表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/199

第6話 弟子が出来ました

お盆に急用が入り、しばらく更新できませんでしたが再開です。

今後の予定がまだまだわからないので、少し更新が不安定になるかもしれません。

 う~ん、どうしたものか?

 ちょっと卑怯なスキルを使って圧倒しすぎたのか?

 セリカは、うつむきながら肩を震わせている。もしかしたら泣いてるとかじゃないのか?

 やりすぎたのか?


 考えてみたら勝つ必要もなかった気がするな。

 かといって、明らかに手を抜いても見切られるだろうし……。

 命を落とすとか大怪我とかも避けたかったしな……。

 ただ、酷いダメージ受けずに負けるとなると、今の能力では相当な無茶をする賭けになるだろうしな。

 ゲーム内のステータスの部分はレベル差の関係でスキル補正込みで大分下だろうからな。

 他のパッシブスキルの効果でなんとかしのげるレベルに底上げできたって感じだったな。

 逆にスキルの勝負になればこっちが圧倒していたからな。

 問題は、『手加減(M)』が効く確信が持てなかった事と、搦め手関連が効きにくかった事だな。この二つのうち一つでもあればもう少し違った形にできただろうけど……。

 『属性を統べるモノ(M)』で圧倒するのは、ちょっと卑怯すぎる気がしたんだが……それはまあこの際気にしないで置こう。ただ、何故か知らないけど、直感的に使うのを避けようとした気もしないでもないんだよな……なんでだろう。


 あとは……。

 ステータス外の能力が圧倒的に不足してたな。

 実戦というものの経験値がほぼゼロだったからな。

 最低ラインとして痛みになれるとか駆け引きをある程度身につけないといけないだろうな。

 そうなってくると、モンスターと戦いを重ねるしかないか……。【奴隷調教師】のレベルがあがるのは少し不安だけど、素のステータスの底上げと、戦闘経験の蓄積は必要だろうしな……。


「あの……彼女だいじょうぶなのですか?」


 マユさんの心配げな問いかけに我に返る。

 うん、現実逃避している場合じゃないよな。

 まずは、セリカを何とかしないと……。あと奴隷の事も色々説明しないとな……。


「だ……だいじょうぶか?」


 恐る恐るセリカに声をかけようと肩に手を伸ばしたとき、セリカが突然顔を上げてる。その表情は目をキラキラ輝かせ……。

 え? 目を輝かせ?? なんだろう……嫌な予感しかしない。

 俺は一歩、二歩と後ずさりをしたのだが……遅すぎたようだった。


「師匠! 弟子にしてください!」


 セリカは、なんか凄く期待に満ちた表情でそんな事を言ってきた。

 ああ……この展開は予想してしかるべきだった。

 多少の大怪我をしてでも、死なない程度なら負けておいた方が良かったのかもしれない。エリクサーもあるし回復に困る事はなかったはずだ……。

 なんか、物凄い厄介ごとを背負い込んだ気がする……。



 そのまま庭で話し込むのもあれだし、M&Mの応接室(商談用の小部屋)に皆で移動した。


「弟子にしてください!」


 セリカが開口一番そう頼んできた。

 う~ん、簡単には諦めそうにないな……。

 でも、まずは……。


「その前に、説明しておかないといけない事がある」


 俺はそう前置きして、【奴隷調教師】と奴隷の事について説明する。



 セリカは真剣な表情で俺の話を聞き終わると、


「話は解かりました。それは気にしないでください。師匠にとって弟子など奴隷といっしょです!」

「…………」


 この世界の師弟関係って……もしかして、パシリとかそういった感じなのか!?


「お話も問題ないみたいですので……改めて、弟子にしてください!」


 どうしたらいいんだ?

