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第1話 昇格

ついに、昇格の話です!

転職とか、クラスアップとか凄くワクワクするよね!



※2014/03/02

タンカーの説明部分を追記

 職業マスターとは……。

 それぞれの職業に設定された上限レベルまで鍛え上げる事。

 上限は、上位の職業ほど高く設定されているが、飛びぬけて高かったり、低かったりする職業もある。

 あと、職業をマスターする事で、マスタースキルが取得できる。

 ほかにも、昇格なんかの条件になっていたりもする。


「まあ、その職業を極めたって事だ」

「違うわよ! マスターの意味を聞いたんじゃないわよ!」


 シーナが声を上げる。

 うん、そんな気はしてた……でも、どう説明した物か……。



 そもそも、何故こんな話になったかと言うと……。

 BOSSへのリベンジの為、手っ取り早くメンバーの戦力UPする方法は無いかと相談していた時、俺が提案した事が原因だった。


「まずは、騎士をマスターしたミルファさんを、昇格させるのがいいと思うんだが?」


 昇格や転職を行うと一時的にLv1に戻って戦力ダウンになってしまうのだが、レベルを上げなおせば確実に戦力UPに繋がる。

 あと、マスターしたままだというのは、経験値が丸々無駄になるってのもあるよな。

 だから俺は、問題となるなら……何に昇格するかと言う事と、一時的に戦力ダウンする事についてだと思っていた。


 しかし……。


「マスターって何よ!」

「え!? 騎士をマスターですか?」


 返ってきたのは、シーナの半分やけくそになったような叫び声と、ミルファさんの驚きの声だった。

 うん、マスターに食いつくとは思わなかった。



 とまあ、肝心の昇格の話ではなく、マスターの話になっているのだ……。


「そもそも、ミルファさんは何で驚いているんだ? ステータスを見れば直ぐに自分のレベルぐらい見れるだろう?」


 ステータスを常時確認するなんて基礎的な事だろう?

 ただまあ、この世界に来て、意識して無いと表示が出ないってのは結構ネックだけど……。

 MAPとか表示消えてて索敵が疎かになったりとかあったからな……。


「おかしな能力もったあんたと、同じにしないでよ! 普通は冒険者ギルドのカード更新やPT組むついでに確認するぐらいよ!」


 「え!?」と声を上げかけたのだが、ティナと、そう言う事にうとそうなレナさん以外、皆が頷いるのを見て飲み込む。

 あ、そういえば、システムコマンドは全滅だったんだ。この世界の住人は……。

 

「でも、そこのギルドコアを使えば見れるんじゃないのか?」

「確かにそうね。毎回料金取られなくて重宝してるわよ!」


 うわ……ステータス閲覧だけで料金がかかるのか……。

 そりゃ……頻繁に見れないな。


「じゃあ、どうして毎回見てないんだ?」

「師匠。それは、そう簡単にレベルが上がったりしないからです! 普通1週間でLvが1上がったら凄く早いですから!」


 セリカが答えてくる。

 エルフの森ではそれ以上の速度で上がってた気がするんだが……。


「あの獣人のちびっ子達がレベルアップしすぎで成長が追いつかないとか言うあたりで気がつくべきだったわね……」


 シーナがうんざりとした表情で呟いている。


「では……本当に……私は……騎士をマスターしたのですか?」


 驚きでしばらく固まっていたミルファさんが再起動して、ぎこちなく尋ねてくる。


「ギルドコアが直ぐそこにあるんだから確認してみるといい」

「はい……」


 ゆっくりと慎重な手つきで自分のステータスを確認するミルファさん。

 レナさんが隣で一緒になって確認作業を見ている。


『ミルファ:騎士★MASTER★』


「ほ……ほんとうに……マスターしたのですね……」

「ミルファ! おめでとう!」

「ありがとう、レナ」


 レナさんに皆が続く。


「おめでと~」

「よかったね~」

「おめでとう!」

「おめでとうございます!」

「よかったわね」


 俺も、ぎこちなく祝福の言葉を述べる?


