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異世界に飛ばされた俺は奴隷調教師になっていた  作者: 七瀬 優
第13章 M&M冒険者の街前店オープン!
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第3話 怪しい客

開店早々M&Mに問題発生です。

クロは、色々まだ気がついてないようですが……。

 M&M冒険者の街前店の2日目は、朝から客足が伸びていた。

 というか……伸びすぎていた。


「お会計はこちらに並んでください~」

「マユさん俺も会計手伝う」


 俺は臨時に、作業場から小さめの作業台を引っ張り出してきて、俺とマユさんのそれぞれ会計のお客さんを捌く。


「ただいま、会計は2箇所になっています~どちらかの列に並んでください~」

「ポーションはいくらだ店員さん?」

「えっと……800G?」

「違うわよ!レナ、500G!、500G!」


 レナさんは列の整理にかかりきりになっているが、時々アイテムの値段を聞かれてテンパっている。

 ミルファさんがフォローしようにも、お客が多すぎて、近寄れず大声で訂正の声をあげている。

 なんか、レナさんのミスに「ガンバレ~レナちゃん!」「まけるな~~」なんて応援の声がいくつか上がっている。

 見た目も綺麗だし、その上ダメっ娘のギャップがいいのか?

 ファンクラブとかできたりし無いだろうな?


「どく消しやマヒ消しってどこですか?」

「ああ、そっちの商品棚です」


 ミルファさんは、商品棚を指差して案内する。


「この武器試させてもらってもいいですか?」

「す、すいません。今はちょっと、他のお客さんの迷惑になるので……」

「た……たしかに……無理言ってすみません。これ買います」

「そちらの列に並んで会計をお願いします」

「これ……会計の列だったんですか!?」


 会計の案内も……。


「試着はできますか~?」

「試着室は……そちらの角なんですが……その列に並んでください。」


 試着室の案内も……。


 うわ……むちゃくちゃミルファさんに負担がかかってないか?

 他のメンバーはどうした?


 ティナは……居ない方が助かる気もしないでもないが……。

 あ、店の前で客寄せのはずが……女性の冒険者達の集団にもみくちゃにされてる。

 まあ、マスコット的な扱いとして開店二日目からすでに定着しかかってるのかも。

 

 あとは、セリカは……かけだしっぽい冒険者の数人から装備の相談を受けている。

 

「フルプレートの方が防御力高くないですか?」

「動きにくいだろう?」

「戦い方にもよりますよ。タンカーなら……」


 う~ん、立派な接客とはいえるんだが……。

 そういうのはもう少し客が少ない時にしてほしい。


「店員さん店員さん、お会計お願いします」

「あ、すみません。合計――Gになります」


 う、やばいやばい、考え事して手が止まっていた。


「これでお願いします」

「はい、こちらがお釣りになります。まいどありがとうございました~」


 と、お客を送り出すとすぐに次のお客が商品を持ってくる。

 うう、休む暇も無いなこれは……。


 あ、そういえば、シーナ! あいつ何処行った!?

 店を見回すも、店内には居ない。

 MAPで確認してみると……おい、冒険者の街の中に居るじゃないか!

 あいつ……逃げたな!

 ギルドチャットで文句でも言おうかと思ったのだが、客の波でそんな暇も無い。

 あとで、お仕置きだな……。




 そんな感じで忙しい接客をつづけ、今日は昼飯の休憩とかとれるのか? 何て心配をしだしたお昼頃……。

 その客は、現れた。


 マユさんが会計をしてる台の上に、金貨の詰まった袋をドシンと置くと、


「鉄の武器に、鉄の防具、あるだけ全部買う!」


 そんな事を言い出した。


「え……全部ですか?」


 マユさんが、戸惑ったような声をあげる。


「そうだ、全部だ。さっさとしろ!」


 その男は、マユさんの反応に、いらだったのか声を上げる。


「まてよ! 買い占めるって何だ!?」

「そうだ、そうだ!」

「こんなに客がいるんだ! せめてPT分ぐらいにしろ!」


 列に並んでまってる客たちが騒ぎ出す。

 まあ、そんな反応も当然だろう。

 普通に品切れになったなら、まあ諦めもつくだろうが、こんな無茶苦茶されて買えないのでは、言いたくなるのもわかる。

 

