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第2話 やっと……やっと……やっとついた……

う~ん、本だのネット小説だの一度長いのを読み出すと……執筆が止まる……。

それはともかく、ずいぶん遅れましたが更新です。

よろしくお願いします。



ファンタジーな世界だと、正確な地図ってなかなか無いよね。

特に、人があまり行かない場所だと……。



※2015/08/17

投稿順変更で投稿日時が変わっています。

「やっと……やっと……やっとついた……」


 遠くの方に見えてきた、それなりに大きな都市だったらしい目的地が見えてきた時、思わず口からこぼれ出ていた。

 二日目の夕方には、到着して一泊して三日目の朝から攻略予定だったのに……。

 今日はもう、五日目の昼になろうとしている。

 なんか、ますます成長した感じのある馬や、いつの間にか妙に性能が良くなっていた馬車のお陰で、移動速度は予定より大幅に上がっていたにも関わらずだ。


 色々誤算はあったが、理由はひとえに……。 


「おお~~~あそこか~!」


「あれが、死者の都ですか!」


 この二人のせいだ。



 とはいっても、まず問題になったのが、馬の操作の能力の差だ。

 まあ、俺が馬の操作が出来ないって言う責任はあるかもしれないけど……。

 それでも、今回セリカに教えてもらって、俺はなんとか道なりに普通に走らせる事までは出来るようになった。

 ただ、モンスターが襲ってくるなどのトラブルが発生した時には暴走させてしまうという事だ。

 まあ、逃げる方向ではなく、誰に似たのか突撃していく方向に暴走ってのは良いのか悪いのか……。

 セリカが操作してる時は、暴走はしないけど、それには意味が無いかもしれない。セリカが突撃を命令するってだけだからだ。

 でだ……そこまでならまだ良かったのかもしれない。

 問題は、ティナだ!

 何故かあの馬、ティナの指示を最優先で受けやがる。騎士であるはずのセリカよりもだ。

 つまりどういう事になるかというと……。


「あ、あれなんだろう?」


 何てティナが指差すと……そっちに進む方向を変えるのだ。

 その上、ティナが力を使ったりしてないのにもかかわらず、森の木々が馬車を避けていってくれるから道も何もあったものじゃない。

 ちなみに、ティナが力を使わなくてもというのは、セリカが操作してる時でも木々が避けていったからだ。

 なんか変な効果が馬車についたんだろうか?

 馬や馬車を鑑定系のスキルで色々調べたら解る気はするが……何かえらいことになっていそうな気がする。

 実害(現状はセリカとティナのせいで、馬車とかのせいではない)はたぶんないし、知らなければ幸せな事ってあるよな。


 あと、もうひとつの問題としては、地図だ。

 冒険者ギルドでもらった地図ってのが、すごいいい加減というか、道程程度しか乗ってなかったのだ。

 道なりに進んで、目印の大木や分かれ道なんかでどっちに曲がるとか、川が見えたらそれにそって目印の岩でどっちに曲がるなんて感じの地図だったのだ。

 

 で……森の木々が避けてくれて道なんか関係無しに突っ切れる事とあわさると……。

 それはもう簡単に迷子になれるのだ。



 そんなふうに、恨みがましい目を二人に向けて考え事をしていたら。

 

「師匠、このまま全速力で突撃しましょう!」


 セリカがそんな事を言い出しながら今にも突撃しそうになってるじゃないか!


「って、まて! 馬車はここらへんに結界でもはって、置いて行くぞ!」


「えええ~? なんで?」


 ティナ、お前もか……いや、お前だからか……。


「馬用の即死耐性装備なんか作ってないからな、馬が攻撃されたらまずい」


 ゲームの時は、馬が即死魔法でやられる心配とかはした事はなかったのだけど……この世界だとな……。


「では、死者の都には……」


「馬と馬車の安全確保して、昼食もとってからだな」


 その後、セリカには念のため周辺のモンスターの掃討、ティナには妖精さん達に馬車の事を頼んでおいてもらう。

 俺は、魔除けの結界を馬の周辺に張る事にする。





 そんなこんなで、魔除けの結界の中の馬車の世話を、近くに住んでいた木の妖精さんに任せて、俺達は死者の都にやって来た。


 死者の都。


 一応、都と名がついている通り、立派だった城壁にかこまれて相当な広さがあり、さぞりっぱな都市だった事がうかがえた。

 まあ、城壁は戦争なんかで破られたような感じに所々崩れていたり建物なんかもボロボロだったりなのだが……。


「じゃ、もう一度、六芒星のペンダントの確認だ。ちゃんと装備してるよな!」


「ちゃんと装備しています師匠!」


「あれ? あれれ? どこいった? ペンダント?」


 セリカは、胸元の六芒星のペンダントを直ぐに確認するが、ティナの方は……。


「おい、忘れてきたんじゃないだろうな!」


「ちがうよ~持ってきたはずだよ! う~ん、え? ポケットに大事に仕舞ってたって? あ! あった!!!」


 隣の妖精さん(今は俺には見えない)に教えてもらってちゃんと首からかけるティナ。


「ちゃんと服の内側に入れて置けよ」


 しっかりとティナが六芒星のペンダントを装備したのを確認して、死者の都に突入か。

 目的は、闇属性の職業の昇格が行える場所を探す事なのだが……。


「お宝みつけるよ~」


「ボスを倒してしまいましょう!」


 ほんとにわかってるよな二人とも!





