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異世界に飛ばされた俺は奴隷調教師になっていた  作者: 七瀬 優
第18章 いっぽう、その頃……。
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第2話 腹ペコナイトの冒険

SSの2話目です。

今回は、いつの間にか居なくなっていた腹ペコナイトの行方です。

「大変なんだよ! 村に入れてもらえなかったんだよ!」


 ティナさんがトラブル起したと言う事でダイニングに来てみたら……。

 リーフさんが、ティナさんから説明を聞いてるみたい。

 エルフの村がモンスターに襲撃されたとかじゃないなら、私は役立たずだよ。

 

 ぐぅぅぅぅ。


 何も出来ないと気づいたら……お腹が鳴るよ。

 お腹が減ったと主張するよ。


 あんまりよくないけど……がまんできないよ……。


 台所に行ってつまみ食いしよう。

 朝ごはんはもう出来てるよね。



「ううう……作りかけだったよ……」


 普通の材料で作ったご飯なら、作りかけでもつまみぐいするんだけど……。


 私やティナちゃんが取ってきた魔物素材とか一杯使ってるからな~。

 物によっては、毒なんかを無くす為に特殊な調理が必要とか聞いたんだよ。

 作りかけだと、毒があるのかどうかよくわからないよ。


 毒消しがあるから、食べても大丈夫かな?


 でも、毒じゃなくて味が悪い物もあるっていうから、どうしよう?

 ちゃんと、料理しないと、とても食べられないって聞いたよ!


 う~ん、どうしよう。

 

 他に食べる物もないし…………あ! お隣の街に行けばいっぱいある!

 

 師匠達に、お腹がすいたのでご飯食べに街に行きますと言って出てきたけど、誰も聞いてなかったよ。

 でも、お腹がすいて限界だったよ!

 そのままにして、M&Mを後にしたよ。




 そして、やってきたのは、冒険者ギルドの隣の宿屋だよ。

 1階が酒場になっていて、朝や昼は定食とかが売られてるって聞いてたんだよ。

 

 入り口から直ぐの所に空いた席があったから、そこに座って注文だよ。


「おまたせしました。ご注文はおきまりですか?」


 う~ん、初めて来たから良くわからないよ。


「お腹がすいたから、直ぐに一杯食べたいよ」


「それなら、スピード定食の特盛がお勧めですよ」


 なんか早そうな定食だよ。


「それでおねがい」


 お腹がすいて限界だけど……あとちょっとのがまん……。


「スピード定食1つ~~」


「スピード定食1つ了解~」


「スピード定食1つあがり~」


「スピード定食です、ごゆっくり~」


 我慢する暇も無く完成したよ!

 本当にスピード定食だったよ!


 パクパクパクパクパク。


 ムシャムシャムシャムシャ。


 ゴックン。

 

「おいしかったよ~」


「お、嬢ちゃんじゃねぇか~」


 あ、冒険者ギルドで時々会う、知り合いの冒険者の人だ。

 名前は……わすれちゃったよ。


「おはよ~」


「おう、それにしてもスピード定食なんてそんなに急いで何かあったのか?」


「お腹が減って限界だったんだよ!」


「それでスピード定食を頼むのか……相当稼いでるんだな、嬢ちゃん」


「??」


「それ、A定食に追加料金だしたやつだろ?」


「そうなの? よく知らないよ。ここであんまり食べないし」


「そうなのか。ま、その定食は注文に割り込みをかけるから急いでる時以外は出来るだけ遠慮してくれや」


「わかったよ~」


 その後お店の人にお金を払って酒場を出る。

 う~ん、この頃お金を使ってなかったから、高いのか安いのかわからないよ。




 ご飯の後は、ついでだから隣の冒険者ギルドによる事にしたよ。


 ギルドの建物に入ってカウンターのところを見ると……。

 ギルドマスターのおじさんは居ないみたいだよ。

 話してると色々面白い事を教えてくれるんだけどな。


 う~ん、今日は……。

 キリリとしたキツイ女の人。

 ポワワ~ンとした優しい女の人。

 新人の女の子。


 この頃、受付にいる事がおおくなった三人だよ。

 どこの受付に行こう……。


 キリリとした女の人のところは、ちゃんとした用件以外は怒られるからだめなんだよ!

