第1話 ガロン鉱山
夏休みで少し出かけていて更新が遅れました。
一応ノートパソコンをもって行ったのですが……外出先での執筆は難易度が高すぎました。
まあ、何はともあれ再開です。
よろしくお願いします。
洞窟の中を魔力で出来た頼りない光が薄ぼんやりと照らし出す。
視界は10mもない。まあ、索敵系のスキルで敵を見落とす事はまずないので近寄ってくる敵を見落とす事はないのだが……。
現に今もふらふらと近寄ってきた敵にもうすぐ接触する。
だが、俺みたいに索敵スキルが充実してたり、セリカのように戦闘経験や勘などで補っていたりしない人間にはまったく違うようだ。
キィキィと耳障りな鳴き声を上げながら襲い掛かってきた闇こうもりに、マユさんは「きゃぁ」と悲鳴をあげてしりもちをついている。
まあ、セリカが無造作に一刀両断してダメージとか受けたりはしなかったが……。
「クロさん、もっと明るく出来ませんか?」
マユさんが少し涙目になりながら訴えかけてくる。
今までスキルに問題があって、迷いの森以外殆ど採取などにも出かけてなかったらしいので結構おびえている。もしかしたら、洞窟なんかの薄暗い場所が苦手なのかもしれない。
弱点スキルとか取得したりしないだろうな……まあ、スパルタ特訓で克服させればいいだけか。
マユさんは俺の考えを敏感に感じ取ったのか、一瞬ブルっと身を震わせる。
「出来なくはないけど……そんなことしたらここに来た意味がなくなるだろう?」
今、俺は『ライト(M)』のスキルを使って明かりをつけている。
このスキルはMPを常時消費して光り続けるスキルだ。まあ、消費MPは負担になるほど大きいものではなく、自動回復系のスキルで回復する分よりはるかに小さいので負担も殆どない。
MP消費しながら明るくするんだから照明魔法だろうという意見はありそうだが、何故かスキルなのだ。説明文には確か、近くに居る精霊など、力を貸してくれる存在にMPをささげて協力してもらうとかなんとかあった気はする。
このスキルは、光の強さと範囲をある程度自由に制御でき(強くすれば強くするほど広げれば広げるほどMPの消費は増える)また、魔法でないので魔法禁止の場所でも使えるし、アンチマジック系統の攻撃で無効化されて真っ暗になる事もない。
まあ、欠点は使う時によって光の色が白や赤……はては紫なんて時もあったりするそれさえ我慢すれば凄く便利なスキルなのだ。
「できるならもっと明るくしてください! 昼間のように!」
「だからそれをやったら意味がなくなるっていってるだろうに……」
マユさんは本気で弱点スキル取得するんではないかと言うぐらい暗闇を嫌がっている……いや怖がっているのか? もしかしたら、不意打ちを怖がっているだけかもしれないが……。
それでも、俺はこれ以上明るくするわけにはいかない。いつものマユさんならすぐに解かりそうな気もするがやっぱり彼女は平静じゃないのかもしれない。
「そんなに明るくしたら闇系のモンスターが殆ど逃げ出すでしょ。ここに何のために来たと思ってるんですか?」
「う……それはそうなんですが……」
マユさんはせわしなく視線を動かし、ほんの少しの物音にすらビクっと反応しる。う~ん、これはアンデッドが生息する狩場に行かなくて正解だったかもしれない……危険性以前の問題として……。
この洞窟はガロン鉱山という場所で、名前から解かる通り鉱山だ……廃鉱になってはいるのだが……。
廃鉱と聞いたとき、素材を集めに行くのに廃鉱にいってどうするのかと思っていたのだが、この世界の廃鉱というのはどうやら俺の世界とは少し違っていたようだ。
この世界の廃鉱には2種類あるらしい。
1つ目は俺の世界と同じく、掘れる範囲(採算が取れる範囲)を掘り尽くして殆ど鉱石を手に入れられなくなって廃鉱になる場合だ。ただ聞いたところによるとこれは凄く稀で廃鉱でこれを思い浮かべる人は殆ど居ないそうだ。
