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異世界に飛ばされた俺は奴隷調教師になっていた  作者: 七瀬 優
第13章 M&M冒険者の街前店オープン!
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第4話 適正価格

ついに、クロの装備品の相場がわかります。

そして……。


「何てモノを売りに出してるのよ!」


なんて言うシーナの絶叫が……。

 心地よい眠りを、何かの気配に叩き起こされる。


「ふぁぁぁぁぁ~~~なによ~まだ暗いじゃない……。って、何これ!?」


 ティナあたりが、またバカな事を始めたのかと思ったのだけど……。

 どうやら違うみたいね。

 さぐってみると、M&Mの外に沢山の気配を感じる。

 何かあったの?

 私はすぐに、窓の方に足音を殺して近寄り、そっと窓を開け、鎧戸をほんの少し開ける。

 日頃念のためにと油をさしておいた蝶番はそのかいあって殆ど音もしない。

 備えは大事ねと思いながら外をのぞき見る。


「!?」


 何これ!

 凄い人だかりがM&Mの前に出来ている。

 街の方で何か事件でも起きたの?

 少し、聞き耳を立てて情報を集めてみましょうか。


 それにしても、私もなまっているかもしれないわ。ここまで人が集まるまで気づかないなんて。

 M&Mは無駄に安全性が高いから、外敵に関しては安心してぐっすりと眠れるのよね。

 少し、野宿などで勘を取り戻した方がよさそうな気がするわ。


 それはともかく、情報収集っと。



「おい、あんたは何が狙いなんだ?」

「おれは剣だぜ! 相当の業物が格安で売ってあるって噂だからな」

「俺は防具一式だな。そろそろ買い換えたかったんだよ!」

「え? 街で品切れの回復アイテムが大量に買えるから集まってるんじゃないのかよ?」

「あ、それどっかのバカが買占めやろうとして購入制限ができてたはずだぞ」

「うそだろ?」

「100個だっけか?」

「購入制限しても100個は買えるのか」

「だがよ、店も開く前からこんなに人が居て売り切れとか大丈夫なのか?」

「確かに、心配だな」

「昨日の時点で行ってりゃ良かった。昨日だったら普通に在庫はあったらしいからな」


「く……情報が伝わるのがはやいな」

「私たちは情報をつかむのが遅れましたからな」

「あのバカのせいだな、あんな目立つ事しやがって!」

「ですが、それで私達も気づけたんですから……」

「うまいやつらは、何人か人を雇って結構買い集めたらしいぞ」

「相当な儲けが出てるでしょうね……」

「教えずに自分達だけで独占とか!」

「まあ、私達だってこんなにうまい儲け話は他人には秘密にするでしょう。それなりに金をかけてでも」

「だな。それにしても出遅れたのは凄く痛いな」


「噂は本当なのか?」

「本当なんだろう? これだけ集まってるって事は」

「普通の鉄製装備と殆ど変わらないか少し安いぐらいの値段って聞いたぞ?」

「ありえないとスルーしてたのが痛いな。昨日の時点では普通に買えたらしかったのに……」

「昨日の何時ごろ聞いたんだ?」

「昼頃、飯屋で話してるのを小耳にな」

「直ぐ行ってりゃ。問題なく買えただろうに」

「その時教えてくれよ!」

「しくじったぜ」


「何だ? 何だ? 何かあったのか?」

「モンスターの大規模戦闘を始めるとかは聞いてないわよ」

「また襲撃か?」

「そう言う話もなかったわよね?」

「なんか、武器が安く買えるとか、防具が安く買えるとかそんな話をしてるよ~」

「安くって露店でも……あ、そういや土の箱が店になったとかいってたな」

「建築中に襲われても守れるように土属性の魔法で包み込んだとかよね?」

「凄い建築速度だったってきいたよ~」

「という事は、開店セールで大安売りとかやってるのかもな」

「どうする? 買って行く?」

「クエストの討伐は、まだまだ期限まであるから覗いていくか。これだけ人が集まってるという事は相当なんだろうからな」



 な……これ、殆どが店に買いに来たお客なの!?

