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4 海上戦闘

定期船は、本土から僕達の住んでいる島を含め7つの島を繋いでいる。

月に1度の交通手段で食料や医療品、雑貨品などを運んでくる。

僕の住んでいた島は、その1番最果ての島で海流の流れで定期船が運航しているので、本土から4番目に到着する島だった。

これから本土に戻るのに残りの3島に寄ってから到着する予定だ。

僕達の島から本土まで移動時間は10日間、それぞれの島に1日滞在するので本土に到着するのは13日後だった。


船は穏やかな海を海流に乗って進んでいた。

今は良い風も吹いているので帆も広げて風を目一杯受けて海を力強く滑走している。

そう何事もなく順風満帆で進んでいた。

シルフが船の周りをぐるぐると回りながら、帆に風を当てているのが見える。

僕だけにしか見えないのか、セナとアイリに指を指して教えても見えることはなかった。

その為、僕は少しの間、セナとアイリから嘘つき呼ばわりされる事になった。


船の中はとても暇だ。

あと13日もどうやって過ごそう。

3人で船を探検してみたけど、1日で回り終えた。

僕達は騎士達が、朝夕二回やっている訓練を見よう見まねでやってみた。

素振りの練習、一斉に構え、防御、攻撃、一時撤退、散開、集結、隊長の指示で動き回る騎士達を見て真似していたら、騎士達と仲良くなり一緒に訓練に参加することになった。


一緒に参加といっても、僕達子供に現役騎士達の動きについていける訳もなく、今まで通り邪魔にならない所で真似していた。

でも、キチンと出来ていないと隊長から罵声が飛び注意される。

そういった点では、訓練に参加していると言えるだろう。


海にはサハギンなど海の魔物が現れるはずなのに、今の所、魔物の魔の字も出てこない。

不思議に思い騎士達に聞いてみると、船には防護魔法がかけられており、弱い魔物は近づく事さえ出来ないそうだ。

じゃあ強い魔物はどうなるんだろう、そう思って聞いてみたら、魔物はクラスで表すそうで1から30までで表されており、最強最悪の魔王クラスで危険度レベル1、このクラスになると世界最強の勇者クラスでないと討伐出来ない。

船の防護魔法はクラス25までは有効、僕が倒したガーゴイルは弱小の方のクラス28、船に乗船している騎士達は個人の強さはそれぞれ違うけど全員クラス25の魔物を討伐出来る強さを持っている。

この騎士達が集団で魔物を攻撃すれば、もっと強い魔物も討伐出来るはずだが、この航路では定期的に騎士団を乗せた軍艦が本土付近に生息する強い魔物を討伐している為、今まで強い魔物は出ておらず、殆どの魔物が船の防護魔法で近づけないのが現状だ。

だったら何故騎士達を乗せる意味があるのか、万が一の為なのか、それとも訓練のついでなのか、乗客の安心させる為なのかは分からなかったが、定期船に騎士達を乗せるのが当たり前となっているようだ。


