第6話 その先にあったモノ
毎日更新2日目です。
1月ぐらいは続けたいけど、続くのだろうか?
※2015/08/17
投稿順変更で投稿日時が変わっています。
隠されていた穴、まずは罠などが無いか調べて見る。
「どうやら、見た範囲では罠はなさそうだな、深さは――」
近くに落ちてた小さな瓦礫を投げ入れる。
ヒューーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーコツン。
「う~ん、良く分からないけど、10mはありそうだ」
結構深い縦穴だな、一応ハシゴが壁面の一つに備え付けられてるから降る手段はあるんだけど……。
う~ん、罠が怖いな地味に。
ハシゴの一番上の段を叩いて感触を確かめてみると、中身が詰まっていて居そうな音は、するんだけど……。
念の為、ロープで降りながら罠をチェックした方がいいかもな。
トラップじゃなく、単純に経年劣化で天然の罠になってる可能性も否定できないし、何て考えてるとティナが声を上げる。
「よ~し、それじゃあ突入だ~」
そのまま、穴のふちに手をかけて――飛び降りようと身を投げ出す。
「って、まて! ティナ!」
俺は慌ててバカの襟首をつかんで止める。
「ぐげぇぇ。く、クロちゃん、く、首が、し、しま、絞まる、ぅぅう」
そのまま無理やり引っ張り上げ地面に投げ出す。
「う~酷いよ~クロちゃん、死ぬかと思ったよ!」
文句を言ってくるバカに一応『ハイヒール』をかけてから、説教をしようとして諦める。
「ティナ、今回は色々と酷すぎる! 無用心すぎるぞ! 今度リーフさんやシーナに頼んでダンジョンの講習してもらうから、そこでリーフさんの許しが出るまでお前はダンジョン禁止だ!」
スイッチとか何の警戒もなく押したり起動させたりしてるからな。
「ええええ~~~リーちゃんのお説教!? いやだよ~」
講習と言ってお説教と変換されるのはどうしてなんだろうな?
まあ、もう一つ釘をさしておくか。リーフさんから”とっておき”を聞いてるからな。
「もしやぶったら、リーフさんのお仕置きフルコースな」
その言葉を聞いたとたんティナの顔が真っ青になる。
「え!? そ、そんな、ヒジンドウテキな事は許され無いんだよ! 絶対ダメなんだよ! ほんとダメなんだよ。 許してよクロちゃん」
うん、あまりの効果に少し怖くなったが、ダンジョンの中で迂闊に動くと全滅コースだからな。ここは心を鬼にしよう。
「リーフさんの許しがあるまで、ダンジョンに行かなければ良いんだ!」
「あ、そっか~それなら大丈夫だね!」
なんか、一瞬で不安になったな。
「師匠、その辺はここを出た後にした方がいいんじゃないでしょうか?」
「確かにそうだな。よし、どこかにロープ固定して罠などをちゃんと調べながらロープで降りていくか。帰りはハシゴ使えるといいけど……」
「罠ならちゃんと皆に調べてもらったよ~」
(しらべた~)
(怖いのは無かったね~)
(漢探知だ~)
(がんばれ~)
妖精達が何人か姿を現し、声をあげるが……漢探知って罠に引っかかって探すとかそういうのだったよな?
お前ら、ティナにそれやらせようとしてないか?
まあ、致命的なのは見極めてるっぽいけど。見極めてるよな?
やっぱり不安だ。俺がしっかり調べていこう。シーナがいれば丸投げできるんだけどな。
「やっぱり、問題なかったよ!」
「だからって、何も考えずに突っ込むのは止めろ! 下手したら全滅コースだぞ!」
結局罠とかは、無さそうだったが、それでも警戒してしすぎることは無いぞ、ティナ。
「それで、師匠直ぐに行き止まりのようですが、どうしましょう?」
穴の底まで降りてみると、そこから横に通路が続いていて直ぐそこが壁になっていたのだ。
「あ! さっきと同じのだ~お願い~」
何て言いながら、あのバカは、妖精達に黒い魔力の塊っぽい物をぶつけさせる。
言ったそばからこれか!
「何やってるティナ! さっきから言ってるだろ少しは警戒しろって!」
「え~さっきと同じ黒い石だから大丈夫だよ!」
それでも、無警戒に撃つなよ!
「し、師匠壁が開いていきます。その先に道が……あ、なんか居ます!」
ズズズズズという音と共に、道が出来た先に、確かに何か居るな。
あれは……。
「あ、モンスターだよ! みんな! 攻撃だ~」
ズベシ
「痛い! 何するのクロちゃん!」
「まずは、相手を見極めてからだ。あと、こんな狭い場所で何をやろうとした?」
俺には、妖精さん達の一斉攻撃に見えたんだが?
「あ、言われてみれば、崩れちゃうかもしれないね」
うん、攻撃しようとする前に気づけよ。
それに、『索敵(M)』で調べた所、灰色の中立NPCのマーカーなんだよな。ただし、半透明になってるけど。
見た目だと、神父ぽい服装の幽霊?
