レナ、チョコレート作りに挑戦!
バレンタイン企画、2回目です。
今回は……レナさん&ミルファさんです。
レナさん料理できましたっけ?
※2014/02/14 冒頭部分加筆
――これは、シーナとマユがチョコレートを広めた後の話である――
「チョコレートを2月(?)の14日(?)に渡すと恋人がGETなんだって~~~」
昨日、ティナさんがそんなことをおっしゃっていました。
「手作りチョコだと効果倍増だって~~~~」
そんなこともおっしゃっていました。
これは、このところ何か影が薄いわたくしにとってまたとないチャンスです!
早速、チョコレートを作って、クロ様に渡して、恋人になるのです!
2月14日というのがいまいち解りませんが、2番目の月の14日目でいいのでしょうか?
それだと、多分明日になります。
時間がないのです!
急ぎませんと!
30分後……。
「無理です……わたくしでは無理なんです……」
台所には、謎の物質が並んでいます。
さすがにわたくしにもコレが食べ物じゃない事ぐらいわかります。
最初から無理だったのでしょうか?
どうしたら良いのでしょう?
そうです、ここはミルファに協力を求めましょう。
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困りました……。
凄く困りました。
何を困っているというのかと言うと……。
「ミルファお願い! チョコレートの作り方を教えて!」
レナのこの頼みです。
私もレナの頼みなら何でもかなえてあげたい。
たとえ、クロさんに渡すプレゼント作りでも喜んで手伝いましょう。
ですが……。
レナが料理ですか……。
これまでの、悲惨な食材の末路の数々が思い浮かびます。
どう甘く考えても、あれらの物をプレゼントして好感度があがるような事はないでしょう。
それであがるようなら、少しその人との距離をとりたく思います。
多分、ヘ・ン・タ・イとかそういった方々でしょう……。
「お願い! ミルファだけが頼りなの!」
う~ん、どうしたらいいのでしょう?
料理というのは、作り方をちゃんと守りさえすればちゃんとした物が出来るはずなのです!
それなのに、レナは……。
どうしたら……。
「だめなのですか?」
う、レナが悲しそうに……。
ここは私の力の見せ所です!
「解りました。ただし、指示にはちゃんと従ってくださいね!」
「ハイ! ミルファ先生!」
事細かく指示をしていれば、ちゃんとした料理が出来るはずです!
きっと……。
たぶん……。
できたらいい……作る前からこんなんではいけません!
出来ます!
やってやれないことはないはずです!
甘かったです……チョコレートなんかよりもはるかに……。
「わたくしには無理なんでしょうか……」
まず最初の、油の実の発酵の時点で躓きました。
なんででしょうか?
同じ設定のはずなのに、出来上がったものは腐りきっているのは……。
どうしたら良いのでしょうか!?
マユさんに相談に行きました。
「それでしたら、チョコレートを溶かして、思い通りの形に作り直しするというのはどうでしょうか?」
「溶かしてですか?」
「はい」
そういって、マユさんは一冊の本のあるページを見せてくれました。
溶かして、作りたい方に流し込んで冷やすだけ。
これならレナにも出来そうです!
「ありがとうございます」
「いえ、その代わり後で作業を手伝ってもらえたらうれしいです」
「解りました。レナに教え終わったら手伝います」
「うわわわ! こんな方法があったなんて!?」
レナが驚いています。
その手元には完成したチョコレート!
まあ、溶かして型に流して冷やしただけなのですが……。
「ありがとう、ミルファ。これなら何とか一人でも作れそうです!」
「レナの役に立てたようでうれしいです」
「それでは、しばらく練習した後に、クロ様に渡すチョコレート作りますね!」
「はい、がんばってください」
流石にレナも、これなら失敗したりする事はないでしょう。
私は安心してマユさんの手伝いに向かうのでした。
そして、マユさんの手伝いが終わって台所に戻ってみると丁度レナも作り終わったようでした。
「あ、ミルファ。出来ましたわ! クロ様に渡すチョコレート!」
「…………」
あれ? チョコレートってあんな色でしたっけ?
あんな毒々しい紫色なんてしてなかったはずなんですが……。
「わたしくの自信作なんですよ! クロ様の事を考えて、ポーションとか毒消しとか色々入れましたから!」
「…………」
何故そこで余計な物を入れるんですか!