「お、おめでとう?」


 う~ん、レベルアップやマスターで「おめでとう」なんて言うのは何時以来だろう?




「はぁ……喜んでるミルファ達に水を差すのもあれだし、突っ込むのにも疲れたわ……もう、話し続けましょう。昇格ってなら何になるかを考えるんでしょ?」


 シーナが本当につかれきった感じになっている。

 う~ん、知らぬうちに常識って壁を何枚かぶち抜いていた気がする……まあ、いまさらか!

 気を取り直してっと……。


「昇格先は、ミルファさんに任せるよ! 彼女の事だし」

「え!? 私が決めていいのですか?」

「ああ……」


 そういえば、この世界では昇格ってどうやるんだ?

 WMOだとシステムメニューで職業ツリーを表示させて、条件を満たしていれば何時でも昇格できたんだが……。

 この世界だと無いよな……システムメニュー。


「ところでさ、昇格ってどうやるんだ?」

「どうって……あんた、やった事あるんでしょ?」

「いや、システムメニューって無いだろう? どうやるんだ?」

「……もういいわ……疲れたわ……」


 シーナは頭痛をこらえるように頭を押さえる。


「教会の職のクリスタルを使うんです」


 マユさんがそう答えてくれた。

 けど……職のクリスタルって何だ?


「冒険者ギルドのPTクリスタルでも出来わよ。まあ、教会より候補が減るって話だから皆、昇格は教会だけどね」


 シーナが補足する。 

 PTクリスタル? それも知らないぞ? 何だそれ?


「職のクリスタル? PTクリスタル??」


 俺の疑問の声に、あきれたような顔でシーナが答えてくる。


「職のクリスタルは教会にあるクリスタルで昇格や儀式なんかの時に使うやつよ! PTクリスタルは冒険者ギルドでPT組んだり分かれたりする時に使うやつよ! まあ、考えてみればあんた……両方必要なかったわね……」 


 そんなアイテムがあったのか……。

 システムメニュー開かずにどうやってPT組んだりしてるのかと少し疑問だったが納得した。

 う~ん、それにしても、そのクリスタルってのはギルドコアに似てる気がするな……もしかしてギルドコアだったりするのか?

 まさかな……少し調べてみるか。


「と言う事は……もしかして、ギルドコアでも調べる事ができるんじゃないか?」

「あ、言われてみればそうね。出来るかもしれないわ」


 それなら早速試してみるか。

 教会や冒険者ギルドのクリスタルも一応確認する予定だけどな。


「あ、あの、どうやれば……」


 ミルファさんが少し緊張した様子で聞いてきたので、操作を教えて職業ツリーのウィンドウを表示させる。



「うわ~いっぱいあっていいな~~~私の時は2つぐらいしかなかったよ~」


 ティナがそう言って羨ましそうにウィンドウを覗き込む。

 確かに、騎士って昇格する職業の種類が多いよな。



 まずは、【騎士】の上位互換【上級騎士】。

 単純に能力を強化した騎士って感じだ。



 次に、武器特化系。

 剣に特化したもの、槍に特化したもの、斧に……などど武器の種類に応じて結構ある。

 ミルファさんがあまり剣以外を使ってなかった為だろう、剣特化以外は昇格条件を達成できていない。

 まあ、訓練とかをすれば何とかなるかもしれないが……。



 あと、魔法系。

 簡単に言うと、【騎士】が魔法を使えるようになった、ってタイプだ。

 回復系や攻撃系などの種類があるが、これはどれも条件が全く足りていなくて現状は昇格を狙うのは不可能だろう。


 

