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第1話 ティナの指輪

ずいぶん間が空いてしまいましたが、やっと更新です!

今後ともよろしくお願いします。

「ふぁ~~いい湯だ~」


 ぬるめの湯が寝起きの体に心地いい。

 このまま二度寝に……っていかんいかん。

 お風呂で寝たらおぼれるぞ!


 まあ、そんなことはどうでもいいや~。

 本当にいい湯だな~。


 好きな時間に大浴場でお風呂って地味に贅沢だよな~。

 俺はそこまでお風呂好きではなかったはずなんだが、この大浴場が出来てから1週間になるが、毎日2~3回は、入ってる気がするぞ。

 元々向こうでは、1日1回シャワーで済ます事が多かったのだけどな……。


 やっぱり、あれか……。

 こっちでは娯楽が少ないからなのか?

 ゲームとかないしな。まあ、この世界がゲームの様な世界だろって言われそうだけど。

 

 こっちの世界の娯楽といったら酒!

 うん、あんまり酒とか好きじゃないんだよな。


 ご飯!

 美味しいけど、1日3回に、ちょっとおやつ程度がせいぜいだからな……。


 あとは、女!

 うん……これは……次行ってみよう。


 他には……他には……。

 う~ん。これと言って思い浮かばないんだよな。

 趣味でも何か探すべきなんだろうか?


 あ、そういえばティナの本とかマンガとかを読むってのも……。

 ただな~。ティナの倉庫(部屋)は魔窟だからできるだけ入りたくないんだよな。

 こんど書庫か図書館みたいな設備作って皆で共有できないかを相談して見るのもいいかもな~整理が大変そうで少し躊躇するけど……。


 う~ん、やっぱり今の所はお風呂が一番の娯楽だな!

 今度GP溜まったらここの強化をするか。

 出来ることなら最初に考えてた露天風呂や温泉がほしいのだけど……。


 露天風呂は単純にこんな場所で作ったら覗かれるから却下なんだよな。

 どこかの眺めのいい場所に露天風呂作ってゲートでつなげてみるかな?

 まあ、まずは場所探しだろな。

 

 温泉の方は単純に直接掘ると移動できなくなるんだよな。

 特殊なアイテムがあればそういうこともないんだけど……肝心のアイテムの入手がな……。

 まあ、手に入ったら考えよう。


 う~ん、となると、大浴場そのものよりも関連設備をパワーアップとかの方がいいか?

 風呂をあがって、ぐた~と横になれる畳敷きの大広間とかもいいかもしれない。

 うん、結構いいな。

 大きな部屋と床の変更だけだからそうGPはかからないだろうし。

 ちょっと後で検討してみよう。



「お腹すいた~さっさと汗を流してご飯食べよ~」


 ガチャリと浴室の扉が開く音共にセリカの声が聞こえてくる。

 彼女は浴槽の方は見向きもせず、シャワーのところに直行する。


「石鹸……面倒だから全部一緒でいいや!」


 そのまま、ボディソープで髪の毛から体まで全部一緒に泡まみれになっている。

 う~ん、シャンプーとかリンスとか使わないと髪が痛むぞとか思わないでもないけど……。

 そもそもその辺をあいつが気にしてないからな。

 女として、その辺どうかとか思わないでもないけど……。


 他の皆はGP使ってマイシャンプーとかマイリンス、マイボディソープなんか購入してるからな。

 特にシーナは、全種類購入していたけど、あれは自分ではあんまり使わず、ポーション用の小瓶に1~2回分をつめて、M&Mで1000Gを超える額で販売したりしてたからな。

 シーナブランドとか言ってるけど良いのか? 

