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第2話 何がどうして、こうなった?

ティナ「お酒は用法容量をまもって正しくお使いください!」


クロ「それなんか違うぞ!」


ティナ「あれ?」


クロ「未成年の飲酒喫煙は、法律で禁止されています!」


ティナ「未成年??」


クロ「あ……この世界では未成年の飲酒は禁止されてないのか!?」


シーナ「聞いたことないわよそれ」


クロ「ま、外国でも場所によって違うしな……」


ティナ「飲みすぎには注意だよ!」




※日本では、飲酒は二十歳になってから!

「私だってね! ヒック 私だってね! ヒック 好きで鬼軍曹とか、呼ばれたくて呼ばれてるんじゃないんだから! ねえ聞いてるの!」


「ああ、そうだな。全てティナが悪い」


 さっきから何度も聞いてるよリーフさん。だから胸倉つかんで揺さぶるのをやめてくれ。


「そうなのよ! ヒック あの子のせいで私がどれだけ ヒック 苦労してると思ってるの! ってっ聞いてる!」


「はいはい、ティナが悪い悪い」


 シーナ! あいつ何処に行った!

 この酔っ払いをどうにかしろ!

 って……大広間の隅っこに逃げて楽しそうに笑ってやがる!

 お前が酒飲ませたのが原因だろう!

 逃げるんじゃない!


「クロさ~~ん。クロさん~~。クロさんだ~~~」


 俺は、逃げ出そうにも、膝を枕にしてスリスリしてるレナさんのおかげで動くに動けないし……。

 そんなにがっちり脚にしがみつかなくても……てか、少し痛いぞ……。


「ミルファさん……せめてレナさんだけでも……あ……」


 うん、ミルファさんもダメだった……。

 

「わかっているんですか! 本当ですか!? 反省が足りません!」


 壁に説教するとか……少なくとも、協力は仰げそうにない。



 他のメンバー皆は……。

 

 セリカはたたみの上で大の字で寝てる。

 そのまま寝ると風邪引くぞ……あとで布団でもかけてやらなきゃな。



 ちびっ子達は……。


 ステージの上で……ティナ、危ないぞ!

 お皿を重ねてタワーにしたやつを左右の手に一本ずつ。

 それで酔拳みたく妙な動きをやらかしてるし……。

 いや、よくよく考えると凄いかもしれない。

 凄いバランス感覚でお皿のタワーを維持してる!


「にゃ~~にゃあ~にゃ~~」

「ワン! ワワン! ワん!」


 ポチとタマは、それを楽しそうに見物しながら変な調子で手を打ってるし……。


「…………(かがみ~?)」

「…………(かがみ~?)」


 狐っ娘姉妹は、全く同じ動きでシンクロしながら何かやってる。

 互いの右手の平を合わせて、左手は互いの頬をつねってる?

 ほんと何をしてるんだ? まあ、酔っ払いに言っても無駄か。

 あと、鏡の場合は左右対称になるからな。


 

 あと、マユさんは……。


 う……アレはアレで関わりたくない。

 黙々とビンから酒をついで黙々と飲んでる……。

 周りに散らばったビンは……考えないようにしよう。


 あと、残っているのは……。


 ふと、頭上に影がさした気がして上に目を向けると、天使の姿に戻ったアンが千鳥足で空中を飛んでいた。

 千鳥足で飛ぶ?

 なんかおかしい気がするがまあいいか……。

 まあ、そんな感じだ。



「ちゃんと聞きなさいよ!」


 ちょ、リーフさんやめて頭がシェイクされて気持ち悪い。

 俺は、彼女にガクガクと揺さぶられながら何を何処で間違えたのだろうと今日一日の事を思い出す。






 今日は、確か……。



「ノーム君達~~がんばれ~~そこはググーンと! そっちはババーンと!」


 昨日、冒険者ギルドの加入クエストをやっていた為、一日遅れて今日は、大浴場パワーアップ計画を発動していた。

 まずは、ティナとリーフさんの力を借りて工事中の建物の目隠しだ。

 数時間で増築が終わる所を見せると色々厄介事が増えそうなので念のためだったりする。


「そこだ! いけ~。ドカーンって!」


 ティナは声を張り上げ、土の妖精達に指示をしてるように見えて、その実一人で騒いでるだけだったりする。

 実際の作業は、俺とリーフさんで直接ノーム達に指示している。

 流石に、ノーム達も職人なんだろう。

 その指示を擬音だけでやられたらたまらないって所なんだろうな。

 ティナの指示をスルーして俺たちに従ってくれている。



「できた~~~~。じゃあ、夕方まで皆で狩りにいってくるよ~」


 拠点の目隠しが終わって直ぐ、ちびっ子5人は、お弁当を持って狩りに出かけて行った。

 あと、作業を始める前にセリカも狩りに出ている。

 で、残ってる女性陣でテラスや展望フロアの設計に取り掛かった。


 WMOでは、通常の使用で建物が壊れる事はなかったから、強度計算とかは必要なく、単純にデザインの設計だけだ。

 …………たぶん、問題ないよな? 