2つ目は鉱山にモンスターが出現し占拠される場合だ。まあ、占拠と言っても鉱夫に手に負えない(まともに仕事にならない)ぐらいに増えたら鉱山の権利を冒険者ギルドに渡し廃鉱になるらしい。この世界で廃鉱といえばほぼ此方をさすみたいだ。
モンスターの生息地を増やすのは危険なのでは? と聞いてみたらマユさんは鉱石が取れなくなる方が問題だと言っていた。俺たちの世界で言う資源開発と環境破壊みたいな感じなのかもしれない。
「『セイントストーム』」
今度は数匹で近寄ってきたこうもり達に光の範囲魔法を打ち込む。
打ちもらしたこうもりはセリカが難なく片付けていく。
マユさんはオドオドと小動物のようになっている。PT組んで経験値を公平分配するようにしてるのでレベリングにはなっているが……今度本気で特訓しないとだめかもしれないなこれは……。青い顔をしているマユさんを見ながら思う。
「手ごたえが全然ないよ師匠」
セリカは退屈そうに文句を言うが、それも当然だろう。この辺に居るのはレベル20台前半のモンスターだ。レベル40超えてるセリカには楽すぎる相手だろう。
だが俺やマユはレベル20にもなっていない。特に俺は一桁だった。ゲームだったらもう少し無茶なレベリングもありかとは思うがまあ、できるだけ安全に行った方がいいだろう。
「まずは俺やマユさんのレベルを上げないときついぞ」
「えええ~~~師匠のスキルならドラゴンとかでも倒せそうだよ!」
うん、戦って倒せなくはないと思う。ただそれなりに危険を伴う。そんな無茶をして命の危険を冒したくない。あとは……
「さっきの迷いの森みたいな事になるしな」
「う~ん確かに、私も生き埋めとかにはなりたくないよ!」
俺はガロン鉱山に来る事になった昼前の出来事を思い出す。
それは……。
このごろは、朝飯を食べてM&Mの店を開けた後、マユさんのアイテム作成を見ながら所どころ指導するのが日課になっていた。
今日も、マユさんのポーション作りをぼんやりと見ながらのんびりと店番をしていたのだが……。
「師匠! シーナどこ行ったか知りませんか?」
セリカが店に飛び込んでくると開口一番そうたずねる。
「ああ、今日は朝飯食べたらすぐに買出しにいったぞ」
いつもは昼過ぎに出かけるのだが何故か今日は朝から買出しに出かけていた。
「くぅぅ~また逃げられたよ! 何時も朝は寝てるから昼から戦おうとしてもお昼食べてすぐ出かけるから今日はたたき起こしてでも戦おうと思ったのに! 逃げられたよ!」
このごろシーナの危険察知能力が上がってる気がする。そのうち『直感』なんかの素質スキルでも開花したりしないだろうな……。
「まあ、今日も一人で訓練するしかないんじゃないか?」
「…………うん、師匠! 勝負よ!」
何て言っていきなり剣を抜く。ここでそんな事をしたら……。
「セリカさん! なにをやっているんですか! 外でやりなさい外で!」
うんやっぱりマユさんの雷が落ちた。
セリカもマユには弱いらしい。マユさんを怒らせると食事の内容に直結するからな……。
夕飯がカチカチのパン一つとかは流石にきついよな。
「師匠外で勝負しましょう!」
「ごめんパス」
「えええ~なんでですか!?」
「戦いがかみ合わないって言ってるだろう?」
「それでもいいですよ~やりましょうよ~」
それは俺がいやなんだって……。それにしても今日はセリカは粘るな何でだろう?
…………あ……そういえばここ最近ずっとシーナに逃げられたって聞いてばかりで戦ったと聞かないな。
前に戦ったのは一週間は前になるのか? セリカの我慢もそろそろ限界になりそうなのかもしれないな……なんとかしないといけないかもしれない。
「師匠~~~」
『隷属』のスキルなんかの効果で問題はないと思うのだけど……このまま放置しておくと、限界を超えて暴走しそうな危うさを感じるな、どうしたらいいのだろう?