 最後に、タンカーとか壁とか言われる系統だ。

 ちなみに、タンカーや壁というのは、防御能力に特化してモンスターなどからの攻撃を引き受け、PTメンバーを守る役割だ。

 ミルファさんが一番真剣に情報を見ている系統だな。

 まあ、レナさんを守るためには一番適しているともいえる。

 この系統にはいくつかある。


 重装甲の鎧で身を固めて戦う、【アーマーナイト】。

 こいつは鎧の防御力に任せて敵陣に殴りこむ感じのアタッカーだな。

 槍や両手剣などを使って、基本的に盾は装備しない感じだ。

 スピードを捨てて防御力に特化した騎士だな。


 重装甲の上に大盾まで装備した【ヘビーナイト】。

 こいつは、ひたすら防御を固め、攻撃を殆ど捨てている、まさにタンカーだな。

 スピードを捨ててその代わりに、挑発系のスキルでひたすらにタゲを取ってダメージを受けるタイプだ。

 

 大盾に防御を任せた【シールドナイト】

 こいつは、大盾に防御を任せてそれ以外を比較的軽めの装備にすることにより速度を高めたタイプだ。

 攻撃手段も『シールドチャージ』『シールドアタック』などシールドを使ったスキルが多い。

 敵の攻撃を自分の方に向けるのではなく、その速度を利用して味方を狙った攻撃に割り込みその盾で受け止める感じだ。

 『かばう』とかのダメージを肩代わりする系統のスキルが充実している。

 

 

 あとは、幾つかのタイプを組み合わせたような奴もあったな……。

 ただ、殆どは昇格条件に達していなくて、修行が必要そうであったが……。



「師匠! おかしいです! 【聖騎士】がありません!」


 ああ、あれは属性が絡むタイプだったからな。

 その場の属性が違うと、別の職業になっていたはずだ。

 う~ん、たぶん【風の騎士】これだな。


「教会ならたぶん、【聖騎士】にも出てくるんじゃないか? 転職したのも聖なる力のあふれる場所だっただろう?」


 本当に教会が聖なる場所かは少し疑問だが……。

 何気に、欲にまみれてるものだからな……。


「じゃあ、さっそく教会に行きましょう!」


 セリカ……たぶん、ミルファさんは、【聖騎士】は選ばないと思うぞ。 




 その後、冒険者ギルドのPTクリスタルと、教会の職のクリスタルでも職業ツリーを確認した。

 PTクリスタル限定や職のクリスタル限定の職業もあったし、逆にギルドコア限定のもあった。

 色々条件とかがあるのだろう。

 ちなみに予想通り教会の方には【聖騎士】があった。


「【聖騎士】がお勧めです!」


 セリカが【聖騎士】を猛プッシュしていたが、


「ごめんなさい。【聖騎士】には昇格するつもりは……」


 という感じで撃沈していた。

 まあ、それ以前の問題として、昇格条件を達成するのが困難なんだけどな。


 

 あと、PTクリスタルと職のクリスタルを調べてみた。

 どうやらギルドコアとか拠点コアではなかった。

 『アイテム鑑定(M)』を使ってみたら……。

 両方とも同じアイテムで、見た目が違うだけだった。

 

 

『===================================


システムクリスタル


 スキルを持たなくても、システムコマンドを表示させる事が出来るクリスタル。

 機能拡張なども行え、システムコマンド以外の操作も追加できる。


 ===================================』



 うん、特に教会の職のクリスタル。

 ありがたみもへったくれも無いな。


 PTクリスタルは、冒険者ギルドメンバーだとギルドランクに応じた金額……高すぎず、乱用するには痛いぐらいの値段設定……で使用できた。

 職のクリスタル……あっちは高すぎだろ! 

 ボッタクリだった。





 そして、一通り確認した後、ギルドコアの前に戻ってくる。

 ミルファさんは職業ツリーを、だいぶ慣れた様子で表示させる。


「ミルファさん、職業は決まったのか?」

「はい、決まりました。ですが勝手に決めていいのですか?」

「さっきも言っただろう、かまわないさ。ミルファさんの職業だし、好きなのを選ぶといい」


 ミルファさんはそこで一息深呼吸したあと、1つの職業を選び、確認メッセージにYESと答える。

 セリカが、がっかりしてる様子が横目に見えたがまあ気にする事はないだろう。


 そして、ミルファさんの体が光に包まれて……。


 ついに、彼女は昇格したのだった。

次回ついにミルファさんが昇格です!

一体、何に昇格するのでしょうか!?

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