報はただではなかったでしょうに……。

 なんか胡散臭い匂いがプンプンするわね……慎重に行動した方がよさそうね。


「良かった、ちゃんと覚えていらっしゃるのですね。あの薬の事について色々教えて欲しいのです」

「で……具体的には何を?」

「単刀直入に言いますと、入手方法と所持数です」

「つまりあの薬が欲しい人物が居ると?」

「いえ、売ってもらえるのであれば言値で買います。あと、情報だけでも相応の対価を払います」


 言値ね……どれぐらいなら払うつもりなのかしら?

 高そうな薬といえば上級の回復薬ぐらいしか知らないしね……あの時売った金額ですら数千万Gで遥かに超えてたし……。

 何か探りを入れるのに面白い金額はないかしら?

 この国の城の値段とでも言ってやろうかしら? う~ん薬一つにそんな金払うわけないし軽く流されるだけか……。

 私の知ってる最高級の薬の値段って言ったらあいつの売った薬しかしらない……あ! エリクサーがあったわね。あれの値段をぶつけてみるのも面白いかも知れないわ。


「例えば、10億Gで売るといったらどうします?」


 変化は一瞬だったが劇的だった。男は私の言葉を聴いた瞬間その瞳を光らせ……とても商人の物とは思えない鋭さだ……すぐに商人の顔に戻る。

 やっぱりこの男、商人というのは見かけだけね……暗殺者やスカウトの系統の上級職っぽいわ。


「情報がはやいですね、知ってらしたのですか? 今朝ギルドに張り出されたばかりだったはずですが」


 あのクエストの情報はやっぱりもってるか、当然よね。情報はこの男の一番の商売道具でしょうから……。

 ……。ちょっとまって……。何か引っかかるわね……。

 何か凄い勘違いをしてる気がするわ。

 ……。

 あ、10億Gの値段に対する回答が無いんだわ。

 いえ……この男の口ぶりからすると……まさか……。

 そんな事があるの?

 でも……確かめるしかないわね。


「それを知ってるのなら……10億Gにどれぐらい上積みしてもらえるのかしら?」

「10億Gじゃなかったのですか?」

「それなら冒険者ギルドのクエストの方が面倒が無いわ」

「まあいいでしょう。それでは……1割いや2割増しでどうでしょうか?」


 危うく顔に出す所だった……いや出てたかもしれない。ちゃんとポーカーフェイスが成功してると思いたいわね。

 これで確信が持てたわ。あいつが売った薬ってエリクサーだったのね。

 って10億G相当の物を数千万Gで買い取るってあの店どれだけ買い叩けば気が済むのよ!

 1/10以下とかあまりに酷いわね。

 ま、それはともかく今はエリクサーの情報をどうするかよね。

 ギルドの依頼人がこの国の騎士団になってたからエリクサーを国が買おうとしてるのは確かよね。それをこの男は……いやこの男の組織は横から掻っ攫おうとしてるわけね。

 そんな対立の矢面に立ったら幾つ命があっても足りないわね。これは金儲けは考えない方が身のためね。そもそもこの男が払う保証……私が払わせる自信はないからね。


「残念だけど、あんな薬何個も持ってると思うの?」

「確かにそうでしょうね」


 この男何かをつかんでるのか?


「ところで、情報の方の値段はどのくらいなの?」

「それなら100万Gでどうでしょうか?」


 100万Gと聞けば破格に聞こえるけど……実際は成功報酬の0.1%か……こっちは一時的とはいえ払う気はありそうね。もしかしたら広く色々と情報を集めてるのかもしれないわね。

 ただ、本当に重要な情報を渡した場合……情報提供者が消される事はありそうね。となると情報を売るのもまずそうよね。


「それはおいしそうだけど、情報って特にもってないのよね。あ、一つ聞いたのは、あの薬は彼の家の家宝だったらしいわよ。先祖代々受け継がれたらしいから元の入手法なんてわからないって」


 ま、これはでたらめだ。簡単に要約すれば入手法がわからないけど袋に入ってたと同じような意味しかない。

 この程度は簡単に見抜かれるだろうけど……この場をとっとと離れた方がよさそうだからね。


「そうですか。残念です。あ、情報料ですが今手持ちが無いのでちょっと屋敷まで来てもらえませんか? すぐに用意させます」

「いらないわよ。特に実のある情報でもないしね。それじゃあ私はそろそろ行くわよこの後用事があるからね」


 屋敷なんかに連れ込まれたら何が在るかわからないじゃないの。行く分けないでしょ!


