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第4話 熟練度をあげよう!

今回は、アンの槌の熟練度をあげに出かけます!

どうなる事やら……。

 剣、大剣、斧、槍をそれぞれ装備した4人の男達の、脳筋PT。

 剣を持った少女と、大盾をもった少年、杖を持った中年の魔法使い、ムキムキマッチョの……聖職者なのか? 結構バランスの良さそうなPT。

 熊、犬、猫、鳥人(?)の獣人族のPT。

 などなど、その建物は、沢山の冒険者であふれかえっている。

 

 今日は、朝から冒険者ギルドにやって来ているのだ。

 


 う~ん、この時間にあんまり来たこと無いけど……凄い混雑してるな。

 やっぱり朝一でギルドにやって来て、依頼を取って出かけるのが一般的なのかもな。

 まあ、俺が今日来たのは依頼を受けに来たんじゃなくちょっと知りたい事があったからなんだけど……。

 さて、結構並んでるな、此処が最後尾か?

 そう思って、並ぼうと受付の方を見てみると……。


 あ、ついに受付のお姉さんが!

 


 一番右の席には、キャリアウーマンって感じのきつい目つきの女の人。

 三角眼鏡をかけたらどこぞの女家庭教師って感じだな。


 真ん中には、マイナスイオンが出てそうな感じの綺麗なお姉さんが。

 ギルドのアイドルって感じだよな。ちなみに列は彼女の受付に並んでる人達みたいだ。


 一番左の席には、まだ少女って感じの女の子が一生懸命仕事をしている。

 慌てて、書類をぶちまけたりしていし、ドジっ子なのか? それとも新人なのか?



 おお、確かに、綺麗所がそろっているな!

 ちなみに、男の受付もあったけどスルーだ!


 さて、どこに並ぶか……。

 列は、綺麗なお姉さんの所に大量に並んでいて、女の子の所に少し、キツイ感じの女の人のところは殆ど居ない。

 一番長い列はともかくとして、他の二人の並んでいる人の違いは作業速度の差っぽいな。

 キツイ感じの受付は、処理速度が半端ない。1人にかける時間が一番短い。

 逆に女の子の所は、色々ミスってるぽくて処理が滞っている。

 ちなみに、綺麗なお姉さんのところは、普通な感じだな。


 キツイ感じの受付は、機械的に手続きするならともかく、色々聞くには勇気が居る……。

 あ、何か誘いをかけようとした男の冒険者が、冷たい視線だけで撃沈してる。

 うん、女の子の方にしよう。綺麗なお姉さん方は待ち時間が長すぎるしな。

 

 さて、俺の番になるまでしばらくかかりそうだな。

 時間まで、アンの修行について考えるか。

 

 武器の作成は、残り2本だけど、これはアンが頑張るしかないからいいな。


 採掘の方は、マユさんが一緒に行きたいって事で彼女が一日休みになれるように準備をしてるそうだ。

 M&M自体を休みにすればいいと思うのだが、それはダメだそうだ。

 前は休みがあったような気がするんだが。

 まあ、休み無しで営業できる体制になったと言う事なのかもしれないな。


 で、今日冒険者ギルドに来た理由が3つ目の、槌の熟練度上げだ。

 弱いモンスターを大量に狩れるような場所がないか聞きに来たのだ。

 こういう情報については、冒険者ギルドが一番もってるだろうしな。

 無かったらしょうがないから、サーチ&デストロイで頑張るしかないのだけど……。



「お、おつぎの方~どうぞ~」


 考え事をしている間に順番が回ってきたみたいだ。


「ちょっとモンスターの狩場について教えて欲しいんだが」


「か、狩場ですか?」


 受付の少女は、緊張でカチカチな感じで少し不安になるな。


「出来るだけ弱くて大量のモンスターを狩れるような場所ってないか? リンク……一斉に襲ってきたり、アクティブ……向こうから攻撃してくるような事の無いモンスターがいいんだけど……」