 ポワワ~ンとした女の人は、行列が出来ていて待たされそうなんだよ。

 

 うん、やっぱり新人のおしゃべり好きな女の子のところにしよう!



「こんにちは~」


「セリカさん、こんにちは~です」


「何か面白い話ある~?」


「シーナさんが、さっきまで、うちのギルドマスターと話してました、です」


 シーナがさっきまで来てたんだ。

 

「何話してたかわかる?」


「生産者ギルドがどうとかいってました、です」


 生産者ギルド……モンスターとかの話じゃなさそうだ。

 もしかしたら、素材とかかもだけど……。

 素材を集めろとかあんまり得意じゃないんだよ!


「他にはなにかある?」


「今日は変わった話はきかない、です」


「わかったよ~ありがとう~」



 う~ん、それじゃあ、モンスター退治のクエストを適当にさがそう。


「スライムがしゃべったとかお前、寝ぼけてたんじゃないのか?」

「幻惑系の魔法かなにかにかかってたんだよ」

「別にしゃべろうがどうってこと無いだろ」


 知り合いのPTのおじちゃん達が話してる。

 スライムがしゃべるとか言ってるけど。

 しゃべってもスライムだよね。


「いや、もしかしたら変異個体とか、レア個体なんじゃないか、それ?」


 変異個体!?  レア個体!?

 

 変異個体ってのは突然変異で、変わったスキルを持ったり、能力が大きく強化された、珍しいモンスターだよね?

 変異種ともいうよね。

 

 レア個体は、遭遇するのが珍しいモンスターって聞いた事があるよ。

 

 なんか、どっちも珍しいモンスターだけど、う~ん、詳しい違いが良くわからないよ。

 でも、どっちも普通よりも強いモンスターだって事は知ってるよ!


 所詮、スライムかもしれないけど、もしかしたらすっごく強いかもしれないよ!


「おじちゃん、そのスライムどこでみたの?」


「お、嬢ちゃんじゃねぇか」

「よ」「おはよ~」「よう」


「おはよ~」


 挨拶を返してもう一度、聞く。


「レアなスライムがいるんでしょ?」


「あああ、こいつの話か~あんまあてにならねぇぞ」

「そんなことねぇよ! あったんだよ!」

「あ~はいはい」


「私が探してみるよ~どこにいたの?」


「本気か~?」


「うん、レアだから強いかもしれないよ! スライムだけど……」


「まあ、下手に強いスライムが居たらあの場所はやべぇからな。探しに行ってくれるなら、いいか……」


 おじちゃんは、この辺の地図を取り出して近くの森を指差す。

 たしか、駆け出しの冒険者が最初に入る森だったはず。

 弱い敵ばっかりで、つまらなかった場所だ。


「ま、駆け出しのやつらが変異種なんかと遭遇はまずいからな。居たんなら倒すか報告するかしておいてくれよな」


「うん、わかったよ~」


 私は、レアなスライムを探しにその森に出かける。

 準備は万全だよ。

 必要なアイテムは全てアイテムボックスに入ってる!




 それで、近くの森にやってきたんだけど。


「えぃ」


 襲ってきたゴブリンに剣を振り下ろすと、一撃でまっぷたつだよ。

 凄く弱くて退屈だよ。


 スライムにもであったけど、普通のスライムで一撃でつぶれちゃったよ。


「変異種のスライム~~でてこい~~~」


 叫んでみるけど、声につられてやってくるのは、数匹のゴブリン。


 剣を軽く振るうだけで、簡単にやっつけちゃったよ。

 やっぱり弱いよ。


「うん? だれかきた?」


 何か人の足音のような物が聞こえてきたからそっちに意識を集中する。

 モンスターっぽくないからやっぱり人だよね?


「あ、今の叫び声やっぱり、セリカさんでしたか」

 

 あれ? 誰だっけこの少年?