「それは引き止めて申し訳ない。また何か思い出されたらこの住所までお越しください」


 男は紙に書いた住所を渡してくる。

 ざっと住所を確認したふりをして、「覚えたわありがとう」紙に手を触れないようにしてその場を去る。



 う~ん、これは相当な厄介ごとに巻き込まれたわね。

 片方がこの国の騎士団だと考えると国家レベルのね……。

 今も、あの酒場を出たところからつけてきている人間が何人か……どれも結構な腕よね。もしかしたら私の察知できてない奴も居るかもしれないから、他にも居るのかもしれないけど……。

 何はともあれ監視されているのは疑いようが無いわね。

 問題はこの後よ、今監視してるやつらが痺れを切らしたら……拉致、拷問、情報吐かせた後に殺害、そんな未来が容易に想像がつくわ。

 どれだけ金になりそうな情報でも今は多数の人間にばら撒いた方がよさそうね。

 最低限私を殺しても情報が秘匿されない状況にしておかないとね。あとは私に対する優先度を落として私に向かって来る敵を減らすか……。

 稚拙な方法ではあるけど……準備なんかしてる時間もないし、ぱっと思いつく中では一番ましな手段よね。それでも相当危険な橋にはなるけど……。

 まあ、そんな事考えてる時間もないわね早速はじめましょうか……。



 その後、冒険者ギルドや酒場、他にも情報を求める人が集うような場所に色々まわりながら格安もしくはただで情報をばら撒いていく。

 内容は……。


 つい最近、エリクサーをとある店に1億Gぐらいで売った人物が居る事。

 その人物がまだいくつかエリクサーの在庫を持っている事。

 その人物は貴重な素材を色々集めていた事。

 材料さえあればエリクサーの調合可能な男が居るらしい事。


 大きくまとめると、この4つ。結構聞かれた事にはできるだけ詳細に答えを返しておいたしそれなりに内容の密度は高いはずよ。

 まあ、微妙に嘘もまざってはいるけど、私たちの事をしらべてる奴らにとってはある程度説得力のある説明のはず。

 内容的にはマユに危険が及びかねないのが問題だけど、あの店の噂があるからそう簡単には手を出す事も無いと思うわ。そもそももう巻き込まれているのだし絶対安全というのはないからね。

 そして、一番狙われるのはあいつだろうしね。

 今回ばかりはあいつの能力を信じるわ。簡単に殺されたりしないでしょう。というか殺されたらこっちがまずいわ。

 できれば思いっきりかき回して欲しい所よね。



 さて、情報もある程度ばら撒いて、監視も少し緩くなってきた所であとは残った監視を振り切りたい所ね。

 最悪でも時間は稼ぎたい。情報の鮮度が落ちるほど価値は落ちるからね。

 となると迷いの森の方がいいわね。あそこなら自給自足である程度暮らせるし。

 あの森の効果は、逃げる事にはうってつけだしね。


 それじゃあ、命がけの鬼ごっこをはじめましょうか。

次回は王宮に呼ばれたクロの話です。



エリクサー

 ゲームでは結構有名なHP&MP全快の回復アイテム。

 この世界では一部の専門家しかしらないような伝説のなかに埋もれたアイテム。

 まだ伝説の武器の方が有名なぐらい。

 武器などの装備品が残るのに比べてエリクサーは消耗品のためレア度が高くなってしまっている。(伝説の武器以上のレア度に……)

 ゲーム内では生産職の隠し職業なんかで作れるようになるが、この世界ではそもそも隠し職業に殆どなれないので生産は絶望的だったりする。

 そんな訳で、シーナはクロと一緒に売りに言った時、高級な回復アイテムとしか解からなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