この世界だと、ゴースト系のモンスターも居るからなんとも言えないんだけど……。
「まあ、警戒は解かずに反応を見てみよう」
「了解です、師匠!」
「みんな~ホウゲキ準備して様子を見るよ~」
「だから、こんな閉所でそんな攻撃準備するな!」
次にダンジョン行く前に、本当にこいつには、リーフさんの特訓が必要だな。矯正できるといいんだけど……。
人影に近づいてみると、年老いた神父のお爺さんの幽霊の様だった。
その彼が、ゆっくりと目を開け、やさしそうな笑みを浮かべる。
『あなた方のお陰で、呪縛をとく事が出来ました。やっと、やっと、皆、旅立つ事が出来ます。本当にありがとうございました。何も御礼は出来ませんが、この都に残っているものがあればなんでももって行って貰ってかまいません。本当にありがとうござい……た』
そう一方的に言葉を残して消えていってしまった。
「お礼だけ言って消えちゃったね~」
「悪い感じはしませんでした」
「そうだな~、”皆”とか言ってたから光の結界でボスみたいなの倒したからかもしれないな」
「え~ちがうよ~閉じ込められてたんだよきっと! 扉を開けたから解放されたんだよ!」
ああ、それもあるかもな~。
だけど、入り口の鍵って闇属性の力っぽいから俺達以外だとまず無理な様な気がしないでもないな。
「ま、今更どっちが正解かしらべようもないけどな」
「そうだね~」
「ところで、師匠。何か地面が揺れているような気がしませんか?」
「うん? 地面が揺れる? あ、本当だな」
「なんかどんどん大きくなってる気がするよ~」
幽霊が成仏してめでたしめでたし。
ゲームとかだとこの後、お決まりの展開があったような……。
「な、なんか、天井が少しずつ崩れてきてませんか?」
「ま、まさか! 皆、急いでこの教会から出るぞ! たぶん、ここ崩れ落ちる!」
そうだ、建物とかをその場に止めておく力が尽きて崩壊する展開だ!
「わかったよ~あ! あれは!」
「おい、ティナ。何やってる生き埋めになるぞ!」
「綺麗なのみつけたから~って、うわ~崩れだした~皆~いっそげ~~~」
どうにかこうにか、ハシゴを登り教会の壁の穴から外に飛び出すと同時に、一気に崩れ落ちる。
「ギリギリだったよ~」
「確かにな……」
「でも、瓦礫とかも消えていってます」
セリカが言うように、崩れた後少しずつ瓦礫なんかが光になって消えていっている。
周りを見渡すと、都の他の建物も同じように崩壊して光となっていく。
「うわ~すごいね~」
「確かに、綺麗だな」
都中の建物が光となって天に昇っていくのはある意味幻想的だろう。
「………………すごいです……」
そのまま、都のすべての建物がきえてしまうまでその場で3人たたずんでいた。
「綺麗だったね~あ! さっきのクリスタルが残ってる!」
ティナの視線の先には、システムクリスタル(闇)が半分土に埋まりかけた状態で残って居た。
「おお、あれなら馬車に積めばもって帰れそうだな」
「師匠! 早速【闇騎士】になりたいです!」
「それは、馬車に積み込んだ後でいいだろう。とにかく馬車を取りに行くぞ!」
「その後は、お宝拾いだね~一杯落ちてるよ~~~」
「ああ、建物がなくなって拾いやすくなったからな」
そんな感じで、もろもろを終わらせて帰路に着く。
俺達は、馬車の中、3人ともソファーでグターと横になっている。
「そういえば、ティナ。神父の幽霊の居た部屋で逃げ出す前に何か拾ってなかったか?」
「ああ、これ?」
そういってティナが取り出したのは、手のひら大の水晶みたいなアイテムだ。
水晶と言い切れなかったのはやけに強い力を感じたからな。
「いったいなんだそれ? どこかで見た事あるような気がしないでもないんだか……」
そう思いつつ『アイテム鑑定(M)』してみると……。
『===================================
拠点コア(未設置)
所有している領域を支配拠点にする事が出来るコア。
一度設置すると、初期化しない限り支配拠点の移動は出来ない。
===================================』
ああ、砦の拠点コアと大きさはともかく形とかが一緒なんだ。
「で、で、何か分かった?」
あ、となると支配拠点をつくれるのか……それがティナの手に……。
うん、取り上げないとな!
収穫の半分はギルド資産にするってルールを使って取り上げよう!
溜まってるGPの半分渡したって安いぐらいだしな。たぶんそれで納得するだろう。
少なくとも、こいつが自由に出来る拠点を与えるなんて危険なことは絶対に避けなければ!
「一応な。ただ、少し壊れやすいみたいだから俺がアイテムボックスの中に入れて保管しておくよ」
「え? そうなの? じゃあお願い~」
うん、何とか無事に拠点コアは確保できたけど……騙したみたいで少し心が痛むな。
「師匠! 何時になったらモンスターと戦っていいですか?」
「う~ん、今日の帰りは俺とティナ達だけで戦うから。明日からにしろ。【闇騎士】になったばかりだからな。少しずつ慣らして行け」
「そうですか……残念です、せっかく戦えると思ったのですが……」
そういえば、死者の都では、【魔法使い(闇)】になってからずっと戦闘に参加させないようにしてたな。
戻ったら少し狩りに付き合うか。
「大漁~だね~これでプールが出来そうだよ!」
そういえば、そんな事も言ってたか。まあ、プールなら危険はないだろうし安心だな。
「って、ちょっと待て! 馬車の中に3人とも居てだれが運転してるんだ?」
「あ!」
「あれ?」
3人で慌てて御者台に続く扉を開けてみると……。
誰も操作してない馬がM&Mに向かって走っていた。
「馬って勝手に目的地に走ってくれるんだ~」
「え? そういうものでしたっけ?」
「おかしいだろ、色々と!」
なんか、うちの馬が、馬の形をした別の物に見えてきたぞ……。
怖くて鑑定出来ないぞ!
ど、どうしようか?
次は、ちびっ子達念願のプールが出来そうです。
シーナ「あんた、どうするのよ! ダンションを消滅させるとか!」
クロ「あ、そういえば死者の都消えたんだよな。どうしよう?」
ティナ「行ったら無かったよ~不思議だよね~でいいよ!」
シーナ「それも有りかも知れないわね。情報結構古かったし」
クロ「いいのかそれで!?」