シーナに『命令』して……短期的には問題はなさそうだけど、セリカがシーナの対処法を覚えたらそれも通じなくなる気がするな。
これは本格的に俺自身のレベリングをしておいた方がいいのかもしれない。
セリカと最初の戦いの時レベル不足を実感してレベリングをしようとは思ったのだが、【奴隷調教師】のレベルを上げる事に対する不安を払拭できずに結局レベル上げが出来てないんだよな。
だけど、こうなってくると……背に腹は変えられないかもしれない。
「あ……材料が……」
アイテムを作り続けていたマユさんが、ポツりとつぶやく。
そっちに目を向けると幾つかの素材が底をついている。これじゃあポーションすら作れないな。
いい機会だし、素材収集もかねてレベリングに行くのもいいかもしれないな。
「レベリングしながら素材を集めに行くか?」
「確かにシーナの買出しだけでは素材は足りませんし、いいかもしれません」
「行く行く! ドラゴンの群れと戦うの? それとも伝説の魔王!?」
セリカ……なんか物凄く不穏な言葉が聞こえた気がするんだが……。
そんな訳で迷いの森に素材集めとレベリングにやってきた。
迷いの森の名の通り、マッピングスキルに妨害効果があったようだけど、俺の持ってるレベルのスキルなら簡単に無効化でるので特に迷う事もない。
入り口あたりはレベル10程度までの敵しかでないので、薬草などの採取をメインにして進んでいく。
奥の方にいけばレベル10後半から20ぐらいまでの敵がでるらしいからレベリングはそこで行う事にしたのだ。
俺の採取系のスキルの為か想像以上に収穫が多くてマユさんは大喜びしたりしながら、奥へ奥へと進んでいく。
結構奥に来たなと思い始めたところで、少しずつ空気が変わってきた感じがした。
霧が出てきた訳でもないのに森の遠くが見通せなくなったのだ。
「視界がわるくなってきました」
「ま、索敵もマッピングも問題ないし気にしなくていいんじゃないか?」
「そろそろBOSSが大量に出てきてくれるとうれしいよ……」
セリカは本当に退屈そうだ。色々と物騒な事をつぶやいている。
その為かどうかはしらないが索敵で敵の群れを発見した。トレインなんかやって集めたような感じで集まっているな。まあレベリングには丁度いいか……。
「セリカ向こうにモンスターが集まってるみたいだから俺が魔法で一掃する援護してくれ」
「ええええ~師匠~私がやりたいよ~少しは戦いたい」
「わ、私はどうしたら……」
「マユさんは後ろから倒せる奴を魔法で倒しちゃって、あとセリカは敵の攻撃から守るのをメインにしてくれ。撃破経験値を稼ぎたい」
本格的にレベリングをはじめるにあたって、最初に幾つか試してみた。
まずPT機能だ。
ゲームだとレベル差が離れるとPT組めなかったり、経験値の分配が出来ないなどのペナルティが発生したりしたのだが、この世界ではそういう問題はないみたいだった。
俺とセリカのレベル差が30以上あるのにちゃんとPTを組む事ができたし、経験値の分配もちゃんと働いていた。
ただ、PT組むと自分が止めさした時は殆ど変わらないが、仲間が止めさした時の経験値は大幅に落ちた。
芋虫型のワームというモンスターで試した所、
俺のソロで倒すと……俺:10EXP
セリカとPTを組んでセリカが倒すと……俺:2EXP、セリカ:10EXP
俺、セリカ、マユさんのPTでセリカが倒すと……俺:2EXP、セリカ:10EXP、マユさん:2EXP
3人PTで俺が倒すと……俺:10EXP、セリカ:2EXP、マユさん:2EXP
と言う感じだった。
なので、俺は仮説を立ててみた。
敵に止めを刺すと撃破ボーナスがあるのではないかと言う事だ。
それで試しに、PTを解散して3人ともソロになった所で、マユさんが素手でワームを叩いてほんの少しダメージを与えた後、俺が『手加減(M)』を使って一気にHPを削り止めをセリカにさせた。
すると、
マユさん:EXP1