 だけど、まずいな……。

 下手に売ったりしたら、他のお客さん達がどんな反応するか予想がつかない。

 暴動みたいな感じになりかねないぞこれ……。


 俺は、今対応していたお客さんから代金を受け取った後、「少々お待ちください」と一旦会計をとめマユさんのところに行く。


「この店は、お客が欲しい商品を売らないのか!? そんな店なのかここは?」

「あ……あの……」


 うん、マユさんがなかなか売ろうとしないのに業を煮やして恫喝じみた感じになっている。



『クロ:シーナいるか? 返事しろ!』


 …………。

 ……。


 PTチャットでと思ったが、あれは、同一MAPじゃないと使えなかったか……。

 ここは冒険者の街とは別MAP扱いか。

 しょうがない。返事をもらえなさそうだが、ギルドチャットで……。


『クロ(ギルド):シーナ! M&Mでトラブル発生。 装備品を買い占めようとする男が居る。 対応を相談したい直ぐPTチャットで返事しろ! サボリの件は無かったことにしてやるから!』


 と、ギルドチャットでシーナに呼びかける。一応、細かい状況の説明もしておく。

 マユさん達ギルドメンバーが俺の方に目を向けていたので、皆にも聞こえていたのだろう。


 まあ、これですぐにシーナから連絡が来るだろう、あいつならこういうときの対応はうまそうだしな。

 それまでは……。

 この、細身のおっさんだな。

 俺は、マユさんの前でわめき散らす男の方に向かう。


「お、あんたが店長か?」


 おれが近づいてきたのに気づいたのか、男がこっちに矛先を向ける。

 マユさんが店長なんだが……いまは面倒だから訂正しないでおこう。


「何か問題がありましたか?」

「そうだ! 俺が商品を売ってくれと言っても一向に売ろうとしないんだ、この女!」


 男がマユさんの方を指差しながら答える。


「それで何がご入用ですか?」


 まあ、隣で聞いていたから解っているのだが……一応な。


「この店の鉄製の武器、防具全部だ!」


 さっさと売れと言う感じで声をあらげる。


「それだけ大量の武器を何に使われるおつもりですか?」

「そんな事、今まで一度もきいてなかっただろう!?」


 男は怒鳴り声をあげる。

 うん、聞いてなかった。

 全部買い占めようなんてする奴がいなかったからな。


「流石にそれだけ大量にですと、使い道がわからなければ売るわけにも行きません」


 盗賊団に武器を供給とかそういう話になったら面倒だしな。

 そもそも、そんなに大量の武器が必要って時点でろくな感じはしない。


「そんなの、お前達には関係ないだろう!」

「さすがにそれだけの数の武器ですと、使い道が不明ですので……」

「それが、お前達に関係があるのか!?」


 う~ん、こいつ話が通じそうに無いな。

 だが、流石に使い道もわからず、これだけ大量の武器を一括で売るわけには行かないだろう。

 少なくとも、冒険者が自分のPT用にと言う量ではない。

 街の、警備をする連中の装備を一括で更新ならそれ相応の注文のしかたがあるだろうしな。

 こいつの感じは、反乱を起すのに武器が大量に必要とか……、盗賊団の武器をとか……、そういう後ろ暗い理由が、ある気がする。

 そうでなければ、すぐに購入理由なんて答えるだろう。

 流石にここまでの大量購入ならそのくらいは普通だと思うんだが……この世界だと違うのか?



