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聖杯と黒銀(クロガネ)の騎士 “古(いにしえ)の鍵と覇道の帝国”  作者: 鰺屋華袋


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一日目 ⑤ 黒銀の鎧

 視界に映る全てを白く染め上げた閃光は、一瞬の強い光を放った後、徐々に力を失っていった。閃光が迸ると同時に……私は得体の知れない強い力で彼から押し離されてしまう……


「いけない!! フォーティ!!」


 私の視界はもろに閃光を浴び……自分の手元すらハッキリ見えないが……


(駄目!!今止血を止めたら………?!!)


 ぼやける視界の中、私は手探りでフォーティを探した。


(何がなんだか分からないけど……感触からすればそれほど離されてはいない筈!!)


 目を細めて周囲を見回し、ぼやける視界の中で……私はかろうじて見える周囲のシルエットからフォーティの方向に(にじ)り寄った……が、


「何よこれ……???」


 徐々に戻る視界に映ったのは……ドロドロと蠢く暗銀色の液体が……フォーティの全身を包み込んでいる光景だった。


「何なの……フォーティ!! お願い……返事して!!」


 私は……あらん限りの大声でフォーティを呼んだけど全く反応がない。それどころか……彼の身体を覆う暗い銀色の粘液は、更に厚みを増し……??


「キャッ!」


 眼前の光景に目を奪われていた私は……全く周囲が目に入っていなかった。背後から服を掴まれてそのまま数メートル後ろまで引き倒された私に……


 ― ガッ ―


「グッ!」


 ゴツい軍靴が私の腹にめり込む?! 私は必死にもがいて逃れようとしたが……血走った目の中尉に銃口を突きつけられて、身動き出来なくなってしまった。


「うぐぅ……」


 腹腔に()()()()()痛みに……私の口から呻き声が漏れる。引き倒された視界の端に……肩から血を流して取り押さえられたクロムウェル先生が……


「何をした??!!」


 突然の大声……


「ヤツは何をした……どうやって聖杯の封印を()いたんだっ!! 答えろ!!!」


 さっき迄のいやらしく割れた口元を、口角から泡をこぼさんばかりに食いしばり……明らかにさっき迄とは違う狂気を宿した目で私のこめかみに銃口を擦り付けた。


「封印?? 何の事よ!! あんた達こそフォーティに何を……」


「答えろ!! さもなければ……」


 ― ガチャッ ―


「ヒッ?!」


 人差し指が引き金に掛かる……背後から……引きつった声とざわめき……視界を埋める中尉の凶相……


(もう駄目……フォーティ!!!!)


()()()()()?? 」


 恐る恐る……開いた瞼から私の視界に飛び込んで来たのは……中尉の持つ小型銃を握りしめる……手?


「なっ??」


 驚く中尉を歯牙にもかけず……銃を掴む()()()()()()()()()()()()()()は、彫像が徐々に削り出される様にその形を整えていく。


「何だお前は!!! 離せ!! 離せぇぇ!!」


 銀色の手は……暴れる中尉の左手を(ひね)りあげると同時に頑強な銃を、


 ― ギャパッ ―


 容易(たやす)く握り潰した???


「ギィッヤアアア!!!!」


 銃ごと握りつぶされた手を抱えて地面を転げ回る中尉を……完全に無視した蠢く()()()()は、夕日に照らされたシルエットの中で形を整えつつある……


「フォーティ?? フォーティなの?」


 徐々に定まって行くその姿は……私の知る言葉ではとても説明出来ない()()()()だけど……敢えて言うなら……


「暗銀……いや黒銀の……鎧騎士??」


――――――――――


「しょっ……小銃用意っ!!!」


 後から兵隊の声が響く!! 薄汚い孤児をいたぶるだけの仕事だと高を括っていた兵隊達は、慌てて肩がけにしていた小銃を腰溜めに構えた。彼等の目には“おめおめと上官を傷つけられた自分達の運命”だけを案じる焦燥が浮かんで……


「止めろ!!! ()()()()()()()()()!!!」


 クロムウェル先生の制止は……自分を抑え付ける兵隊達には全く受け入れられなかった。


「だっ……黙れ!!」


 銃床がクロムウェル先生の額を打つ……


「かっ……構え!!………撃てぇ!!!」


 ()()に向けられた無数の銃口……駄目だ……このままじゃ二人共……


「逃げて!!! フォーティ逃げて!!!」


 ― ギィンッ ―


 私の叫びに応える様に重く鋭い音が響いて……彼の眼窩に青い光が……


― ダンッ ダッ ダダッン ダーンン!!! ―


 無数の銃声……立ち込める煙……飛び出した弾丸が私とフォーティをズタズタに引き裂く……瞬時に私の脳裏に浮かんだその幻影は……()()()()()()()()()()


「何なの……()()()()


 何が起こっているのか……無学な私には全く理解が出来ない……???


 ― ゴフォォォォ……… ―


 彼の口腔(?)に開いた穴から()()が吹き出たが……今の私には目に入らなかった。何故なら……


 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 その向こうに並ぶ銃を構えた帝国兵も……流石にこの状況が理解出来ず呆気に取られている。


(嘘よ……こんな事あり得ない……)


 私は……恐らくはフォーティ()()()()()()鎧に向き直ると……そこには……いつの間にか()()()()()()()()()()前に突き出された腕があった。そして……その腕が下げられた瞬間……

 

 ― コココッン コン コンッ……コン… ―


 空中に浮かんでいた弾が……支えを失った様に地面に落ちた。

もしも……もしも気に入ってもらえたなら!!


いいねやブクマ、感想、レビュー……勿論☆の評価も!! 


何でも反応頂けたら嬉しいです!(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)


あと……現在幾つかの作品を連載中です!

宜しければ覗いてやって下さいm(_ _)m


「タワーオブチューン “人類で唯一人ダンジョンを攻略した男” ☆第10回ネット小説大賞『コミックシナリオ賞』を受賞しました!!m(_ _)m」https://book1.adouzi.eu.org/n8985hl/


トランスファー “空間とか異次元とかってそんなに簡単なんですか?”

https://book1.adouzi.eu.org/n6961eu/


マシニングオラクル “AIが神を『学習』した世界” 

https://book1.adouzi.eu.org/n5138fv/

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