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クリスマス?

今日はクリスマスと言う事で、クリスマスのSSです。


※本編中とは多少時間が前後します。

「ジングルベ~ル ジングルベ~ル すずがなる~ ヘィ!」


「「きょうは~たのしい~クリスマス~」」「ニャー」「ワン~」

 

「「…………(♪~)」」ジャーン


 ちびっ子達が、闘技場の真ん中に、靴下の沢山ぶらさがった土管を立てて、周りをなにやら歌いながら練り歩いている。

 土管の周りはなんか、白地に赤と緑、所謂クリスマスカラーで模様がかかれている。

 あ、よく見るとあれ魔法陣か?

 緑と赤の正三角形で六芒星になっている。


「ジングルベ~ル ジングルベ~ル」


 それに、ジングルベルの歌冒頭部分のエンドレス……。



 ………………。



 うん、色々突っ込みたいことはあるが、どこから突っ込めばいいんだ?

 今は、まだ冬は遠いって突っ込めばいいのか?

 真ん中の土管は何の意味があるのかと突っ込めばいいのか?

 狐っ娘姉妹のシンバル何処から持ってきたと突っ込めばいいのか?

 せめてジングルベルならベルだろ?


 まあ、そんな些細な事より、何をやってるんだって聞くべきか……。


 ……本当に聞いていいのか?


 …………。

 ……。


 見なかったことにしたほうが……。


 でも、セリカに頼まれたからな……ほっとくわけには……。




 それは、さっき、街から店に戻ってきた時の事だ。


「ただいま~。っと、どうしたセリカ」


 店の前で、何か考え事をしていた彼女に声をかけた。


「あ、師匠おかえりなさい」


「おう、ただいま。それでどうした?」


「それが、今日は闘技場で訓練をしようと思っていたのですが……」


 その話で出てきたのが……ちびっ子達の妙な行動で闘技場が使えないって話だった。


「それなら、狩りにでも行けば……」


「準備も何もしてないので、今からだと中途半端な場所しか……」


 ああ、この頃、狩りに行くにしても近場だと物足りないって言ってたな。

 この冒険者の街って基本的に離れれば離れるほどモンスターが強くなるからな、逆に言うと強い相手と戦うには、それだけ離れた場所に行かないとダメになる。


「あ、そうだ! 師匠! 久しぶりに相手になってもらえませんか?」


 う……。

 セリカとの対戦は疲れるんだよな。

 それに……。


「流石に闘技場じゃない場所で対戦は、危なすぎるぞ」


 色んな意味で危険だからな。


「う……そうですか……」


「まあ、ちびっ子達のやってる妙な事ってのが気になるから少し様子見てくるか」


「あ、それなら、終わってたら教えてください。今日は武器の手入れとかして一日出かけない事にします」


「おう、出来たら何時ごろ終わるかも聞いてみる」




 って感じで約束してきたんだが。 

 う~ん、あんまり関わり合いになりたくないぞ。

 どうしたものか……。


 そんな時、闘技場の観客席のからこっそり逃げ出そうとするシーナを見つける。

 ちょっと気になったので近づいて声をかける。


「おい、シーナなんで逃げ出そうとするんだ?」


 俺に動き気がついたのか、流石にそれ以上逃げ出そうとはしない。


「はぁ、今回は、私が悪いって言われても困るわよ」


 開口一番そんな事を言うので何があったか尋問する。



「今、あの子達が口にしてる妙な言葉を聴いて、私がそれ何かの呪文か何か? って聞いちゃったのよ」


 ため息一つつきながらそんな事を答えだす。


「それで?」


「おお~呪文か~とか言って、走り去って始めたのが……」


 シーナは、ちびっ子達の方に目を向ける。


「そうか……」


 うん、今回は流石にシーナを責められないな。

 それにしても、どうするか……。


「放っておいた方がいいんじゃない?」


 あ、考えてたのが口に出てたか?


「放っておいてもいいのか?」


「魔力とかの妙な気配もないし、妙なアイテムを持ち出してきたわけでもないし、何か起こるって事は無いでしょ。それよりも止めさせて他の場所で妙な事になるよりは……」


 確かにそうかもしれないな。

 

「そうだな……それならいっそ……」


 もう、時期ハズレだがクリスマスパーティでもするか。

 プレゼントとか用意してないし適当に料理用意して皆で騒ぐ感じだが……。

 ギルドよった時に、ちょっと言われた事もあるしな。


「いっそ?」


「パーティとかして騒ぐ日にしてみようかと……」


「いきなりどうしたのよ? やるんなら美味しい物とか食べれてうれしいけど……あ、美味しい酒お願いね」


「さっき、冒険者ギルドによった時にさ、ギルマスのおっさんに呼ばれて執務室に行ったら商業ギルドのマスターがいて、ちょっとな……」


「ちょっと?」


「もっと、お金使えって……」


「はあ? なにそれ?」


 その時に出た話しの内容を大雑把に説明する。

 簡単に言うと、うちの店M&Mは、お金を溜め込みすぎてるって事だ。


 まあ、確かに、仕入れも自分達で調達、消耗品も自分達で生産、商売関係でお金支払う事が殆どないんだよな。

 そのため、どんどんお金がたまって行ってる。

 それに、それぞれ個人で買う買い物とかは、冒険者ギルドで稼いだ分で足りてて、使われることがないんだよな。

 

