第1話 お祝い2nd
更新です。
今度は、プールを作ります。ちびっ子達念願のプールです。
さて、どんなものを作り上げるのか?
※毎日更新4日目。
死者の都(跡地)からは、一泊二日の日程で戻ってこれた。行きとは大違いだ。馬(?)による自動操縦がどれだけ高性能か分かるな。
逆に行きがどれだけ無駄が多かったのかも……。
そんな感じでM&Mについたのは、夕暮れ時、馬車から降りた時の真っ赤な夕暮れが綺麗だった。
店に入ると、レナさんが店じまいの準備を始めている。
「あ、お帰りなさい、クロさん、セリカさん、ティナさん。宴会場でマスター&昇格のお祝いを他の皆さんで準備中なので、先に旅の汗を流しちゃってください。お風呂から上がるころには準備が終わっていると思います」
ああ、ギルドチャットで報告とかしてる時にそんな事言ってたな。
セリカが【聖騎士】マスターした時に、【闇騎士】になれなくて延期したやつだな。
そういえば……お祝いの品用意してないぞ、どうしたら……。
「皆と準備があるんだった~先に入ってて~」
ティナは、なにやら準備とかの為にどこかに駆け出してしまった。何の準備だ?
皆ってのはちびっ子達でって事だと思うんだが……。
「では、私は部屋に荷物を置いてからお風呂に行きます。ではまた、師匠」
「おう」
う~ん、本当にどうするか?
セリカだけじゃなく、ティナの分も考えないとダメになったからな。
よし、セリカは、訓練場の建築のための決闘の結界水晶でいいか。一番喜びそうだし、皆の訓練にも使えそうだからな。
ティナの方は……WMOのマイホームの倉庫に埋もれてるネタアイテムがあればどれでも喜びそうなんだがそれも無いしな。
何がいいか。ここは、GPで何か面白そうなものを買ってお茶を濁そう。
そうだ、あれなんかが良いか? 今回のティナの行動のお灸も据えれるし。うん、確かあったはずだ。
その後、GPであるものを交換しお風呂に入って一息ついた所で、準備が終わったと狐っ娘姉妹が呼びに来た。
「…………(じゅんびできた~)」
「…………(はじめるよ~)」
「おう、わかった」
宴会場に行って見ると、飾りつけなどがされており、ステージの所には『セリカちゃん、マスター&昇格おめでと~。ティナちゃん、マスターおめでと~』なんてつり看板が準備されてたりするし。
結構本格的ぽいな。
並べられたテーブルにはまだ料理が並んでいないが、ワゴンみないなのが廊下に幾つもあったから後で運び込むんだろう。
「すごいです!」
「わ~~」
「よくも、ここまでやったな」
「ニャフフ」
「ワン!」
「…………(いっぱい)」
「…………(がんばった~)」
他のメンバーはもうテーブルのそれぞれの席に座っている。
「ま、こうしていてもしょうがないから、始めるわよ~皆中に入って~」
シーナがセリカとティナを上座に案内する。
ちびっ子達は、他の皆にクラッカーを配っている。結構気に入ったのかこれ。まあいいか。
俺はあいていた座布団に座る。
「じゃあ、始めるわよ~。クラッカー準備して~」
シーナの声にあわせて皆でクラッカーを構える。
「ティナはマスター、セリカはマスターと【闇騎士】昇格、おめでと~~~」
「「「「「「おめでと~~~」」」」」」
パン、パン、パンとクラッカーのなる音と共に皆でお祝いの声を上げる。
「あとかとうございます」
「ありがとう~」
セリカとティナもそれに答えている。
「これお祝いね。セリカ、あんた【ロードナイト】に後一歩まで来たわね」
シーナが長期保存用の携帯食糧の詰め合わせをセリカに渡している。
「はい、あと少しです!」
直ぐにでも【闇騎士】マスターして【ロードナイト】に~とか考えていそうなので、
「だが、転職方法がまだ見つかってないからな。【闇騎士】マスターしたら弱点の強化の為に他の職業しながら探すとかになりそうだな」
一応マスターした後の事を考えさせておく。まだ、転職方法探すって難題があるからな。
「はい、師匠! がんばります!」
「で、俺からは、訓練場作るための決闘の結界水晶だな。建築する時に言ってくれ用意するから」
「あ、ありがとうございます!」
セリカはすごくうれしそうにしてるな。やっぱり欲しかったんだろうな。
「で、今現物で渡さないの?」
「まだ作ってないんだよ」
シーナの突っ込みにそう返しておく。
「ティナ、これで【森の守護者】マスター……あれ? ティナ何処行きました?」
リーフさんがティナにお祝いの言葉をかけようとしてティナが居ない事に気がつく。
あれ、ちびっ子達も居ないぞ。何時の間に居なくなった?
