第5話 隠された……
エ、エタるものか!
エタってたまるものか!
何とか、気力を振り絞り更新です。
明日から毎日更新がんばりたいです!
今後もよろしくお願いします。
※2015/08/17
投稿順変更で投稿日時が変わっています。
嫌な予感を覚えた俺は、その後急いであのボロボロの教会に向かっている。
「色々アイテムが落ちてるよ~大漁だよ~入れ食いだよ~」
大漁はともかく、入れ食いはなんか違わないかティナ?
そんな事はともかくとして、急いで拾い集めて教会に向かわないと。
「師匠~モンスターが全く居ません。あれだけ沢山居たのに……」
セリカの方は周囲警戒中だ。ドロップアイテムを集めるのに戦力外だったからだ。
アンデッドのドロップは、基本的にボロ切れやボロボロの装備とかだからな。一応ドロップアイテムだから、GPに変換出来るのに、セリカは結構ゴミとしてスルーしてたからな。
まあ、見た目はゴミだからな……。嬉々として拾ってるティナの方がおかしいといえばおかしいんだよな。
「この袋は一杯だ~妖精便お願いね~次の袋を用意だ~~」
本当に、ティナは楽しそうだな。
俺も、急いで拾っていくとするか……急いで向かう為に……。
結論先送りとか、現実逃避とかじゃない。これは必要な事だ!
うん、必要だ!
そんなこんなで、2時間ほどかけて街の中心のボロボロの教会までやって来た。
ついに、ついてしまった……。じゃない! やっとついた。ついてしまったとかだと、先送りしてたみたいだからな。
「昨日来た時と違ってなんか暗い感じがなくなった?」
「ここにもモンスターが居そうな気がしません……」
やばい……。
やっぱり確認は、明日に……。
「それじゃあ、中も探検だ~昨日は入り口入っただけで戻ってきちゃったし」
「そうですね、行きましょう!」
箱を開けるまで中の猫が生きてる可能性と死んでる可能性が半分ずつあるとかいう話があったよな。
そんな事を考えている間にもティナとセリカはどんどん進んで行ってしまう。
「まて、二人とも。一応中に入る時は警戒して行くぞ!」
結論からいくと、警戒する必要なんて無かった。いや、中が問題無かったとしても警戒は必要だから、警戒に引っかかる物が無かったと言った方がいいか。
「家の中でもボロボロだね~。これは探検しがいがあるよ! 罠だよ! 隠し部屋だよ! 財宝だよ!」
ティナお前、シーナみたいな盗賊系の技能もってるのか?
それよりもだ、確認しないとな。
これ以上後回しにするわけにも行かない。
「セリカ、【闇騎士】は、職業ツリーに出てるか?」
「ちょっとまってください、え~と……。【ビギナー】、【戦士】、【騎士】で、次は……あ! 【聖騎士】になっちゃってます!」
「ぶ、闇属性の場所が、浄化されて神聖属性までいったのか……」
薄々そうじゃないかと思っていたが……やってしまった……。
「し、師匠。闇属性がなくなっちゃってます!」
「あ、うん、すまん、俺のせいだ」
ガックリと地面に膝を突いてうなだれるセリカにかける言葉が無い。
本当にすまん。
「諦めたらそこでゲーム終了だよ!」
そんなくらい雰囲気の俺たちにティナが声を上げる。
「探検したら見つかるかもしれないよ!」
「確かにそうだな。やれるだけの事はやっておくべきだよな」
「そうですね」
そうとなったら、まずはと入り口の部屋を見回してみる。
入ってすぐなのに結構大き目の部屋で、入り口から奥のほうに長い長方形だな。
一番奥は、何か一段高くなっていて祭壇でも有ったかのような感じはするが、特に念入りに破壊されていてわからないんだよな。
あと、左右の壁にいくつか扉の後のような穴から奥に部屋がありそうだ。
ここはたぶん、長イスが幾つも並んでいてお祈りする場所とかだったんだろうな。確か礼拝堂とかいうんだっけ?
「よし! まずは、あっちの部屋を探検だ~」
左手の入り口から一番近い部屋にティナが突っ込んでいく。
「おい、一応モンスターとか罠とか気をつけろ!」
「大丈夫~皆が無いって言ってる!」
皆って……妖精さん達か?