 まあ、商標とかで文句を言うやつも居ないか。


 あと、ティナを含めたちびっ子組5人は、お子様用のキャラクター商品を一緒に使っていたな。

 犬の形のシャンプーに、猫の形のリンス、ボディソープは狐の奴が2本。

 うん、これもなんか女子力とかとは、少し違う気がするな。



「よし、終わった! 急いでご飯に……あ、師匠じゃないですか!」

「おうセリカは朝錬の後か?」

「はい、ご飯がそろそろできるから汗を流して来いってマユが……」

「そっか、それじゃあそろそろあがるか~」


 そう言って二人で浴室を出た辺りで、ギルドチャットで連絡が入る。


『マユ (ギルド):今、手の空いてる人居ませんか? いたら急いでダイニングに集まってください。ティナさんが……大変です!』


 マユさんからか……手の空いてる人だけだからそこまで緊急性はないと思うのだが……。

 いかんせんティナがらみだからな……。


『シーナ (ギルド):今、冒険者ギルドよ。用が終わったら直ぐ戻るわ』


 シーナは冒険者ギルドか、面白い依頼とか儲け話でも探しに行ってるのだろう。


『天狐 (ギルド):…………(ど、どうしよう)』

『地狐 (ギルド):…………(どうしたら?)』

『リーフ (ギルド):貴方達は気にせず4人で合宿を続けて』

『天狐 (ギルド):…………(こくこく)』

『地狐 (ギルド):…………(こくこく)』


 ああ、ちびっ子達 (ティナ除く)は、今はエルフ村辺りの森で合宿中だったな。

 それにしても、狐っ娘姉妹はギルドチャットでもしゃべる事は殆どないのに何故か言いたいことが伝わるんだな。

 ボディランゲージで伝わったと思ったのだが……なにか他の理由でもあるのか?


『クロ (ギルド):俺とセリカは、風呂をあがった所だからすぐに行くよ』




 そして、ダイニングでは……。


「大変なんだよ! 村に入れてもらえなかったんだよ!」

「何をやらかしたんですか! あなたは!」

「な、なにも、してないよ? たぶん……」

「そんなはずは、ないでしょ! 理由もなく追い出されるはずは!」


 ティナとリーフさんが、騒いでいた……騒いでるのはティナだけか。

 マユさん、レナさん、ミルファさんはその様子を離れた場所で見ている。

 俺達は三人の方に近づいていって何が起きたのかを聞いてみる。


 どうやら、ティナが朝方、エルフの村に行ったら追い返されたらしい。

 

「うう~~~。酷いよ~。ただ、矢を作るのが面倒だから村の倉庫からもらってこようとしただけなのに~」

「そうですか……その件は後できっちりとお話する事にしましょう!」

「お、お話なんていらないよ! それよりも入れてもらえなかった事だよ!」

「そうですね、先ずはそっちでしょう。具体的にどんな風に追い出されたんですか?」

「『部外者は出て行け~』って、矢が降って来たんだよ! 危うくやられるところだったよ!」

「部外者……? ですか……?」


 うん、なんか妙な話になってきたぞ?

 何かやらかして追放ならそういう話をするだろうし、部外者とか言われることはないだろうからな。

 もしや、この頃帰ってなくて忘れられた?

 それもないか、エルフの時間間隔はもっと長いスパンだしな。

 ……うん? 忘れる? 何か大事な事を忘れてるような……。


「ただいま~。で、ティナが何をやらかしたのよ?」


 シーナがそんなセリフと共に戻ってくる。


「シーナ、冒険者ギルドの用は、終わったのか?」

「商業ギルドの件がやっと片付いたから、うちの武器や防具の扱いを生産者ギルドなんかを含めて決めたいってさ。早い方がうれしいって事だから時間があるなら今日の昼からってことだけど……マユとあんた、いけそう?」 

「はい、お店の方はミルファさん達に任せれば、大丈夫です」

「俺もいけるぞ」

「それじゃあ、この後、ギルドの方に伝えに行ってくるわ。で? こっちはどうなのよ?」


 シーナに改めてティナがエルフの村から追い出された事を説明する。


「ティナ、確か姿を偽るマジックアイテム使ってたわよね? それはずして行ったの?」


 それに対してシーナはそんな事を言い出した。

 姿を偽る?


 ………………。

 …………。

 ……。


「あああああああああああ~~~~忘れてた~~~~~~」


 ああ、そういえばそんな物つけてたよな。

 あまりに、なじみすぎてすっかり忘れてたぞ!