 物凄い人の数よ……。


 まだ暗い時間だから、街の門は通行不可のはずよね。大規模PTでのBOSS戦にでかけるとかの特別な場合なら通行は出来る事もあるって聞いたけど。

 確かそれでも、夜間に出発したい冒険者は、門のそばの城壁からロープで降りるって事だったわね。片道通行だけど。

 馬車とか大きな荷物とかはもっていけないから、そういう時は外で待機か早めに出るって聞いたわ。

 まあ、今は門が壊れて開きっぱなしって感じだけど、その辺は厳しくやっているようね。

 暗い時間でも普通に通行できるのに慣れてしまうと、修理終わった時に閉めるに閉められないなんて事に成りかねないからね。

 夜間でも門を開いたまま警備をすると、相当な人数が必要になるでしょうし。

 元々、門や城壁なんてそういう襲撃の時、人を集める時間稼ぎの為って意味合いも大きいしね。


 と……そんな事考えてる場合じゃなかった。

 何でこんな事になってるのよ!

 しまったわ。昨日途中で調査を止めるべきじゃなかった。

 でもあれは、あいつのせいね。あいつが邪魔したんだから。

 まあ、まずは皆を叩き起こしましょう。

 あ、慌てて店の入り口とか空けたら大混乱だからその所注意しておかないと……。

 

『シーナ:皆大変よ! すぐに起きて!! 私の部屋に集合して! あと、絶対にM&Mの入り口は開けないで!』


 



 5分もたたないうちに皆が私の部屋に集まった……と思ったら、数人いないわよ?


「セリカと、レナと、ミルファと、ティナはどうしたの?」

「セリカには、店の所に行ってもし無理やり入ってきたりした奴が居たら叩きのめすように言っておいた」


 ああ、その可能性はあるわね。

 無理やり入ってくるんだからセリカに殲滅されても文句は言えないでしょう。

 

「まあ、結界装置があるからまず無いとは思うけどな」

「そうだったわね……」


 あの結界の効果を実際に試したわけじゃないからいまいち解らないのよね。

 今度暇な時にセリカに突撃させて見たほうがいいかもしれないわね。


「レナさんと、ミルファさんはギルドコアの部屋に行ってもらってる。念のための警備とMP充填だな」

「警備はいいとして、足りるのMPは?」

「そっちは、念のためだな」


 まあ、無難な配置かもしれないわね。

 

「あ、ティナはどうしたのよ?」

「あいつは起さないようにした。おきてもろくな事になら無い気がしたからな」

「…………」


 ああ、わかる気がするわ。トラブルの炎に油を注ぎ込みそうだわ。


「あと、砦の方のメンバーにはそのまま待機だな」

「解ったわ。で、早速なんだけど、マユとあんた……何かこの騒ぎに心当たりは無い?」

「回復アイテムとかの消耗品が枯渇してると聞きましたし、それが相当酷かったのでしょうか?」


 確かに、昨日探ってきた限りだと、消耗品の類は軒並み在庫切れか相当な高値だったわね。特に回復アイテムの類は……ちょっと安く値段設定しすぎたのかもしれないわね。

 でも、さっき、聞いた感じだと、消耗品よりも装備をねらってるかんじだったのよね。


「武器や防具もそうかもな。街の武器屋とか見てみたけど、ろくな装備が残ってなかったからな。あんな鉄の装備でもやすけりゃ需要があるのかもな。鍛冶屋とかも修理でいそがしいだろうしな。それまでのつなぎとかじゃないか?」


 え? ろくな物がなかった?

 そんな事はなかったはずよね? 

 昨日調べた感じだと……。


「回復アイテムなんかとくらべたら、ちょっと不足気味だけどそこまでひどい感じはしなかったわよ?」

「え? 全然まともな装備が売ってなかったぞ? ちょっと良さそうだと、売約済みとかオークションの出品予定とかで……」


 え?

 ちょっとまって……オークションの出品予定の品とか見たけど相当良いものだったわよ……。

 何か凄く嫌な予感がしてきたわね……。


「何時の話それは?」

「加入クエが終わった頃だと思うぞ」


 少し前になるのね……でもそこまで急速に品揃えが回復してるって話も聞かなかったわよね。

 となると……こいつの感覚がおかしいのかもしれないわね。

 って……まさか!


「あんた、売りに出した鉄の武器や防具って練習で打って見て出来のいいのを集めたっていってたわよね?」

「ああ、一番出来のいいのは俺たちの訓練用あたりに残したけどな。流石にそれ以外全部溶かして鉄に戻すのももったいない気がしてな」

「出来の悪いやつって残ってる?」

「多分、まだ全部は溶かし終わってなかったはずだから、作業場に転がってると思うぞ?」




 すぐに、作業場に行って見たんだけど……。

 そこに転がっていた鉄の剣や槍は、ぱっと見た感じ不良品とも思えないわ。

 普通に店に売ってあってもおかしくないレベルじゃないのコレ?