 都市の正面の門だった場所から進入し、死者の都の中に入る。

 当然のように門は崩れて居て門の機能を果たしては居なかったが……。


 都に入ってまず初めに、セリカが闇属性の職業に昇格できるようになったかどうか確認する。


「セリカ、死者の都に入ってみたが、昇格の方は出来そうか?」


「う~ん、ダメです師匠。やっぱり無理なのでしょうか?」


 少ししょんぼりしてるが、まだ入ったばっかりだからな。


「まあ、入ったばっかりだしな。奥のほうの闇が濃い場所を探してみるぞ」


「了解です! がんばります!」


 うん、直ぐに気を取り直すのはさすがにセリカだな。 

 さてと、まずは、メインストリートだったっぽい場所を真っ直ぐ進んでみるか。


「まずは、真っ直ぐこの大通りを進んで中心部に向かうぞ!」


「了解です」


「わかったよ!」


「あと、ゴースト系はテレポートして来たり、壁抜けして来たりするから不意打ちに気をつけろよ」


「気をつけます」


「早くいっぱい出てこないかな?」


 ゴースト系は、隣の壁からいきなり出てきて不意打ちされたり後衛の方にテレポートしてきたりでゲームの頃でも結構面倒なモンスターだったんだよな。

 まあ、俺がPT組むのは主に幼馴染のあいつとだから後衛云々は特に気にならなかったけど。

 あと、ティナそんな事を言ってると……。


「あと、ゾンビ系は足元から生えてくることがあるから足元注意だぞ!」


 あれは、本来土葬された死体がゾンビとして復活するってことで土の中から這い出してくるって感じのはずなんだけど……。

 ゲーム中では、そういうの気にせず沸いてたからな。

 モンスターがポップする為にそのつど死体埋めるわけじゃないからしょうがないって言えばそうなのかもしれないけどな。


「大丈夫だよクロちゃん! ここには、もうゾンビなんて居ないよ!」


 俺の注意に対してティナがまた変な事を言い出した。


「はぁ? 何でゾンビが居ないんだよ?」


「ここが出来て大分たってるって言ってたから……ゾンビはもう皆スケルトンになってるよ!」


 ………………。


 ゾンビとスケルトンに何の関係が?


「何またバカな事を……」


「バカじゃないよ! ゾンビって歩いてると少しずつ体落としていくから、ずっと歩き続けると骨だけになってスケルトンになるんだよ!」


 え……。

 ティナにしては、意外に筋が通ってる説明でビックリした。

 それはともかく、ゾンビにそんな生態があるのか?

 ゲーム中は……だめだ、ポップしてから長期間放置以前に描写としては、体をボトボト落としてもなくなったりしなかったからな。


「セリカ、ゾンビってそういうものなのか?」


「いえ……聞いた事がありません」


 セリカも知らないか。

 でも、こいつは、そういう事を気にする前に殲滅って感じだからな……。


「ティナ。その話何処で聞いたんだ?」


「え? 考えたら簡単にわかるじゃない!」


 つまり、『ゾンビの生態 ティナ説』なんだな。

 これは当てにならないな。

 まあ、ゾンビ系のモンスターがスケルトン系に変わるってだけなら、あってても問題ないしな。

 ただ、ゾンビ系のモンスターが長い時間をかけて、ランクがいくつか上がったスケルトン系になるとかだと、ちょっと問題かもしれないな。

 どこかで、ボスのドラゴンゾンビとかが、ボーンドラゴンの上位種のエンシェントボーンドラゴンとかになってたら……まあ、気にしてもしょうがないか。


「ま、『ゾンビの生態ティナ説』は、どうでも言いか。とにかく気をつけろよ。特にティナ!」


「大丈夫だ……うわ~~~何かベチョっとしたのが足をつかんだ!!」


 ほら言わんこっちゃ無い。

 油断してるからゾンビに不意打ち喰らうんだよ!