 短期的には問題ないけど、続けてると通貨不足で物価が変動しかねないから頼むって言われたんだよな。

 使うのがアレなら、ギルドに預けてくれないかなんて事も……。

 普通は手数料必要なんだが、ギルドで負担して手数料無料でもいいからとまで言われてしまった。


「確かにね……考えてみるとこの店って異常ね」


「まあな……」



 そんな訳で、時期外れのクリスマスパーティをすることになった。

 でも、所詮食事だからな……焼け石に水だと……お酒ぐらいは奮発してみるか……。




 そして夜……。


「ふう……一日中歌い続けて喉がいたくなったよ~」


「あなたは、色々加減を考えなさい!」


 何時ものように、ティナにリーフさんが説教をしてる。



「肉ワン! 肉!!! 肉だワン!」


 犬っ娘のタマは、料理に用意された沢山の肉料理の数々に第興奮。

 クリスマスって言ったらチキンだよな。

 まあ、この世界だとそれっぽい肉って感じなんだが……。


 それに比べて沈んでるのは猫っ娘のポチ。


「おさかな……無いニャ……」


 クリスマスって言った時あまり魚料理が思いつかなかったんだよな。

 だけどまあ、今回は主にポチのために魚の料理も作ってみた、少し遅れてるみたいだけどそろそろのはず……。


「魚料理も持ってきましたよ~」


 レナさんとミルファさんがカートに乗せられた魚料理の数々を机の上にならべ始める。


「お魚ニャ~~~~お魚~~~ニャ~~」


 うん、ポチも喜んでくれたようでよかった。

 何気に、料理の材料だと魚が一番高かった。

 遠くから運んでくる為、輸送費や鮮度を保つ為のマジックアイテムとかで費用がかさむらしい。


「飲み物を持って来たであります!」


「お酒も沢山ありますよ~だけど飲みすぎないでくださいね~」


 アンとマユさんが飲み物を運んできた事で全員がそろう。



「…………(おりょうり……)」

「…………(つくりたかった……)」


 あ、隅っこで狐っ娘姉妹が沈んでいる。

 

「また今度、一緒に作ろうな」


 二人の所まで行って頭をなでながら慰める。

 

「…………(ほんとう?)」

「…………(ぜったい?)」


「ああ、だから今日は皆で一緒に食べよう。色々な料理食べるのも料理するのにはいい経験になるしな」


「…………(わかった)」

「…………(がんばる!)」



「じゃあ、時期が色々おかしいけど、ティナ達が色々やってた事だし。クリスマスパーティを……」


「クロちゃん! 話長い!」


「肉~肉~にく~ニク! ワン!」

「魚~さかな~お魚~サカナにゃ~」


 うん、タマとポチそろそろ限界そうだしさっさと始めようか。


「じゃあ、メリークリマス!」


「「「「「「「メリークリスマス」」」」」」」

 


「ニクワン~~~」

「サカナニャ~」


 タマとポチが料理に突撃していく。


「あ~~~急がないと私の分がなくなる!」


 それにティナが続いていく。


「…………(なくなるまえに)」

「…………(いそぐ!)」


 そこまで慌てなくても、あまると思うんだが……。



「これ、めちゃくちゃ高い奴じゃない!」


 シーナが幾つかのお酒のなかからある一つを取り出して早速飲み始める。

 流石と言うかなんと言うか一番奮発した奴を迷わず選んだな。


「美味しいであります」

「美味しいですね」

「美味しいです!」


 アンとマユさんとセリカは3人でゆっくりと料理を摘んでいる。



「クロさんこれ美味しいですよ」


 レナさんがミルファさんと一緒に料理をお皿にとってきてくれたので一緒に食べる事にする。


「ああ、確かに美味しいなこれ」


「それはよかったです」


「ミルファさんも見てないで一緒に食べましょう」


「はい、それでは……確かに美味しいですね」




 そんな感じで突然始まった季節はずれのクリスマスパーティは、何事も無く……終わった。

 うん、ここなら酔っ払って魔法ぶっ放す奴が居ても怪我と気にしなくていいからいいよな。

 料理運ぶのは少し面倒だけど、安全面で今度からお酒の入るパーティはここでやるのが良いかもしれないな。

 


 その後、深夜にふと物音に目を覚ますと、お酒の入ったパーティの後の死屍累々の会場で、シーナが何かやってるのを見つける。


「シーナなにやってるんだ?」


「あ、あんた起きたの? まあ、あんたなら良いか」


 そう言いながらお菓子を小分けにした袋をちびっ子達が作った土管の靴下の中に入れていっている。


「まあ、私が原因みたいなものだからね……すこしぐらいは……」


「そっか……」


 俺は、彼女にを手伝って一緒に靴下にお菓子を入れていく事にした。

 いくつか、妖精さん達の自己主張が強い靴下(ひと目でわかるイラストがついてた)があったので、それにはアイテムボックスから取り出したソウルキャンディを入れておく。


「こんなもんか」


「そうね……」



 そうして夜は更けていく……。






 ちなみに、後で聞いた話だが、土管だと思ってたのは煙突のつもりで、サンタの召喚の儀式をしていたつもりらしかった。

 う~ん、彼女達のサンタのイメージって……。

話の中ではまだまだクリスマスが遠いのでこんな感じになりまた。

楽しんでもらえたら幸いです。


それではこの辺で、メリークリスマス!


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