よくよく考えると色々高性能だな。
「師匠も行きましょう!」
「そうするか」
「う~ん、やっぱり全部浄化されてるか……」
「お宝とか全然なかったよ~」
「………………」
ボロボロの礼拝堂の左右の壁から続く先の部屋には特にこれといったものは無かった。
と言うか、台所とお風呂っぽい場所以外はボロボロで元が何かが判別つかなかった。酷い部屋だと大穴が開いて吹き抜けになっていたりしたからな。
「さて、どうするか」
これは、闇属性の場所を完全に浄化したっぽいから、もう一度どこか場所を探してこないとダメだろうな。振り出しに戻ってしまったか。
「え? 本当!? 怪しい仕掛けがある!? 何処何処?」
「おい、ティナどうした?」
「闇の子達が怪しい仕掛けがあるって!」
「昨日、闇の属性の妖精達が寝てる時間とか言ってなかったか?」
「クロちゃんのソウルキャンディが欲しくて起きてるんだよ!」
う~ん、妖精ってもう少しなんかこう……。
「師匠! それよりも、怪しい仕掛けを調べましょう!」
いつの間にか復活したセリカが、先を急かす。
「そうだな、ティナどの辺だ?」
「あっちの方」
そう言って指差すのは、祭壇の跡っぽい場所。
「どんな仕掛けか分かるか?」
「う~ん、ちょっとまって。何々……あの黒い真ん丸い石に闇属性の力をぶつけたら何か起こりそう?」
近づいて壁を調べてみると、壁の真ん中の床ギリギリの辺りに黒い丸い石がある。
一応、スキルで罠とか調べてみるがそういった感じはしない。
「まあ、罠とかはなさそうだけど念のため離れて魔法を使ってみるか」
「じゃあ、闇の子達~お願い~」
「って、待て! 離れてって――」
俺の言葉も聞かず、黒い魔力の塊っぽい物が黒い石に当たる。
そして、次の瞬間。
ゴゴゴゴゴ……。
「うわ~隠し部屋だ!」
右隅の方の壁が地面に沈み込んで道が出来ていた。
「ティナ、念の為離れてって――」
「おお~皆行くよ~」
「て、聞けよおい!」
さっきの注意も聞かず隠し部屋に飛び込んでいってしまう。
「私達も行きましょう」
「たく、罠だったらどうするんだ!」
一応、罠を警戒しながらティナを追って隠し部屋に入っていく。
入った先は結構大きな部屋があった。礼拝堂跡の1/4ぐらいの大きさだろうか?
ただ、部屋の奥の壁に大穴があいて吹き抜け状態になってはいたが。
「おおおお~~~かっこい~~~」
ティナが見つめる先には、黒く染まった水晶の様な物がある。
う~ん、あれどこかで見たような。
「『アイテム鑑定(M)』っと」
『===================================
システムクリスタル(闇)
スキルを持たなくても、システムコマンドを表示させる事が出来るクリスタル。
機能拡張なども行え、システムコマンド以外の操作も追加できる。
闇属性に染まっている。
===================================』
「システムクリスタルだったか。でもなんだ? 闇属性にそまっている? …………あ!? セリカ、あのクリスタル使って職業ツリー見てみろ」
「え? クリスタルを使うって……あ、これ職のクリスタルですか? えっとそれじゃあ……【ビギナー】、【戦士】、【騎士】…………あ! ありました。【闇騎士】! それじゃあ、昇格……今、【騎士】じゃないので昇格できませんでした」
あ、そう言えば、【魔法使い(闇)】のままだったよな。
【ビギナー】に戻して、【騎士】になるにしても、この辺敵いないっぽいからな。戻る為の必要経験値稼げないよな。しくじったな。
「あ、後ろにおっきな絵がある!」
ティナは、クリスタルに飽きたのか、今度は振り返って入ってきた方向の壁をみて「うわ~」とか声を上げている。
俺も振り向いてみると……。
「なんかすごいな」
6人の女性の壁画があった。
真ん中に真っ白の髪のやさしそうな女性。一番年上って感じだな。
その右には真っ赤に燃えるような髪の熱血って感じの女性。
もう一つ右には、薄い緑色の髪の好奇心に目を輝かせたような感じの18歳ぐらいの女の子
左の方には、水色の髪の、穏やかな感じの女性。
もう一つ左には、茶色の髪の少し太めの女の子。
最後に、一番年下って感じの背丈の黒髪の少女? う~ん、最後の子だけは顔の辺りとかボロボロで良くわからない。
でも、この黒髪の子を見てると、何かどっかで会った様な不思議な感じがするんだよな。う~ん、見覚えないはずで顔すら分からないのに何でだ?