 うん、大丈夫だろう。


 俺の方は、3階を増築して、大浴場を移動し、大広間? 宴会場? まあ、そんな感じなのを設置するだけなので設計している間にやってしまう。

 あと、裏口からの直通転送ゲートも必要だったな。


「これで、セット完了っと」


 あ! 各種牛乳の販売機!

 危ない危ない忘れる所だった。


「これでよし!」




 そんな感じで、夕方には改築は終わり、皆そろって新設備の確認だ。


「うわ~~すごいです」

「なかなかいい感じね」

「きれいなものです」

「ちゃんとできましたね」

「はい、上手くいってよかったです」


 先ずは、女性陣(ちびっ子除く)が、デザインした、展望フロアとテラス……と言うより空中庭園になっているな……を確かめている。

 一面ガラス張りの展望フロアも凄いが……隣の空中庭園もなかなかに凄い。

 何気に、森林浴とまではいかなかったが草花に触れる場所は出来てるな。



 次は、大広間というより、やっぱり宴会場だな。

 畳敷きの広間で、奥にステージまである。

 吟遊詩人が歌とか歌ったらいい感じかもしれない。

 ただ、芸と出来るやついたっけ?


「おおお~~~」

「にゃ~~~」

「ワンワン!」

「…………(すっご~い)」

「…………(ひっろ~い)」

「変わった床なのであります!」


 

 忘れていけないのが、各種牛乳の自動販売機!

 中に牛乳とコーヒーと果物をセットしておけば、自動で牛乳、コーヒー牛乳、フルーツ牛乳を作ってくれる優れもの。

 うん、何も無い所から無限に牛乳出てくるとかは無かった。ちょっと残念。



 あと、裏口からの直通ゲートは問題なく動いた。

 

「朝の特訓の後とか便利そうです!」



 そんな感じで、お披露目が終わった後、皆で一緒にお風呂に入った。

 レナさんが色々隠すこともなく、俺の体に胸を押し付けてきたりして理性がガリガリ削られる事はあっても、まあ大きな問題は起きなかった。

 大丈夫! 理性が勝利した……はず……。

 

 久しぶりに飲んだ湯上りのフルーツ牛乳は美味しかった!

 皆にも好評だった。

 好評すぎて、ちびっ子達が隠れてのみ過ぎないかが少し不安になったが……。



 で、お風呂出た後に、折角だから宴会場で食事を食べようと言う事になった。

 

 思えばこの辺でブレーキをかけておくべきだったかもしれない。


 酔い耐性を軽減するノンベイ御用達装備を渡された時に気づくべきだったかもしれない。

 

 料理を食べ初めてしばらくして、シーナがお酒を取り出すのを止めておくべきだったかもしれない。


 甘口で飲みやすいからと、皆に飲ますべきじゃ無かったかもしれない。

 飲みやすいから度数が低いとは限らないんだよな。


 そして……。

 

 そして…………。


 今の惨状に繋がるのだ。



「ク~ロさ~ん~~」


 うわ、舐められた!?

 レナさんまって、それはやばい。


「ちゃんと聞いているんですか! 私が話しているんですよ!」


 リーフさん、何ども聞いた。

 いつの間にか、エルフの村でティナの苦情係みたいになってたって話は……。


「ティナ! 燃えます~~~」


 まて! 火を使うな!

 それはダメだティナ!


「突~~撃で~~~あ~ります!」


 ティナに何故か突っ込んでいくアン。

 うん、激突して両方撃沈したみたいだからひとまずは安心か。


「シーナさん! 私の酒が飲めないのですか!」

「マユ! あんたちょっと飲みすぎよ。 って……まって、それは無理!」


 マユさんが酒瓶をシーナの口に突っ込んでいる。

 うん、逃げた罰だな。


「~~~~~~にゃ~~」

「~~~~ワン~~~~」


 ポチとタマは、仲良く眠ってるな。


「…………(じーーー)」

「…………(じーーー)」


 狐っ娘姉妹は、お互い据わった目で見詰め合っている。

 少し怖いぞ。


 セリカは、大の字で眠ったままだな。

 ミルファさんが壁に頭をぶつけた格好で眠っている。


 う……俺も、そろそろ酔いが回ってきたのかも……少し眠くなってきたぞ。

 布団を用意して……まあ、めんどうだし……いいか……。







 




 そして、翌朝。



 二日酔いで痛む頭をさすりながら体を起すと……。


 隣に全裸のレナさんが……。


 昨日何があった?

 記憶が無いぞ!


 それに、ここは……レナさんの部屋?



 コン コン


「レナ、起きていますか?」


 う、ミルファさん?

 なんかこの状況を見られるのはやばい気がするぞ!


 そんな思いもむなしく、彼女が扉を開けてしまう。


「あら。レナにクロさん。ふふふふ……おじゃまでしたね」


 本当にうれしそうな笑顔を浮かべてそのまま扉を閉めていってしまう。


 なんだ?

 何か、外堀をどんどん埋められていってる気が……。



「あ、おはようございます。クロさん」


 ゆっくりと体を起して、自然な流れで唇を合わせてくるレナさん。


「今日もいい日になりそうです」


 彼女は、まぶしいほどの笑顔を浮かべていた。

次の話は、姫様のターンが始まるのか!?

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