とは言いません。
ポーションや毒消しなら問題はないでしょうたぶん、ただその色々ってのが……。
一体何を入れたらここまで禍々しい物に!?
「では、早速クロ様に渡してきますね~よろこんでくれるでしょうか?」
いけません!
あのような物を渡したら……好意とかそういうレベルの問題じゃなくなります!
レナのためにもなんとしても阻止しないと……。
クロさんのためにも……。
「まってください、レナ」
「ミルファ? どうしたのですか?」
「……えっと……」
どうしましょう、呼び止めたのはいいのだけど、止める理由が思いつきません。
「なんでもないなら、クロ様に……」
「あ、そうです! 大切な事を忘れていました。 料理には味見が必要なのです! 完成したものを一度味見しないと!」
レナもこれで思いとどまってくれるはず……。
「そうなんですか!? ”あじみ”というのはやった事がありません」
「…………」
「どうしたら言いのですか? ”あじみ”とは?」
「えっと……」
「?」
「一度、自分で食べてみて美味しくできたか確かめるのが味見です」
「あ! それは大切ですね」
レナは躊躇なく、あのまがまがしい物体を……。
「がlきゃk。あhれfざいlzsjづあ!?」
「って……レナ! 大丈夫!? レナ!!!」
コンコンコン
レナの部屋で彼女の看病をしていると、ドアをノックする音が聞こえた。
「どなたですか?」
「クロだけど」
クロさんがお見舞いに来てくれたようですね。
台所で突然倒れたと皆さんには伝えましたから、心配してきてもらえたようです。
「はい、入ってもらってかまいません」
「おじゃまします。レナさんは大丈夫ですか?」
「たぶん大丈夫だとはおもうのですが……」
「一応、『フル・ヒール』『リカバリー』『セイント・ヒーリング』」
何か凄い回復魔法をクロさんが使ってくれています。
これなら、たぶん問題ないでしょう。
「ありがとうございます」
「気にしないでください。それでは俺はこの辺で……」
あ、丁度いい機会です。
レナの想いに協力しましょう。
「あ、ちょっと私は用事があるのですが……レナの看病を変わってもらえませんか?」
「俺でいいんですか?」
「はい(そっちの方がレナも喜ぶと思いますし)」
「え?」
「いえ、なんでもないです。よろしくお願いします」
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「ううう……ミルファ?」
何があったのでしょう?
チョコレート作りをしていたのまでは思い出せるのですが……。
「レナさん大丈夫ですか?」
「ク、クロ様!?」
な、何でいきなりクロ様が!?
「レナさんは台所で倒れてしまったらしいんですよ」
「え? そうなんですか?」
そうなのですか……。
結局チョコレートは作れなかったのですね……。
「あれから、今までずっと目を覚まさなくて、もう日付が変わっています」
「そうなんですか……」
間に合わなかったのですね……。
「あ、そうだ。レナさん、先ほどミルファさんが持ってきてくれたんですが一緒に飲みませんか?」
「え? これは?」
「ホットチョコレートだそうです」
あ、たしかにチョコレートの色をしていますね
「あ、美味しい」
「そうですね、美味しいです」
「こんなチョコレートもあるのですね……」
「ミルファさんが台所にあったチョコレートで作ったそうですよ」
台所にですか……あっそういえば、最初に作ったチョコレート……。
もしかしてこれ……。
「(ありがとうミルファ)」
「どうしました? レナさん」
「いいえ、なんでもないです」
これで、クロ様と……。
ううう~顔が熱くてクロ様を真っ直ぐ見れません!
何故!? こんなに……こんなに……。
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それにしても、レナ。何であんな事で赤面してるのでしょう?
もっと恥ずかしい事なんて一杯してるじゃないですか……。
あ……そういえば、その辺の知識って大分歪まされてましたね……あの国に……。
それはともかく、これなら大丈夫そうですね……。
私はそっとレナの部屋の扉を閉めます。
あの、レナの初めて成功したチョコレートが溶けてしまってはいましたが、残っていて良かったです。
クロさん、それは確かにレナが、貴方のために作ったチョコレートですよ。
次回、バレンタイン本番。
さて、誰の出番か!?