そんな事を考えてると、廊下の方でガラガラガラと台車かなにかを動かしてる音が聞こえてきた。
「なんでしょう?」
レナさんが不思議そうに廊下の方に目を向けている。
「私が様子を見て――」
「なんか予定がくるっちゃったけど、皆じゅんびはいい?」
「ニャ!」
「ワン!」
「…………(コクコク)」
「…………(コクコク)」
ティナが台車の着いた大砲のようなものを持ち出していた。
ただ、砲があるべき場所に超巨大なクラッカーが乗っかっているのだが。
「じゃあ、テンちゃん、チーちゃん。目標セリカちゃん!」
天狐と地狐がハンドルのようなものをクルクル回し始める。
「…………(ほうこう、よ~し!)」
「…………(かくど、よ~し!)」
「じゃあ、ポチちゃん、タマちゃん、はっしゃ~~~」
タマとポチが、紐というより縄とかロープって行った方がいい様な太さの物を引っ張る。
「え~い――」
「――ニャ~」
次の瞬間。
クラッカの音とは思えないズドンという音と共に、大量の紙ふぶきがセリカを襲う。
「うわ~~~~」
その衝撃で吹っ飛ばされるセリカ。
「おめで、と……う……」
「おめでとうニャ?」
「おめでとう……ワン」
「…………(おめで……と……う……)」
「…………(おめ……で……と……う)」
そんな彼女にお祝いの言葉をかけるちびっ子達の後姿には大きな冷や汗が浮かんでいるような気がする。
「おめでとうじゃありません! 何をしているんですかあなた達――」
真っ先に反応したのはリーフさん。ちびっ子達のお母さんって感じで雷を落とそうとしたが、それをセリカの声が遮る。
「す、すごいです! 何ですか今の! 戦いに使えそうです!」
感想がおかしい。もしかして、武器かなにかだと勘違いしてるのか?
「う~ん、これ使い捨てだし高いから戦いには使えないよ~」
ナチュラルにそんな返事をするティナもすごいが。
「そうですか……」
「あ、でも一番大きいのはないけど、一つ下の特大サイズなら残ってるよ~お祝いにセリカちゃんに上げるよ~」
そんな事をいいながらステージの袖の所に隠してあった特大サイズのクラッカーを持って来る。
あれ、前に使おうとしていたのを止めた巨大クラッカーだ。
「ありがとうございます」
それをうれしそうに受け取るセリカ。
「――――ふぅ、主役が喜んでいるようだと怒るわけには行きませんね」
それを見ながら複雑そうな顔をしているリーフさんが印象的だった。
ちびっ子達、セリカに救われたな。
クラッカーの紙テープなどをかたずけた後、テーブルに料理を並べて皆で食べ始める。
ああ、料理が用意されてなかったのはクラッカーの紙テープなんかが料理にかからないようにだったか。
「これは、お祝いの品であります! 受け取って欲しいであります!」
アンがお祝いに渡したのは、セリカとティナ二人とも採取用のナイフだ。前に俺が教えた奴だな。だけど、結構いい感じの品質になってるっぽい。
「ありがとう~」
「ありがとうございます」
他のメンバーもお祝いの品をそれぞれ渡している。
俺は、セリカに決闘の結界水晶、ティナにビックリ箱だ。
ティナに渡した、ビックリ箱は、GPで購入したもので、普通に開けるとパンチグローブが飛び出してくる奴だ。罠を解除すると中身が取れるように成っているが気づくだろうか?
ちなみに中身は、ソウルキャンディ引換券(500個分)としておいた。
シーナは、携帯食糧の詰め合わせを二人に渡していた。何気にかさばらずその上、数年持つ優れものらしい。
マユさんは、回復アイテムセットだ。
レナさんとミルファさんは、何かの本の様なものを渡していたがあれは何だったんだろう?『腐っていないと良いな』そんな言葉が一瞬脳裏に浮かぶが気にしない事にした。
リーフさんは、草で編んだコートみたいなのをセリカに渡している。ティナには、手作りの弓矢セット。
ティナはすごく微妙な顔をしていたな。
狐っ娘姉妹は、教えたとおり、特製氷菓子を振舞っていた。うん、フルーツ盛りだくさんのカラフルなシャーベットになっていたな。ただ、量が多すぎたので皆で一緒に食べた。
味も結構美味しかった。女性陣(俺以外)には大絶賛されていたが……甘いモノには目が無いからな……。俺も好きだけど、氷系は頭がツーンとなるのがな……。
タマとポチは、街で買って来た干し肉と干し魚だった。
渡す時、精神力を振り絞って干し肉や魚から手を離してるのが印象的だった。
そんな感じで、料理も食べ終わり、シーナが酒を取り出してきたあたりでリーフさんがティナに声をかけていた。
「そういえば、ティナあなた昇格はどうするつもりですか?」
「え!? あ、そうだプールの相談があったんだ~皆~コアのところで相談だ~セリカちゃんも来て~~」
なんか急に慌てた感じでセリカとちびっ子達を連れてギルドコアの部屋に走っていってしまった。
「いきなりどうしたんだティナは、何かまずい話でもあったのか?」
俺がそう声をかけると、リーフさんは少し苦笑いを浮かべて答える。
「あの子の昇格先ってどんな感じの職業かわかります?」
「う~ん、よくわからないな」
順当な所でそのまま上位互換か?