「あんた……これが失敗作に見えるの?」

「そのレベルなら、すぐに打てるからな」

「…………」


 凄いいやな予感がするわ……。

 確信レベルで……。


「日が昇ってきて、街の門の出入りが出来るようになったらすぐに冒険者ギルドまで行ってくるわ。あと、売り物の剣とナイフにポーションちょっと借りていくわよ」

「何の用だよ? 冒険者ギルドなんかに?」

「ちょっと鑑定してもらってくるのよ!」

「鑑定なら俺でも出来るぞ」

「相場の鑑定よ!」


 こいつ、自分のやらかした事に全く気がつきもしていない。

 鑑定するのが怖くなって来たわ。

 今は、出来るだけ安い値がついてくれる事を祈るしかないわね……。

 はぁ……売り物が安物である事を祈るなんて絶対何か間違ってるわ!





 日が登り始めて、周りが明るくなり始めた頃、やっと冒険者の街の門が開かれる。

 暗闇にまぎれて外で待機していた私はすぐに門をくぐり一直線に冒険者ギルドに駆け込む。

 あの【鑑定士】のお爺さんが居てくれたら最高なんだけど……ギルドマスターがつれてくるぐらいだから相当な腕だろうからね。


「ちょっといい?」


 凄い剣幕で冒険者ギルドの建物に飛び込んだ私に、ギルド内に居た冒険者や職員が一気に緊張する。

 カウンターまで駆け寄ると、酒盛りしていたギルドマスターが毒消しかなんかだろう、急いで薬を飲んで酔いを飛ばして居る。


「おう、じょうちゃん何かあったのか?」

「前にあった【鑑定士】のお爺さん居る? 居なかったら鑑定が出来るほかの人でもいいわ」

「おう、ちょうど来た所だぜ。おう、ちょっと爺さん呼んで来い」


 ギルドマスターが事務所にいたらしい職員に声をかけてお爺さんを呼びに行かせる。 


「はい」


 奥の方からすぐに返事がして、走っていく足音が聞こえたからすぐに呼んできてくれるわね。


「で? 何があった?」

「ウチの店の前に大量のお客があつまってきてるのよ」

「は? それの何が問題なんだ?」


 私の言葉に緊張していた空気が一気に和らぐ。


「なんだよ、おい。驚かせるなよ」

「はぁぁぁ~また襲撃が来たかと思ったぜ」

「だね~」

「うん? 店って……もしかしてあの噂か?」

「噂?」

「なんか、捨て値で装備品をばら撒き始めた店が出来たとか」

「捨て値ってどうせ使い物にならない装備でしょ?」

「噂だととんでもない高性能の装備品らしいぜ」

「うっそだ~」

「開店セールの客寄せってはなしだったぞ」


 う、まずいわね。

 そんなに噂が広がっていたの?


「おう、あの噂で人が集まってきたって事か?」

「何時ごろから流れ始めた噂なの?」

「ああ、昨日俺が店に行った頃からだな。最初はあの話が本命だったんだが……いつの間にか、格安の店って話になってたぞ」


 まずったわ。

 あの騒動が原因だったら、あの後外に出ていない私じゃ調べようが無かったわね。

 やっぱりあいつを説得してでも、客の数の多さの原因を探っておくべきだったわね。


「でも、不思議なんだよな。何で俺が行くまで噂が広がらなかったんだ? もっと広がってもいいと思うんだが……」

「多分、あの守銭奴達が情報をいじってたわね……」

「商業ギルドか……」


 私とギルドマスターが二人揃って商業ギルドに苛立ち始めた所で、職員につれられてお爺さんがやって来た。


「どうしたんじゃ? こんな朝早くから」

「ちょっと、急ぎで鑑定してもらいたい物があるのよ。代金は……」

「代金はいいぜ、前にあんだけまけてもらったんだからな」


 そっちも少し不安になってきたわね。

 あの売った回復アイテムの相場って思っていた以上に高かったのかもしれないわ。


「ありがたいわね……」

「その急ぎで鑑定して欲しい品というのはどれじゃ?」


 お爺さんに腰にさしていた鉄の剣とカバンに入れておいた鉄のナイフとポーションを渡す。当然M&Mで売りに出されていた品だ。


「このポーションは前に売ってもらったのと同じじゃな」

「そうよ、今回は、この街の相場を聞きに来たのよ」

「どうりで、あんなに安かった訳だな」


 う……やっぱり、相当な値がつく品だったの!?