 そんな感じで不毛な押し問答は、10分以上続いた。


「おう、ちょっとじゃまするぜ!」


 一向に連絡を返してこないシーナに、あとでどんなお仕置きをするかとか考え始めた頃、そんな声と共に、ギルドの受付のおっさんがやってきた。


「お、ガロウズじゃねぇか!」

「粉砕か!」

「何しに来たんだ?」

「あのバカを引取りにじゃねぇか?」


 おっさんの顔をみて、店の中に居た冒険者達が口々に噂しはじめる。


『シーナ:冒険者ギルドで応援呼んで来たわ。街の外とは言っても、街の近くで得体の知れない男が大量に武器・防具を集めてると知ったら、街の治安を預かる身としては放っては置けないでしょ?』


 冒険者ギルドが、あの街の治安を担っていたのか……ああ、門番とかが冒険者ギルドの依頼だって話だったな。

 それに、まとまった戦力は冒険者ギルドぐらいしかもってないか……。


『クロ:それであのおっさんか?』

『シーナ:あの男なら大丈夫でしょう』


 シーナも何か勝算がありそうだし、任せてみるか。



「ギルドの――」

「おう、問題が起きてるって聞いたからな。それでどうしたよ?」


 俺が挨拶しようとしたのにかぶせるように現状の説明を求めてくる。

 その説明を聞き終わったおっさんが、獰猛な笑みを浮かべる。


「冒険者ギルドは関係ないだろう! ここは街の外だぞ!」


 買占めに来た男は声を荒げる。


「まあ、普通の商売には干渉するきはねぇよ!」

「そうだろ? だったら、とっとと――」

「だがよ、街の治安を守る側としては、街の近くで大量の武器や防具を集めてるのを簡単に見過ごすわけにはいかねぇのよ! まあ、何か理由があるなら別だがな」

「ふざけるな! 何でギルドが出てくるんだ!」

「理由は言えないのか!?」

「何でそんなものを言わなけりゃならない!」

「そうか……」


 おっさんは、買占めに来た男の襟首をつかむと、そのまま引きずっていく。


「な、何をするんだ!」

「色々と、聞かせてもらうぞ。流石に怪しすぎる。なに、直ぐ近くの門の詰め所で話をきくだけだ」


 そのまま、おっさんは引きずっていった。

 うん、なんとか丸く収まった? のか?



「あ~、見ての通り、変なやからが買い占めたりすると問題だから、これからは購入制限つけるわ。装備品は1セットまで。消耗品は合計100ね」


 シーナが大声で、購入制限を設定する。

 

「ち、しかたねぇな」

「あのバカやろうのせいで……」

「よかった、なんとか買えそうだ」


 まあ、内心ではもっと買わせろと言うお客もいたのかもしれないが、今の騒ぎのせいで言い出せなくなっている。

 

 俺は、パンパンと大きく手を鳴らし、「お騒がせしました。会計を再開します~」と声をあげて再開する。


「シーナ、購入制限について外と中の良く見える所に張り出して置けよ!」

「なんで私が……」

「お前サボってただろう!」

「サボってなんか……」

「ぐだぐだ言ってると、シーナだけ給料無しな!」

「な!?……はぁ……わかったわよ」


 シーナはしぶしぶ、俺に従う。

 

 まあ、さっきのトラブルを冒険者ギルドに連絡して収めてくれたのは、GJだったからお仕置きは無しにしておくか。





 俺はその後、シーナがやっていた事を確認すべきだったと後悔する事になる。

 まさか、サボらずにまじめに仕事してるとは思って居なかったのだ……。



 それは、次の日の早朝、まだ日も出ていない暗い中、M&Mの外が妙に騒がしくて目を覚ました事から始まる。


「ふぁぁぁ~何だ? こんな朝早くから……拠点の警報とか鳴ってないからモンスター襲撃とかじゃないはずだが……」

「あ、おはようございます。クロさん。ふぁぁぁ」


 廊下でマユさんに出くわす。

 どうやらマユさんも外の騒がしさに目を覚ましてしまったようだ。


「何か外が騒がしい気がします。どうしたのでしょう?」

「ちょっと、見てくるか……」


 そうして、外にでようと歩き出した所で……。


『シーナ:皆大変よ! すぐに起きて!! 私の部屋に集合して! あと、絶対にM&Mの入り口は開けないで!』


 何か切羽詰ったシーナの声がPTチャットで届く。

 

 何があったんだ?

 俺達は疑問を浮かべながら、シーナの部屋に向かう。




 いつの間にか、あんな騒ぎになっているとは……この時の俺は想像もしていなかった。

次回……M&Mに何が起きたのか!

そして、シーナは何をしていたのか!?


乞うご期待。





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