 

「どうして、俺の弟子になりたいんだ?」

 

 まあ、聞かなくても解かる気はするが……いい考えが出るまでの繋ぎだ。

 何か断る口実を見つけれるかもしれないしな。


「最後に使ったスキル……『属性を統べるモノ(M)』でしたか……あれが【ロードナイト】につながっている気がしたのです!」


 予想とは違った答えが返ってきた。

 てっきり圧倒されるほど強いからとかそういったものがくると思ったのだが……。

 ふと、シーナの方に視線を向けると「あちゃー」って感じで顔に手を当てていた。

 なんとなく、言いたい事は解かる気がする。

 【ロードナイト】狂いの彼女が、【ロードナイト】関連の手がかりを手放すとは思えないからな。

 それにしても、『属性を統べるモノ(M)』を使うのに気が進まなかった本当の理由は本能的にこれを危惧していたのかもしれない。

 幼馴染のアイツにアレ関係の話題を振るのは自殺行為だと、体の芯まで刻み込まれているからな。

 それに、『属性を統べるモノ(M)』は【ロードナイト】の手がかりになるのは確かだしな。というか前提条件だけどな……。

 オタクとかそういう人種の嗅覚は侮れないな。


「解かりました。奴隷として一緒に暮らしながら師匠に弟子として認めてもらえるようにがんばります!」

「…………」


 う、確かに奴隷としてしまったんだから、一緒に生活する事になる……。

 と言う事は……弟子にするまでエンドレスでこれが続くって事か!?

 マユさんの方に目を向けると……。

 「がんばってください」と目が語っている。

 シーナの方は……。

 半分疲れた顔で半分は笑いながら、「あきらめなさい」と言うのがひしひし伝わって来た。今までの苦労とそれを俺に押し付けられたと言う喜びが手に取るように解かった。

 う~ん、奴隷に主人が縛られている気がするのは気のせいなのだろうか?

 本来逆のはずなのに……。



 その後、説得、いやがらせ、実力行使……などなど……色々やってみたのだが……。

 セリカはどんな事も試練として受け止め嬉々として超えていく。

 先に根をあげたのは俺の方で、1週間持たずに5日でセリカを弟子にする事になった。



 さて、セリカを弟子にしたのはいいが、なにをしたらいいのかがさっぱり解からなかった。


「師匠! 勝負ですよ!」


 セリカは事あるごとに戦いを挑んでくるのだが、毎回毎回命がけの戦いなんてしたくはない。


 そこで、ゲーム内の決闘用アイテムを作る事にした。

 ”決闘の結界水晶”と言うアイテムで中ではどれだけダメージを受けてもHP0にはならずHP0以下になるダメージを受けた時に勝敗が決定する。それに加え終了後は開始時の半分までHPとMPが回復する優れものだったりする。

 まあ、ゲーム内では主に、PKペナルティなしで転職条件のPvPがらみをクリアなどといった事に使われて本来の目的にはめったに使われてなったのだが……。


 だが、決闘の結界水晶を使って戦ってみたのだが……。

 俺とセリカの戦いがまったくかみ合わなかった。

 単純に俺のスキルをどれだけ制限するかで勝負が決まってしまうのだ。

 セリカの使えるスキルのみだとまったく勝負にならずに負ける。

 俺のスキルをフルで使えば俺が圧倒する。

 スキルの種類で調節しようとしても、圧倒的に勝つか負けるかの2択でいい勝負が出来なかった。

 かと言って、最初に戦った時のような戦い方はセリカが怒るし、持久戦になって最終的にスキル次第になる。

 セリカは圧倒的に負ける条件で戦い続けたそうだったが、それは俺の精神衛生上悪いし、俺自身がステータス以外の部分でますます弱くなる。



 そこでシーナにお仕置きをする忘れていたと思い出す。

 で……試しに、戦わせて見た。



「ちょ、この結界逃げれないじゃない!」

「勝敗がつくか制限時間になるまで範囲外には出れないぞ」


 必死にセリカの攻撃を避け続けるシーナ。

 本当に楽しそうに剣を振るセリカ。


「これなら戦いから逃げられる心配はないよ!」

「ふざけるな~! これ殺される!」


 シーナが悲鳴をあげる。


「大丈夫だ、その結界の中で死ぬ事はない。勝負が終わればHP&MPは最初の半分までは回復するし、決闘中にうけた状態異常はすべて治る」

「じゃあ、別にまけてもいいんじゃないの」


 シーナが力を抜きわざと負けようとする。


「ただ、死なないだけで死ぬほど痛いぞ」

「って、そういうことは早く言いなさい!」


 慌ててセリカの攻撃を避ける。


「本気で勝負だよ! シーナ!」

「そんなのやってられないわよ~」


 全力全開で襲い掛かるセリカ、その攻撃をことごとくよけていくシーナ。

 

 丁度いいライバルが見つかってよかった。

 俺はほっと胸をなでおろすのだった。

次章は、しばらく前の行動が思わぬトラブルを招きます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