白いスライム?
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
短いですが、お正月のSSを投稿です。
「大掃除が全然終わらないよ~昨日からやってるのに全然終わらないよ~」
これまで散々、掃除や整理整頓をサボっていたティナの部屋は、荒れ放題だった。
その部屋の様子に堪忍袋の緒が切れたリーフから、片づけを命令されたのだ。
まあ、それが1日程度で終わるはずも無く……。
「あ、皆何見てるの?」
途中で気になった漫画とかを読んでるものだからますます終わりは見えない。
「…………(おいしそうな)」
「…………(りょうりのほん!)」
ポチ、タマ、それに狐っ娘姉妹の前には、『お正月料理(フルカラー版)』なんて本が開かれていた。
「タイのおかしら焼きニャ~、イセエビニャ~食べたいニャ~」
猫っ娘のポチは、よだれを滴らせながらタイやイセエビに目を釘付けにしている。
それに対して、隣の犬っ娘のタマは、
「お肉が殆ど無いニャ~」
少し残念そうである。
「…………(おもち~)」
「…………(つくってみたい)」
「…………(おもちしってる?)」
「…………(みたことないね~)」
狐っ娘姉妹は、お餅に興味を持ったようで料理法をあれこれ想像している。
今回、見ている本は調理方法が載っているわけでなかったのだ。
いや、正確に言うと、お餅を作る方法が載ってなかったのだ。
角餅を用意して~とか説明されているのだ。
「雪玉だとおもうワン!」
「御頭焼き~食べたいニャ~」
タマとポチもそれに参加……ポチの方は意識を飛ばしたままで心ここにあらずだが……する。
「あ、これ知ってる!」
そんな中にティナが割り込んできて声を上げる。
「…………(え!?)」
「…………(ほんとう?)」
「うん、これ白いスライムだよ! レアなんだよ!」
「…………(おおおお~)」
「…………(さすがだ~)」
それに異議を唱えるのはタマ。
「スライムは四角くはならないワン!」
「…………(たしかに)」
「…………(まるいのならいるけど)」
「う……四角いのもあるのか……もしかしたらそういうスライムもいるのかも!」
そのまま四人で議論を戦わせる。
その間、ポチは、
「おいしそうニャ~」
魂を飛ばしたままだった。
あと、雪玉を火で炙ったら溶けるだろうという突っ込みをするのが居なかったのは……。
「よし! それじゃあ、実際に取りに行って確かめてみよ~」
「それしかないワン!」
「…………(やってみれば)」
「…………(わかる~)」
そんな風に4人で立ち上がり部屋から出ようとした所で。
トス
ティナの頬から一筋の血が流れ落ちる。
「ティナ? あなたはどこに行くつもりなのですか?」
「白いスライ……うわ!」
慌ててよけた場所を通り過ぎ壁に二本目の矢が刺さる。
「危ないよ! 今絶対当たってたよ!」
「大丈夫です。クロさんからいい回復薬もらってますから」
その言葉にティナだけでなく、周りの3人も冷や汗を流す。
「タイ~ニャ~おなかすいたニャ~」
ポチだけは相変わらずだったりしたが。
「で、何処へ行こうとしてたのです?」
「だから、白い……」
「部屋の片付けは終わったのですか?」
「…………あ!」
そこでやっと思い出したのかティナが声を上げたと同時に3本目の矢が壁に刺さる。
「やっと思い出したようですね」
「スグカタヅケルヨ! イマスグニ!」
ティナは、今までが何だったのかと言うような速度で整理を開始するのだった。
狐っ娘姉妹とタマは部屋から逃げ出した。
三人にポチを見捨てる気は無く、本をつかんだ状態のままの彼女も引きずられて行った。
クロが風呂に入ろうと脱衣場に入ると……。
お風呂の脱衣場で服を脱ぐのに悪戦苦闘しているセリカが居た。
「ガタガタガタガタ」
「おい、どうしたセリカ?」
「闘技場の環境設定がいきなり猛吹雪になって遭難しました。クシュン」
「はあ、ティナがまた何かやったのか? ちょっと様子を見てくるか」
クロはため息一つついて風呂に入るのを後回しに闘技場の方に向かった。
しかし闘技場には、誰も居らず、環境設定も元に戻っていた。
「う~ん、何処いったんだあいつら」
その後、M&Mの中を探し回っていると、今度はシーナに出会う。
「あ、あんた何か知ってる? チビ達が、スライム捕まえてきて火で焼いてるんだけど?」
「??? 何で捕獲してきてわざわざ此処で止めさしてるんだ?」
「解る訳無いわよ!」
「聞かなかったのか?」
「意味が解らなかったのよ……モチモチがどうとかいって」
「モチモチ? なんだそれ?」
「さあ?」
そのまま探し続け、自室の片づけをリーフさんに見張られながらしているティナを見つけて、
「あいつが関わっていないなら特に問題もないな」
とスルーする事にした。
そのまま、後日狐っ娘姉妹がクロに餅の作り方を尋ねてくるまですっかり忘れ去るのだった。
ティナ「終わらないよ~~~」
リーフ「コツコツ片付けてないからです!」