「師匠! 周りからスケルトンやゴーストが!」


 建物の中や曲がり角の向こうから、人骨や魔物の骨なんかのモンスターやら、不定形のゴーストなんかが湧き出してきた。


「ああ、わらわら出てきたな。ティナ遊んでないで攻撃に迎え撃つぞ!」


「うう、イーちゃんやっちゃって~~。って、熱い。私じゃなくて敵だよ! え? 近すぎて難しい? う~んしょうがないな」


 ティナをつかんでいたゾンビは、たぶん火の妖精の攻撃で燃え上がっていた。ついでにバカもすこし焦がしている。


「セリカ! 突っ込まずに近寄ってきた敵を倒していけ! ティナは、遠くの集団を妖精に頼んで一気に殲滅だ!」


「了解です。師匠!」


「わかったよ! みんな~やるよ!」 


 セリカは、近寄ってくるスケルトンやらゴーストやらを当たるを幸いと切り裂きまくる。

 う~ん、さすが【聖騎士】だ。神聖属性のスキルで効果は抜群だな。


 ティナは、火の玉やら、風の刃やら、水の槍やら、岩のつぶてやらで攻撃してるけど……火以外はあんまり効いてないな。

 ダメージを与えてはいるんだろうけど、気にせず敵が向かってきてる。


 俺は、そんな二人に支援魔法で援護する。

 

「ティナ! どうした? なんかいつもより威力が弱い気がするぞ!」


「う~ん、なんか今日は、いつもと違ってすっごく疲れるんだよ!」


 すごく疲れる?

 もしかして、スキル発動コストが上昇してるとかなのか?

 本来、妖精に力を借りるスキルは、その場に居る妖精達にお願いして発動させるものだからな。

 ティナは気に入られて、沢山の妖精達がついてきてるから何時でも何処でも気にせず力を使ってたけど……。

 彼らの不得意な場所だとコストが大幅上昇とかそういうのはありえるかもしれない。

 となると……この場が得意な妖精か、敵の弱点を突ける妖精……。


「ティナ、闇属性の妖精か光属性の妖精って居ないのか?」


「闇の子達は、今はお休みの時間だよ! 光の子達は、なんか嫌な感じだからって馬車でお留守番してる!」


 うん、役立たずな……。

 でも、前にぶちきれた時には闇属性の妖精を昼に呼んでいたような……。

 まあ、たたき起こして無理やり発動とか、ティナの黒い感情に触発されたとかの理由だったりするのかもしれないな。


「それじゃ、しょうがないから火の属性の妖精達をメインにがんばってもらえ!」


「なんか皆も疲れやすくなってるみたいだよ!」


 う~ん、これは一旦、引いたほうがいいか?


「セリカは、どうだ?」


「特に問題ありません。どんどん殲滅します!」


 とは言っても、倒す速度より増援が増えていく速度の方が早い気がするんだよな。


「ティナ、やっぱりきついか?」


「うう~、そんなにいうならクロちゃんも光の魔法でババーンとやっちゃってよ!」


 光の魔法でババーンとって……。

 俺が魔法を使ったら、前に使ったみたいに森林火災だの永久凍土だの……が……。


 ちょっと待てよ、光の魔法?


 そうだ! 

 光の魔法なら、物理的影響が無かったんだった!

 前にガロン鉱山で使いまくったじゃないか!



「セリカ! 脇に避けろ! 今から一発どでかいのをお見舞いする!」


「わかりました」


 セリカが射線を外れた所で、久々に攻撃魔法をぶっ放す。


「『セイントストーム』」


 まばゆい光が当たり一帯に渦を巻く。


「おおお~~~すごい~~~」


「すごいです。師匠!」


 光に触れたスケルトンは骨が粉々になって消えて行く。

 ゴースト達は、光の渦に流されながら、苦悶の表情を浮かべて消滅していく。

 ゾンビは光に焼かれて倒れ土に還る。


 おお~、建物や地形にダメージは無い!

 これは……影響を気にせず魔法が使える!


「これなら、問題なく使える! ガンガン焼き払っていくぞ!」


「ク……クロちゃん?」


「し……師匠?」


 何か、あっけに取られたような声が聞こえるが気にしない。


 そんな事よりも、魔法が撃ち放題だ!

 入れ食いだ!


 ガンガンぶっ放すぞ!


 やっぱり、被害とか考えずに魔法が使えるっていいよな!



「うわ……スケルトンの大群が一気に光に飲まれたよ!」


「ゴースト達が急いで逃げ出しています……」

次回は、本格的にセリカの昇格できる場所を捜します。

モンスターは……光に消えていきます。




※大地駆ける軍馬

 馬車を引いてる馬。

 レベリングなんかに連れて行かれて何気に経験値を吸っているのかも……。

 それ以前に、街道に出るザコなんかは気にせず踏み潰してるからか?

 確実にレベルが上がってる模様。



※馬車

 妖精さん達がティナと一緒に出かける為に、彼らにとって住みやすいように色々改造してるっぽい。

 水周りや、台所のかまどまで出来ていた。

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