 皆も納得の表情になっている。

 これで一件落着かと思いきや……。


「エルフの村の皆ならその程度は見破れると思うのですが……」


 リーフさんが一人表情が曇ったままだ。


「それに、ティナの周りの妖精達が説明して……」

「リーちゃんが、特訓でずるするのを手伝っちゃダメっていうから、みんなが手伝ってくれなくなったんだよ!」


 うん、そこまでずるするのに労力使うならいっそまじめにやれよな……。


「ま、一度その指輪を外して行ってくればいいだろ?」


 俺の言葉に「そうだね!」とうなづいてティナは指輪を外そうとする。


「あれ? あれれ? あれれれれ? 外れないよ~~~~」


 指輪を必死に外そうとティナが悪戦苦闘しているが、一向に外れる様子が無い。


「石鹸を使うと外れやすいって聞きます」


 マユさんが台所に連れて行って石鹸で外そうとしたり……。


「引っ張れば良いよ!」


 セリカが力づくで引き抜こうとして、「痛いよ~~いたい、いたいイタイいたい!!」とティナが悲鳴を上げたり……。


「もう壊しちゃおうよ!」


 ティナが指輪を壊して外そうとするのをマユさんが止めたり……。

 うん、ハンマーで指輪を叩いて壊すのは良いけど……指も壊れるぞティナ。



 そんな事をしばらく続けて、万策尽きた頃……。


「これは何かに、呪われてるんじゃない?」


 シーナがポツリと呟いたのを耳にして、一応『アイテム鑑定(M)』を使って調べてみると……。



 名前:ティナの指輪

 分類:指輪

 品質:ユニーク

 備考:妖精などの力により、ティナ専用に進化した指輪。

    元は幻覚で姿を偽るものだったのだが、真の姿(?)に変身する効果にグレードUP!

    ※変身中は、指輪を外す事は出来ないぞ!



 何かおかしなことになっていた。


「………………ティナお前何をやった?」

「え!? だから村に……」

「じゃなくて! その指輪に何をした!?」

「え? 指輪???」


 本人に自覚なしか……まあ、忘れている事もありえるけど……。

 

「何か、その指輪が進化してるぞ!」

「進化~~~!? 何か凄いよ!」


 うん、進化に食い付いたか……忘れてる線はたぶん無いな。


「妖精達の力で進化してる。あと、変身を解かないと外れないようになってるぞ」

「変身を解く? 戻れ~~?」


 ティナがそんな事を呟くと、光が彼女を覆い、少し背が伸び、耳が尖り、胸が大きくなる。

 ああ、あまりになじみすぎて忘れてたけど……こっちが本当の姿なんだよな。

 そういえば、指輪の説明にも真の姿(?)とか書かれてたしな。


「おおお~もどった~~~それに外れた~~~じゃあ、これで村に行けば問題解決だよね~」


 ティナが喜んでいる様子を見て他の皆も、「解決ね」、「よかったですね」、「おつかれさまでした」などと、コレで話は終わったと思っていた。

 しかし……1人、さっきまでよりも深刻な顔をしてるのに気がつく。

 リーフさんだ!

 どうしたんだと首をかしげていると。


「ティナ……他のモノに何か余計な事をしてないでしょうね?」

「え? 知らないよ~わたしがやったんじゃないし!」


 そこで、その場の皆がリーフさんの危惧している事に気がつく。

 皆が、「何か妙な物を作ってないだろうな!」と言う思いで1つになる。


 

 その後、朝食を急いで食べた後、皆でティナの持ち物検査をやることになった。

 検査と言っても、皆が怪しいものをひたすら持ってきて、俺が『アイテム鑑定(M)』を使いまくったのだが……。


 午前中一杯やって昼からは生産者ギルドの方に行くと言う事で一旦終了になった。

 というより、範囲が大きすぎてまともに探せないといった方が正しかったのだが……。



 おかしな物は、他に1つだけ見つかった。

 ポンポン見つかるよりは安心は出来るか。

 肝心の品は……。



 名前:伝説の勇者の冒険譚7巻

 分類:武器 (本)

 品質:ユニーク

 攻撃力:0

 備考:妖精の力により、ティナ専用に進化したマンガ。

    元はただのマンガだったはずなのだが……。

    特殊効果は、妖精の力を借りる時のコスト低減小、効果UP小、MP回復力UP小、進化。

    

    

 聞いたところによると、現在のこの世界の装備品ではこれだけの特殊効果がつく物は相当なレア物らしい……。

 う~ん、俺的には効果が小ばっかりだから微妙ではあるんだけど……。

 まあ、『進化』の特殊効果が怖いといえば怖いかもしれないが。


 ちなみに、このマンガ他の巻も調べたが進化していたのはこの巻だけだった。

 何が違うのか内容を読んでみたら……妖精のキャラクターが活躍してる巻だった……。

 妖精さん達……。




 そして、午後からは、俺とシーナとマユさんで生産者ギルドの方に出かけることになる。

 ミルファさんとレナさんで店番だ。

 

 ティナは……。


「村に一度行って試してみないと!」

 

 ティナが往生際悪く逃げようとするのに対して……。


「そうね、村で長老達と一緒にお説教もいいわね」

「え、えっと……やっぱり村には行かなくて……いやああああああ~~~たすけて~~~~許して~~~リーちゃん~~~~」


 エルフの村へとリーフさんに引きずられて行く。

 



 死ぬなよ……ティナ……。

次回は、ついに生産者ギルドに……。

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