「そ、それなら、コロスライムの巣が、お、お勧めです! 一杯居ますよ!」


「どの辺だ?」


 俺が、尋ねると、少女は地図を取り出してある地点を指差す。

 街のすぐ近くの岩場だな。歩いて15分掛からないだろう。

 その他、コロスライムの特徴なんかを説明してくれた。

 ちなみに、素材は殆ど売り物にならないそうだ。


「助かった、行ってみるよありがとう」


「そ、それでは、おきを……あ! 忘れてました。コロスライムと戦う時は、範囲攻撃に注意してください。倒せないと大量のコロスライムにいっぺんに襲われます!」


 ああ、タゲをいっぺんに取ってしまうほど大量にいるのか。

 結構よさそうだな。


「わかった。ありがとう」


 俺は、もう一度お礼を言ってギルドを後にする。



「何をやってるの! あなたは! そんな重要な事、言い忘れるなんて!」


 帰りがけに市場に寄ろうと道を曲がった所で、そんな怒鳴り声が冒険者ギルドの建物から聞こえた気がする。

 もしかしたら、あの少女がミスしたのかもな~。

 それよりもだ、狐っ娘姉妹の為に、卵を1ダース買っていかないとな。

 あと、今度の料理教室のネタにいいものを探さないと……毎日卵料理は流石にあきるだろうからな……主に食べる俺たちが……。




 午前中の仕事を終えたアンと一緒に昼食をとり、俺たちは二人で出かけて来ていた。

 場所はもちろん、午前中に調べたコロスライムの巣だ。

 アンの仕事が終わってからになるんだから、もう少しすいた時間にギルドに行けば良かったと、あの後気がついたりした。

 でも、冒険者ギルドで目的の物が見つかるとは解らなかったんだし、早いに越した事は無いよなと無理やり納得する。

 次からは、出来るだけあの時間を避けようとも心に決めたりもしたが……。


「師匠! 小さいスライムが沢山居るであります!」


 アンの上げた声に、視線の先を見ると……ゼリー状のいや、もう少し固くてグミのような感じかな?

 丸っこい半透明の小さなスライムが沢山居る。

 うじゃうじゃと気持ち悪い感じがしないのは、色が明るい半透明の赤、青、黄色など、だからだろうか?

 『モンスター鑑定(M)』鑑定すると、コロスライム(赤)、コロスライム(青)、コロスライム(黄)など色違いでも全てコロスライムのようだ。



「じゃあ、アン準備はいいな?」


 俺の質問に、鉄の鎧、鉄の兜、鉄のブーツ、鉄の籠手、それに鉄のハンマー全て俺の作った鉄製装備で出来のいいのを集めてきた物だ。

 装備を確認したアンが、「大丈夫であります」と返事をする。


「じゃあ、補助魔法をかけるからかけ終わったら一度、コロスライムを攻撃してみてくれ」


「了解であります」


 アンに攻撃力以外のブーストをかける。

 攻撃力を除いたのは、ブーストかけてない状態で様子を見る為だ。

 よっぽど、時間が掛かるようなら、かけるつもりだが、その場合解けたタイミングで叩いて計算が狂いそうなのが少し心配だ。

 まあ、一匹ずつ攻撃できればいいんだがな……結構密集していて一匹だけたたくのは辛そうなんだよな。


「アン、まずは一匹だけ離れたのを叩いてみろ」


「了解であります!」


 一匹だけはぐれていた青いコロスライムを見つけると、アンは近寄りハンマーを振り上げる。

 片手用の小さめのサイズなんだが、両手で持ってるのは逆に使いにくくないか?


「えい、であります!」


 そのまま、ハンマーが振り下ろされて……プチっと何かが潰れる音がする。


「やったであります。倒したであります!」


 うん、色々杞憂だったかもしれないな。

 一撃で簡単に潰れるとは……。

 ま、出来るだけ弱いモンスターと注文つけたからこんなものかもしれないな。


「じゃあ、アン。問題ないようだからひたすらコロスライムを倒していけ」


「了解であります! がんばるでありますよ!」


 気合十分なアンがハンマーを振り上げてペチン、ブチン、ブチ、バシン……。

 次々コロスライムをつぶしていく。

 なんだかもぐら叩き……いや、梱包財のプチプチをつぶしてる感じがしてくるな。

 ひたすら単調な作業でもアンが楽しそうにしてるのはいいな。

 慣れてきて気を抜いた時に思わぬ事故が起こらないように注意しながら、彼女のコロスライム潰しを見守る。




 そして……1時間ほどが経過する。


「師匠、何時まで続ければいいでありますか?」


 流石に同じ作業を淡々と続けるのにも飽きてきたのかアンがそんなことを尋ねてきた。

 う~ん、確か槌(ハンマー)の熟練度は5あればいいはずだよな。

 もうそろそろ、超えてるかなと、アンのステータスを確認すると……熟練度はまだ3。

 何か凄く成長が遅いな……まさか『未来の匠』の効果が槌(ハンマー)の熟練度にまで効いているのか!?

 確かに、鍛冶の生産作業中にハンマー素材を叩いても熟練度が上がったからな。

 結構面倒かもしれないな、まあ、3まで1時間なら2~3倍の時間を費やせば5にはなるだろう。


「あと、同じペースで2~3時間って所だろうな」


「そうでありますか! 了解であります!」


 まだ半分も終わってないと、言ったはずなのに気力を取り戻しているな。

 ゴールが見えずに続けるより、明確なゴールが見えた状態の方が良かったと言う事なのか?

 長距離走とかで、そういうところはあるって聞いた事があったような気がする。


「おう、がんばれ」


 それにしても、俺の方は定期的に補助魔法かけるだけで暇だ……。




 さらに、2時間半後……。


「てやーであります! とりゃーであります! おりゃーであります!」


 なんかぶっ続けで叩き続けて、アンも流石に疲れてきたんだろう、声を上げて気合を入れて叩いている。

 だけど……ぶっ続けでやる意味は無かったような……休憩ぐらいしても……まあ、コロスライムでは事故は起こりそうに無いか……。


 まあ、そろそろアンの槌(ハンマー)の熟練度が5になっても良さそうな気がしたので、ステータスを確認してみる。

 残念、まだ4か……いや、今丁度5に上がった!