俺:EXP2
セリカ:EXP8
だった。
やっぱり、経験値には撃破ボーナスがある感じだ。ついでにダメージ比例で少しもらえるっぽいな。
具体的な数値はわからないけどワームだと撃破ボーナスは取得経験値の7~8割で結構大きそうだった。
もう少し経験値の高い敵で実験してみたら正確な数字が解かるかもしれないのであとで試してみよう。
そんな実験結果から考えた。
そういえば、セリカやマユさんに聞いた話によると経験値の具体的な数値などのデータは知る方法がない様だった。
確かに『ステータス表示(M)』のスキルとか取得してない様なので見る方法はないのかもしれない。
「わかりました~」
「う~ん、私じゃ経験値ほとんどかせげないか……しょうがないか」
マユさんはグッと右手を握り締めやる気をみなぎらせる。セリカは目に見えて士気が落ちる。まあ、セリカなら問題ないだろう。
セリカを前衛、俺とマユさんが後衛のフォーメーションで敵の群れに近づいていく。
どうやら動く木のモンスターのトレントの群れだったようだ。
魔法の射程範囲まで近づいた所で二人に止まる様に言って魔法を使う事にする。
使う魔法は『ファイアーストーム』だ。火の系統の範囲魔法で初級~中級ぐらいのやつだ。
威力に関しては、低レベルの俺の能力では素のダメージだけでは倒せる気はしなかった。だが、特攻効果系スキルや属性効果UP系スキルの重複で弱点属性にはとんでもないダメージが出るのだ。
2倍×1.5倍×2倍×……って感じだ。
ゲーム内では、転職してすぐのレベル1の時は弱点属性の最強魔法やスキルを、素材を使わないバフを目一杯かけた状態でぶっ放していたりして、結構お世話になった効果だ。
「『ファイアーストーム』」
俺のレベルのせいだろう、ゲームで使ってた時と比べてずいぶんショボイ炎の渦で敵を包み込んだ。
火力が足りなかったか? と思った次の瞬間、ガソリンに火をつけたように爆発的に燃え上がる。
「え……?」
「な…………」
「…………」
俺達は絶句し、勢い良くもえていくモンスターをぼんやりと見つめる。
まるで、モンスターが燃料の塊みたいな燃え方だな……いや、実際にそうなのか? 弱点属性にダメージが高いというのは良く燃えると言う事なのか!?
「あ……このままだと火事にならない?」
ふとしたマユさんの呟きに、俺は血の気がうせる。
やばい……慌てて水の魔法を打ち込む。
「『ウォーターボール』」
焼け石に水を地で行くが如くまったく効果が無い。
「師匠まずい気がします」
「奇遇だな、俺もそんな気がする……」
「そんな事言ってる場合ですか? どうするんですか?」
一気に鎮火するしか方法はなさそうだ。
「セリカ、マユさん、俺が魔法で何とかするから発動させるまで邪魔をさせないで」
「解かったよ、師匠」
「が、がんばります」
俺はバフ効果のあるスキルや魔法を目一杯自分にかける。
MP回復アイテムを使ってMPを全快にし、魔力を高める。
体からどんどん魔力や精神力が抜けていくのを感じる。
少し無茶だったかもしれないと思いながら、歯を食いしばり発動させる。
「『コキュートス』」
アイテムなどの触媒や儀式なしで使える氷系最強魔法だ。
爆炎を上げていたトレント達の消し炭や周りの木々を氷付けにしていきながら広がっていく。
そして……。
発動させた方向は見える範囲はすべて氷付けになってしまった。
「やりすぎたかも」
「凄いです! 師匠!」
「大火事になるよりは……たぶん……いいと思います」
そんな訳で……撃破ボーナスを稼ぎながらレベリングするには炎や氷などを使うのはまずいと言う事が解かった。
他の属性も試してみたが、どれも威力を高めたらやばい感じだった。
ただ、唯一光系統の魔法……エネルギーを持った光ではなく浄化の光といった系統の魔法は問題なさそうだった。
浄化の光を弱点とするモンスターと言えば、アンデッドが一番解かりやすいので、アンデッドだろう。
