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窓際クランの成り上がり〜チートは使えないけど、仲間と一緒に頑張ります〜  作者: 砂糖 多労
第五章

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窓際クランと紅の貴公子3

すみません。寝坊して少し遅くなりました。

「俺を荷物持ちとしてダンジョンに連れて行ってくれないか?」


 ユーリのセリフにアルティナは驚いた顔をした。

 そういう下心で付いてきたがる探索者は今まで何人かいた。しかし、面と向かってそんなことを言われたのは初めてだ。


 ユーリとしても、トップの情報が得られるなんてこんな機会そうそうない。ぜひ、敵情視察がしたい。

 見つめ合うユーリとアルティナだったが、その静寂を破ったのはアルティナの取り巻きだった。


「な!なんて厚顔無恥な!」

「敵情視察ですか?厚かましい」

「アルティナ様。行きましょう!」


 アルティナは一度彼女たちを見た後、ユーリの方へ向き直った。

 そして、いたずらっぽく笑うユーリに対して、微笑みを向けた。


「いいよ。連れて行こう。ただし、荷物持ちはしてもらうよ?」


 そう言って、アルティナは右手を差し出してきた。


「じゃあ、お願いするよ」


 ユーリはそう言ってアルティナに手を握った。

 新人最強の称号の割に女性らしい小さくて柔らかい手だった。


 二人は柔らかく笑っていたが、アルティナの取り巻きたちは黙っていなかった。


「「「!アルティナ様!!」」」


 アルティナはユーリの手を離して三人の方へと向き直った。


「いいじゃないか。見られて困ることはない。それに」


 アルティナは腰に下げたレイピアのような剣に手をかけながらユーリをしっかりと見つめて言った。

 アルティナの瞳には強い意志と自信が宿っていた。


「君が何をしようと負けるつもりはないよ」

「「「きゃー!アルティナ様ー!!!」」」


 ユーリはその強い瞳を見返して告げた。


「勉強させてもらいますよ。アルティナ様」


 ニヤリと笑い返すユーリの瞳にもアルティナに負けないくらい強い意志が宿っていた。


 ***


 ユーリたちは大型個体部屋に来ていた。


「はっ!」


 イッセン


 アルティナの戦闘はその一言だった。

 それは一戦であり、一線であり、一閃だった。


 五階層の大型個体であるジャイアントシーホースが現れると、アルティナは目にも留まらぬスピードで前に出た。

 そして、アリティナがいつの間にか抜いていた剣をふるった。

 全くブレのない軌道を辿った剣はジャイアントシーホースの首を通り過ぎた。その直後、剣尖が輝いたかと思うとジャイアントシーホースは地面に沈んでいた。


 戦闘時間はほんの数十秒。いや、大型個体の部屋に入ってからジャイアントシーホースが倒れるまで十秒はかかっていない。

 もはや、これは戦いではない。狩りにすらなっていなかった。

 例えるなら、作業とでも言ったところか。


「や、やべー」


 ユーリはアルティナの戦闘を見て呟いた。

 自分たちが三人がかりでも倒せるかわからない敵を数十秒で倒してしまうのだ。無理もない。


 アルティナの取り巻きたちはユーリに押し付けていた彼女たちのカバンからタオルや水筒を手早く取り出すと、アルティナに向かってかけて行った。彼女たちの荷物も含めて全てユーリが持っていた。まぁ、荷物持ちとしてついてきたのだから、その点について文句はない。

 今の戦闘でタオルも水筒もいらないだろ。とユーリは思ったが、賢明な彼は何も言わなかった。


「「「きゃー。アルティナ様ー」」」


 三人の女の子はアルティナに駆け寄って色々とお世話をしている。少しだけ困っているようだが、ユーリはジャイアントシーホースに近づき、傷口を見た。


 これで大型個体は4体目だが、どの個体も首が両断されており、見事に一撃で倒されていた。

 魔石はもちろんジャイアントシーホースの買い取り可能部位であるひずめ、眼球などにも傷は一つも見当たらない。

 興味深く観察しているユーリに向かってアルティナは言った。


「また、魔石だけでいいからね」

「わかった」


 これだけ綺麗に倒しているのに魔石しか採集していない。今ジャイアントシーホースのの素材の在庫は十分にあり、必要ないことは事前に調べているらしい。

 それでもギルドは買い取ってくれるが、在庫を抱える分買取価格は下がってしまう。


 買取価格が下がるからいらないのかと思えば、彼女は「他の人が持って行ったのに買取価格が下がっていたらかわいそうだろ?」とか言っていた。

 ノブレスオブリージュというやつだろうか?


 ユーリはジャイアントシーホースの魔石だけを取り、カバンにしまった。

 ユーリの作業が終わったのを見て、アルティナは言った。


「じゃあ、次に行こうか」


 そうアルティナがそう言うと取り巻きたちは荷物をユーリに押し付けて、地図をユーリからひったくった。

 一人だけ、アルティナの使っていたタオルを大事そうに抱きしめている子がいたが。

 ユーリはどこへ言ってもやることは一緒なんだなーとかどうでもいいことを考えていた。


「はい!」

「次の大型個体の部屋はこっちです!」

「案内します」


 三人娘はアルティナの役に立てるのが嬉しいのか、意気揚々と道案内を始めた。

 アルティナはその様子を苦笑いしながら見守った後、ちらりとユーリの方を見つめた。

 ユーリが肩をすくめると軽く会釈をして先導する彼女たちの後について行った。


「よろしく頼むよ」


 そう言って、三人娘たちの後ろをアルティナはついて行った。

 ユーリはアルティナと一緒に三人の後ろをついて行った。

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