「ロイです、門番をやっている時やM&Mのお店で時々あってるのですが……」


 あ、門番の人か~。


「ロイ~」

「知り合いか?」

「すげぇゴブリンどもが全て一撃だ」


 ロイ君の後ろから3人ほど遅れてやってくる。


「あ、紹介します。うちのPTの……」


 なんて、ロイ君がPTメンバーを紹介するので、私も「セリカです」と名乗っておいた。


「M&Mのか~」

「あの有名な?」

「ランクはまだ低いけど、メインがお店で、クエストをあんまり受けないからって話で、噂だとBとか行くって話だぜ」


 私達って……有名なの?

 う~ん、あんまり興味ないよ。


「で、セリカさん。さっきの叫び声がちょっと気になったんですが……変異種が出るって本当ですか?」


「この森で、しゃべるスライムを見た~って人が居たんだよ。変異種で強いかもしれないから戦いに来たんだよ」


 私の言葉で、暗くなるロイ君PT。


「おい、どうする? 変異種なんかに会ったら、俺達全滅だぞ!」

「でも、クエストのアイテムがまだ集まってないぞ」

「今日クリアしないとやばいぞ!」

「お金がマジでやばいよな、どうする」


 う~ん、何か相談をはじめっちゃったから、私は変異種探しにもどろう。


「じゃあ、またね~。変異種のスライム見つけたら教えてね~」


 そうしてその場を去ろうとすると……。


「あれ? ゴブリンの素材は取らないんですか?」

 

 ロイ君のPTの一人が尋ねてきた。


「めんどくさいからいいよ~。欲しいならもって行って~」


「本当に!? よかったこれで、クエストがクリアできる!」

「でも、それはあんまり褒められないぞ」

「だがよ、変異種がいるかも知れない森は直ぐにでも出た方がいいぞ。あったら全滅だろ?」

「ここは、ありがたくもらっておけ」


 う~ん、要らないから気にせず持っていってくれていいのに……。


「ありがとうございます。セリカさんこのお礼は……」


「うちのお店に、やくそうとか売りに来てくれればいいよ」


 マユさん、やくそうとか欲しそうにしてたからね~。


「わかりました、今度売りに行きます。ありがとうございました」

「「「ありがとうございました」」」


 そんな感じでロイ君達と分かれる。




「う~ん、全然みつからないよ……」


 ロイ君達と別れてからずっと探し続けてるんだけど……。

 見つからない。

 もうすぐ、夕方だよ~やっぱり情報がまちがってたのかな?


 ぐぅぅぅぅぅ。


 お腹すいたよ……。

 そろそろ、諦めて帰ろう。


 そう思った時だった、ふと、茂みの向こうに何か強い気配を感じる。


「見つけた!?」


 向こうから近づいてくるのを感じながら剣を握りしめる。




 そして……。


「な~んだ。ゴブリンの変異種か~」


 紫色のゴブリンの死体を見ながらもう帰ることにする。

 一応変異種っぽいから、持って帰ろう。

 アイテムボックスから皮袋を取り出し、その中に死体を入れた後、帰還の指輪を使ってM&Mに戻る。







 M&Mに戻って、ぐーぐー鳴るお腹に急かされながらダイニングにいくと……。


「師匠! 早く修行をしたいであります!」


 部屋に入ると、師匠に、変な子がお願いしていた。


 

 師匠は私の師匠だよ!

 

 私から師匠を取ろうとするなんて、絶対に許さないよ!


 


 ここに戦いの火蓋は切って落とされたんだよ!!

次の話は……。

あんた……誰だ?





※変異個体とレア個体

変異個体とは、突然変異で特殊な能力を手にしたモンスター。

手にした能力によっては手におえない強さに……。


レア個体とは、めったに遭遇できないレアモンスター。

数が少ない貴重な種だが、それでも種を存続させるだけの強さが必要な為、

生息地域のなかでは頭一つ飛びぬけた力を持っていることが多い。



※紫のゴブリン

ゴブリンの変異個体で、毒の能力を手にしたゴブリン。

しかし、所詮強さは毒の攻撃を使えるゴブリンにすぎないので、セリカに瞬殺された。


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