と言う訳でアンデッドでレベリングを考えたのだが、あの系統の即死系のスキルや魔法が怖かったので結局は断念する。
俺やセリカはともかく、マユさんが無防備すぎたのだ。
他にないかとセリカやマユさんに聞いた所、セリカが近くの廃鉱に闇系のモンスターが出ると教えてくれた。
俺達はそれを元にガロン鉱山に行くことになったのだ。
M&Mからガロン鉱山へは迷いの森を迂回するか、突っ切るといける場所にあったので、森の奥まで来ていた俺達はそのまま鉱山を目指した。
といった事があって、この鉱山に来たのだが、結果的には正解だったかもしれない。
『セイントストーム』の魔法は鉱山などの環境にはまったく影響を与えず敵だけ倒す事ができたし、敵を解体して素材もそれなりに手に入る。
「うわ~幻惑石がこんなに沢山!」
普通の鉄などの鉱石だけでなく幻惑石などの魔力を帯びた鉱石も結構みつかったからだ。
ただ一人、「つまらないよ~」と退屈そうに近寄ってくるモンスターを叩き切ってるセリカ以外は……。
俺達はそのまましばらくレベリングを続けた。
結局この日は鉱山の奥まで行った為だろう、俺がレベル13、マユさんがレベル19まで上がった。セリカはレベルの変動無しだ。
まあ、最終的に鉱山の奥で戦ったのはレベル20台後半~30台前半の敵だったからな……。恐ろしい速度で上がったのはそのせいだろう。
なんて思っていたのだが……。
戻って確認すると、『奴隷取得経験値UP』『奴隷取得経験値プール』のスキルを取得していた。
もしかしたら、この効果もあったのかもしれない。
あと、『隷属』に呪縛に上書きする効果が追加されていた。
『隷属』弱らせた人属性キャラクターを100%の確率で隷属させる。
呪縛されている対象の場合呪縛の効果を従属の効果が上書きする。(NEW)
これは、モンスターテイムの方で見た事がある効果だった。
確か、洋館のアリスをテイムする時に通常の効果だけではできなかったのだ。
昔住んでいたご主人様の呪縛で……とか言う理由だったはずだ。
それを上書きするために確か呪縛に上書きする効果が必要だった。
洋館のアリス他一部のモンスターのテイムは、この効果が追加されるテイム系の職業を選ぶようにと攻略情報で見た覚えがある。
そして次の日の朝、M&Mを開けてすぐ俺にお客が来た。
豪華な馬車を店の前で止めて、中からどこかのお屋敷の執事って感じの人が降りてきたのだ。
彼は俺に手紙を渡すと返事を待っている。
居心地の悪さを覚えながら俺は手紙を読む。
手紙の内容は王都の城まで招待したいと言うものだった。
だけど、絶対に来いという強制を感じるのは気のせいだろうか?
執事さんがついていくと言う返事だけを待っている気がする。
う~ん、何のようだろう?
知り合いなんて居ないはずなのだが……。
それに凄く面倒な予感がする。
でも……断ったとしたら、もっと面倒な予感がするんだよな……。
マユさんに聞こうとしたら「お城からよばれるなんて凄いです!」なんて目をキラキラさせている。
セリカは店の奥から出てこない、何かあるのかもしれないな……。
結構迷ったが結局おれはそのままついていく事にした。
何かトラブルに巻き込まれても手加減無しでスキル使えば力づくで何とかなる自信があったからだ。
そうして、迎えの馬車にのって城に向かう。
あ、そういえばシーナが昨日戻ってこなかったな。どうしたんだろう?
『調教』の効果でステータスを確認してみるが、特に問題はなさそうだった。
う~ん、帰ってくるとまずい予感でもしたのだろうか?
まあ、セリカが帰ってくるのを待ち構えていたからあながち間違えでもないかもしれないけど……。
次回は、シーナさんの話です。
幻惑石
幻を見せたり幻惑したりする系統の魔力がこもった石。
迷いの森の効果は幻惑石の取れる鉱山の近くにあるからという説も……。
鉱山で迷わないのは比較的道が単純だからと言う事だ。
本当なのか?