「アン、目標の熟練度に達成したみたいだぞ!」


「本当でありますか! やったーであります!」


 最後に一匹叩き潰すと、アンが笑顔でこっちに振り向く。

 最初のころに比べてハンマーの扱いにもなれてきた感じがする。

 確か熟練度5で素人を脱却して、扱い方を覚えたレベルだったよな。

 熟練度10で、やっと見習いレベルだったか?

 そう考えると、成長は早いのか? 遅いのか?

 う~ん、いまいち良くわからんな。

 WMO基準で行くと、熟練度10ぐらいまでは、乱獲であげれば1~2時間でいけた覚えがあるんだが……。



「これで課題はあと2つであります! がんばるであります!」


「そうだな、じゃあ。今日はそろそろ――」


 帰ろうかと口にしようとした所で、岩場の割れ目の一つから赤いスライムが染み出してきて……巨大な赤いスライムになる。

 

「アン、気をつけろ! 後ろに巨大なスライムが出てきたぞ!」


「うわ! ビックリしたであります! でもスライムには負けないであります!」


 そう言って、ハンマーを振り上げ赤いスライムを叩きにいこうとしたところで……今まで向こうから攻撃して来なかったコロスライムがアンに体当たりを始める。


「まて、アン。様子がおかしい一旦こっちに来い!」


「うわ、痛いであります! 数が多すぎるであります!」


 半ば悲鳴を上げながら俺の方に走ってくる。

 何故急に、ノンアクティブのモンスターがアクティブになったんだ?

 そう思って、コロスライムを見ると、赤い炎というか、オーラといかそんな感じの物がやつら一匹一匹をおおってるのに気がつく。

 

 そうか、あの赤い大きいのはコロスライム達のボスか何なのか!

 『モンスター鑑定(M)』で調べると、マザースライム。

 同系統の種族を、統括するスキルと能力を上げるスキルを持っている!

 く、聞いてないぞ! 

 ボスが出るなんて!


 俺とアンで、必死に近寄ってくるコロスライム達を叩き潰していくが数が多い。

 面倒だ、少し不安だが魔法で一気に殲滅しよう!


「『アイスストーム』!」


 氷系の範囲魔法をスキルで詠唱破棄してぶっ放す。

 一瞬で、コロスライム達はおろか、マザースライムまでも氷の中に閉じ込める。


「す、すごいであります!」


 マザースライムまでも凍りつくとは思わなかったが、結果オーライと言う事にしておこう。




 その後、マザースライムに止めをさして、素材を取った後。

 他のコロスライム達の氷漬けを二人で一生懸命叩き割ってもとの岩場に戻した。

 うん、証拠隠滅じゃないぞ! 

 迷いの森みたいに氷漬けにしてトラブルが起こるのを避けたかったんだ!

 

「つ、つかれたであります!」


「本当に、な……」


 ちなみに、アンの熟練度は最終的に6まで上がっていた。

 氷を叩いても上がるのか!?

 まあ、氷漬けのコロスライムの止めの分なんだろうけど……。





 

「疲れたであります!」


「ああ、そうだな~。アンは風呂にでも入って休んでいるといい」


 二人でM&Mまで戻って来て、ダイニングで一服している。

 

「師匠はこの後どうするでありますか?」


「冒険者ギルドに苦情と……マザースライムの情報が無いなら少し危険だから注意するようにってな……」


「了解であります!」





 そんな感じで、本日二度目の冒険者ギルドにやってきたのだが……。


「申し訳ありません、こちらの落ち度です! 伝えるべき情報を伝え忘れておりました!」


 朝見た、キツイ感じの受付の女性が頭を下げている。

 隣で、真っ青な顔をした受付の少女も一緒に頭を下げている。


 聞く所によると、コロスライムの巣では、コロスライムを一定時間以上倒し続けると、怒ってマザースライムが出現するらしい。

 そのため、ギルドでは1時間に15分の休憩をするように決まってるんだとか。

 集中力とかと言った面でも休憩は有用なので、正式にルールとして決まっているらしい。

 今回は、ギルド側の落ち度だったために罰則とかは無いと言う事だったが……。


 ただ、マザースライムを倒すと一定期間……マザースライムが復活するまでコロスライムが増えなくなるため狩場として使えないと困っていた。

 何で倒したんですかと言う棘が、言葉のあちらこちらにあるような気がしたが……襲われたら倒すだろう!

 


 結局、初心者冒険者の有力な狩場が無くなって危険が増えると、青い顔のままの受付の少女を見かねて、初心者の面倒を多少見てもいいと約束させられていた。

 うん、少女をダシにして、キツイ方の女の人に誘導されたような気がする……。

 やっぱり、思ったとおり有能なキャリアウーマンってイメージはあってたのかもしれない。







 数週間後……。

 ティナ達ちびっ子組みと初心者冒険者のPT何組かで狩に出かけるのをちらほらと見るようになった。

 あと、リーフさんは、低ランクの冒険者を中心に恐れられる事にもなる。

 

 まあ、ティナやリーフさんが面倒みるなら、命の危険だけは無いだろう……。

次の話は、残りの課題の採掘に皆で出かけます。

あれ? なんか参加人数多くないか?

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