「このポーションは、普通なら350~500Gぐらいが相場じゃな。ただ今だと……2~3倍。無理に買おうとすると5倍でも買えない事もあるかもしれんの」

「そんなにするの!?」

「この品質じゃからな……」

「まあ、イザという時の保険代わりだな。ハイポーションの品質悪いのと比べるとこっちの方が良い事もあるからな」

「そんなになの!?」

「今はハイポーションなんて入荷即完売だから、まず手に入らないしな」


 客があれだけ来るわけよね……わかる気がするわ。

 それにしてもマユ相当腕を上げてない?

 前なら結構、納得いかないからって売りに出さないポーションがあったはずよね?

 今回は枯渇してるからその辺も全部出してると思ったのに……。


「この鉄の剣は……何処で手に入れたのじゃ? とんでもない業物じゃぞ?」

「と・ん・で・も・な・い?」

「おう、それはどのくらいの価値なんだ? 爺さん?」

「値がつかんの……」

「ぶっ」

「そりゃまた……」


 まって、値がつかないって何!?


「どういう意味?」


 予感レベルじゃなくて確信レベルの嫌な予感ね。


「オークションなんかで目玉商品になるレベルじゃの」

「お……オークションで目玉って……」


 お、終わったわ……そんなものをあの値段で……。

 いや、まだよ。あの剣だけが特にいい出来なのかもしれないわ!


「こっちのナイフはどう?」


 一縷の望みをかけてお爺さんに尋ねる。


「同じ作者の作かの? こっちも同レベルのできじゃな」

「…………」


 終わった……なにもかも……。


「どうしたんだ? じょうちゃん?」

「めずらしいの……高額の鑑定結果でうなだれるとは……」





 う……5分ぐらい放心してたかしら?


「おい、じょうちゃん大丈夫か?」


 ギルドマスターが肩をつかんで揺するので気を取り戻す。


「あ、ありがとう……」

「で? これがどうかしたのか?」

「ウチの店の商品なのよそれ……それも値段が普通の鉄の装備の相場程度……」

「ぶっ!?」

「なんじゃと!?」


 そりゃ……驚くわよね……。


「それに気づいた奴が大挙して押し寄せて店の前が大混乱」

「そりゃ当然だろう!」

「よね……はぁ……」

「って、店って街の門の前じゃなかったか?」

「そうよ……」

「大混乱じゃねぇか!」

「そのとおりよ……」

「すぐにおさめねぇと!」

「ついでに依頼を一つお願い。暴動なんかが起きないように店の警備をお願い。依頼料はその剣とナイフでいいわ」

「おい、そりゃ願っても無いが……そんな大金いいのかよ?」

「店の在庫はそれなりにあるわ……」

「…………この街の相場がぶっ壊れるんじゃねぇか?」

「出来るだけそうならないように考えるわ……はぁ……」


 私は、そんな依頼をした後すぐにM&Mに戻る。

 戻る前に、冒険者ギルドに居た冒険者達が目の色を変えて街の外を目指して行くのが見えた。

 もう、どうとでもして……。






 そして、M&Mに戻って……。


「あんた! 何てモノを売りに出してるのよ! それも、あんな値段で!」

「え? だって……鉄製だぜ?」

「あれの相場わかってるの!? この街の相場が崩壊しそうよ!!」


 早急に対策を考えないといけないのでしょうけど……10分近くあいつに説教してしまったのはしょうがないわね。

 まあ、残りはこの騒動が終わってからと言う事で、早く対策を考えないと。

 そろそろ、普通に皆が起床するぐらいの時間よ。

 開店時間までそう時間がないわ!

次回……あつまったお客に対して売り物は圧倒的に足りない!

クロ達はこの危機をどう乗り越えるのか!?


「売り切れだよ~」

「それじゃあ、収まらないわよ!」






評価も募集始めました。

もしよろしければ、ポチっとやっちゃってください。

よろしくお願いします。



レビューはまだまだ募集中です。

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