「分かりやすく言うと、弓に特化する職業か、精霊との関係に特化した職業か、両方を兼ねる職業なんです」
ああ、ティナの場合はその時点で1択になってるな。
「それであの子は、精霊に苦手意識を持っていますから……結果的に乱用されるよりは良いのですが……」
「苦手意識?」
リーフさんの話だと、精霊は妖精達と違って秩序とか規律を大事にするようなのだ。
世界のバランスを整えるとかそういった事をしてる感じみたいだ。みたいとかあやふやな表現なのは、リーフさんがその辺言葉を濁していたからだ。
正確なことは知らないのか、秘密にされているのかそんな所だと思う。
で、ティナの精霊に対して持っているイメージってのが、すごくお話(お説教)が長いおじいちゃんって感じみたいだ。
う~ん。苦手意識持つのも分かるような気がしないでもない。
ある時期に行われるお祭りのような時に数日間、話を聞き続けるらしい。
本当の内容は、数日間精神を集中して精霊の言葉を聞くイベントって話らしいけど、特に問題なく聞けてしまうティナはその間ずっと長話に付き合ってるみたいなのだ。
ついでに、里の長の選定条件が精霊の言葉を最も良く聞くことが出来る者で、次代かその次の代かもしれないが、ティナは最有力の候補らしい。エルフの里の存続の危機だな。
そんな感じで、本当に、もう、どうし様も無くなった時以外は精霊の力を借りないようにしているらしい。そういえば、今の職業でも力を借りる能力はあるんだよな確か。でも、一度も使ってるのをみた事が無かったな。
最後に、それだけティナが精霊を避けているのに、向こうの方から嫌われたりしないのかと質問をしたら。
あの儀式の時は律儀にちゃんと話を聞いているし、私達のエルフの感覚でめったにと言っても、精霊とは時間感覚が全然ちがうでしょうし、頻繁に話してると思ってるのではないでしょうか? なんて答えが返ってきた。
納得の理由だ。それと、ティナと精霊の間に色々すれ違いを感じるが……今のままの方が世界が平和なのかもしれない……。
そっとしておこう。
「うう~ごめんだよ~」
「酷いニャ! 忘れてたニャ!」
リーフさんの話がちょうど終わった所で、ポチとティナが戻ってきていた。あれ? なんか様子がおかしいな。
「今度は忘れないようにするから許してよ~」
「お土産、私のだけ忘れてたニャ!」
ああ、そういえば、お魚をお土産にするとか言ってたな。
帰りに寄ればいいって川の近く通った時に魚とらなかったんだよな。「鮮度が大事~」とか言って。
そういば、馬の自動操縦ですっかり忘れていたな。
ついでに、他のちびっ子達の分も忘れていただろう。ただ、行きに狩りをした分があっただけで……。
「う~。それじゃあ、あ! さっき、いい物を見つけたんだ! プールに追加しよ~!」
「いいものニャ?」
「うん、だから戻るよ~」
「わかったニャ!」
仲直りは出来そうか?
でも、プールに追加って何だ?
庭のプールとか、学校のプールとか遊園地のプールとか一覧から選ぶだけのはずだぞ?
う~ん、少し嫌な予感がするから念の為、あれを作って置くか。
水難事故とか怖いしな。
次の話はついにプールが出来ます!
さて、どうなる事やら……。
ビックリ箱
見た目は普通の宝箱のネタアイテム。
普通にあけるとパンチを受ける。
しかし、ちゃんと罠解除して開ければ中身がとれる。
ちなみに、罠の難度はすごく簡単です。
クラッカー
使い捨てのパーティグッズ。
何気に戦闘にも使えたりするネタアイテム。
効果は、対象にスタン小(クラッカーの大きさで効果が上昇する)、火属性効果微小UP、行動阻害極小
大きな音でびっくりするし、紙テープまみれになるとうっとおしいし、火をつけると簡単に燃えるかららしい。
謎の本のようなもの(レナさんとミルファさんが渡していたブツ)
レナさん自作の同人誌。
ミルファさんはアシスタント。
中身は、18禁ではあるが腐っては居ない(セーフ)。