それはともかく、ここだけ、綺麗に残っているのは少々不自然だよな。
黒髪の子の部分以外は、本当に比べ物にならないぐらいちゃんと残ってるぞ。
「あ、この絵は教会で見たことあります。確か神様の絵だった気が……あれ? 神様って5柱だったはずですが……。違ったのでしょうか?」
セリカが不思議そうに首をかしげている。
5柱の神ともう1柱の神?
「教会で見た絵とどの神様が違うか分かるか?」
「よく見てないので、5柱の神様って事しか……」
「そうか……」
イメージ的には、光、火、風、水、土、闇、それぞれの神様って気はしないでもないんだよな。
となると、一般的に信じられてる闇以外なのか?
う~ん。今度もどったら教会で調べてみるか。
「他には、何かめぼしいものはあるか?」
「あっちの穴の外は普通に外に繋がってたよ~」
ティナがいつの間にか隠し通路の方から入って来た。
俺とセリカが話している間に、外の方を回って来たのか。
「そうか、じゃあ、一旦街の外に出てセリカを【騎士】に戻すか。【ビギナー】になるには経験値を稼がないとダメだからな。この辺に敵居なさそうだし」
「そうですね。外で【騎士】になってから戻ってきましょう」
「え~そんなのめんどくさいよ! それよりも! こうすればいいんだよ!」
ティナはシステムクリスタル(闇)までいくとおもむろにクリスタルに抱きついて力をこめる。
「う~ん、う~ん、う~ん。う、動かない」
あ、言われてみれば一応アイテムの範疇では有るんだよなあれも。
もって帰るってのもありっちゃありか。
「う~ん、床にくっついてて外れない! しょうが無い床を壊して取るぞ~」
「って、待てティナそのクリスタル、何処までが本体か分からんぞ! 床の下に何か繋がってるかもしれないぞ!」
「う~ん、それじゃあ……え? スイッチ見つけた? 何処何処? あ、これか!」
話の途中で妖精さん達がティナに何かを耳打ちしてる。
そして床の方を調べだす。
「うん、スイッチ? って待てティナ!」
慌てて止めようとするが当然の様に遅かった。
「ポチっと」
ガコンと何かの仕掛けが動いたような音がクリスタルの下から聞こえてきた。
「おお~、何が起こる?」
――3分後。
「う~ん、音がしただけだった」
「そうですね~」
音だけってことは無いだろ。何かの仕掛けが動いたはずだ。
「いや、何か動いたぞ音がしたんだから」
「え~でも何にも変わらないよ! ほら、これ押してもビクとも……あれ? 少し動いた? よし、もう一度挑戦だ!」
ティナは再度、クリスタルに抱きついて動かそうとする。ただ、今度は少し動いている。
「う~重くて少ししか持ち上がらない。皆手伝って~」
「お、おう」
「はい、手伝います」
今度は、三人+妖精さん達沢山で、クリスタルを持ち上げてみると……ゆっくりと一枚の正方形の床板ごと持ち上がっていく。
「ぐぐぐ、みんな~あと少し~」
「お、おう」
「が、がんばります」
そしてついに。
ボコって感じで床から床板ごとクリスタルが抜ける。
「おおお~~~抜けた~」
「やりました、師匠!」
「そ、そうだな……」
二人+妖精達が喜んでいる所だが、俺はそれよりも気になる物を見つけてしまった。
それは、クリスタルが抜けた跡だ。
その場所に隠された穴が見える。それも、その先に隠し部屋か何かありそうな感じだ。
「二人とも、クリスタル抜けた跡を見てみろ」
「こ、これは!?」
「おおお~~隠し部屋が続いてる! 探検だ! 大漁だ! 宝物庫だ~~~」
システムクリスタル(闇)を引き抜いた跡には、地下へ続く穴が……。
果たしてその先には何が有るのか?
次回、クロ達は地下の隠し部屋に挑む。