騎士の中でも、とても仲良くなったのはギリアムという青年だった。

騎士団に入ってまだ一年ほどしか経っていないそうだが、ユーランド育成学校を出ているので、僕らの先輩ということになるかな。

ギリアムはとても親切に、そして面倒見の良い青年だった。

休憩時間とかに僕達にいろいろな話をしてくれたり、剣術の練習に付き合ってくれたりしていた。

剣の強さは足を負傷している父さんと変わないくらい強い。

新米騎士でこの強さ、他のベテランの騎士達はもっと強いだろう。

父さんみたいな剣士を目指して頑張らないと…、育成学校に行ったら誰にも負けないほど強くなりたいと願った。


そしてあっという間に船での時間は過ぎていき、本土まで最後の島に到着していた。

といっても僕達に余分なお金はなく、息抜きに窮屈だった船から抜け出し船着き場に降り、周りを見て回るだけだった。

本土に近い島ということもあって、本土からの商品が多く流通している。

定期船でなくても、普通に船で1日の距離なので船で自由に行き来出来るのだろう。

息抜きの為に船から降りて見たものの、見て回るだけ回ったらすることもなく、知り合いがいる訳でもなかったので、早々に船に戻った。

船に戻れば狭い部屋だけど寝る場所もあるし、三食、食事もキチンと出る。

あと1日我慢すれば本土に着く。

そうすればやっとこの狭い空間から脱出する事が出来る。

まず学校に行って学校専用寮に入り、島では考えられないほど多くの友達が増えて皆でわいわいガヤガヤしながら授業を受け、とても楽しい生活が待っているに違いない。

今まで友達と言ったら何人かしかおらず、子供の数も少なかった。

王都の学校には沢山の学生が勉強を習っているということだったのでとても楽しみだった。


そして夜になり船の汽笛が鳴り響く、最後の島から船が岸壁から離れ出港した。

船で一晩寝れば、明日には本土に着くはずだ。

船の旅は長いようで短かった。

折角仲良くなった騎士団の人達、まあ、学校卒業して騎士団に入れば、また会えるかも知れないしね。

僕は船に揺られながらベッドで眠りについた。


『ドォーン』


船の大きな揺れと共に大きな音で目が覚めた。

辺りはまだ暗闇に包まれていた。


「何だ、どうしたんだ。

セナ、アイリ、起きているか」


「ああ、起きてる」


「起きてるわ」


「何かあったのだろうか」


「周りが騒がしいな」


「きっと何かあったのよ」


「ちょっと様子を見に行くか」


皆、それぞれ荷物を抱えて動き始めた。

荷物と言っても、そんなに大きな荷物は無かったので、肩掛けバッグに入る程度の荷物、僕は肩掛けバッグに父さんから貰った剣を背中に担ぎ部屋を出た。

やはり上の方、甲板だろうか?騒ぎが大きく動き回る音や罵声のような叫び声が聞こえてくる。

そして時々襲って来る大きな船の揺れ。

大きな揺れは、船が大きく傾いてそのまま沈没してしまうのでは、そう感じてしまう。

僕達は、船の傾きでその場の物にしがみつくしかなかった。

動く事が出来ずなかなか先へ進めずにいた。


ようやく階段を上がり甲板への扉を開けると、そこには大きな触手のようなものがあった。


「何だよこれ、何が起きてるんだ」


僕達は甲板をよく見回すと、どうやら騎士達はその触手を取り除こうと奮闘しているようだ。

10人くらいの集団で触手に斬りかかり、触手は痛いのか海の中にズルズルと引き戻って行ったと思ったら、また次の触手が襲いかかってくる。

その行動を甲板の至る所でやっている。

まるできりがない戦いをしているようだ。

触手は段々と数を増やしながら暴れている。

大きく振りかぶりながら、騎士達を薙ぎ倒しマストも一撃で折れ海の中に落ちていく。

触手達は、船をどんどん壊しているようだった。


あまりにも強大で何なのかも分からない敵に恐怖し、僕達は動けず見つめるしか出来なかった。

そしてそのうち、


「船底に穴が空いたぞ!」


下から声がする。

このままでは、不味いのでは船が沈んでしまったら、僕達は生き延びることは出来ないだろう。

あの触手に殺られてしまうだろう。

下から船員の人が上がってきながら、


「船が沈むぞ!皆、逃げろ!」


叫んでいたが、何処に逃げろというのだろう。

船の上には触手、上手く海に逃げられたとしても岸まで、あとどれくらいあるのだろうか?

いくら島育ちと言っても、長い距離を泳ぐ事は出来ない。

それに泳いでいる途中で魔物に襲われたら、逃げる事も戦う事も出来ずに殺られてしまうだろう。

船の中で一緒に沈むよりは、奇跡を願って海へ飛び込めというのか?


「何やってる!早く逃げろ!」


そこにいたのは騎士のギリアムさんだった。


「ギリアムさん、あの触手は何なのですか?」


「あれはクラーケン、この辺りに住む海の怪物だ」


「クラーケン…、それって超危険魔物ではないですか」


「ああ、海の化け物だ。

滅多に現れないから油断していた。

あのクラスになると軍艦でしか討伐出来ない。

救援を呼んだが、恐らく間に合わないだろう。

だが、海に飛び込んで助けを待てば、必ず救援は来る」


「だけど、騎士達が戦っているのに僕達だけ逃げるなんて…、」


「お前達が今、戦っても足手まといだ。

だが、何年か後、剣と魔法の腕を磨けば、あのままクラーケンだって倒せるかも知れない。

お前達の将来に期待しているからな」


「でも、逃げるとしても…、」


周りでは、何人もの人が海に飛び込んでいたが、上手くクラーケンに捕まらず海に飛び込んだ人もいれば、クラーケンに捕まったり触手のような足で叩かれ、死んで逝くものが多数いた。


「そうだ、お前達、こっちに来い」


僕達はギリアムさんに連れられ来た所は、ブリッジの脇にある樽置き場だった。

高さ二メートル程の大きな樽が幾つも置かれていた。


「この樽は、水や食料を詰め込んでいた樽だが、ここに置いてあるのは中身を使いきった空樽だ。

この中の一つにお前達を入れて海に落としてやる。

そうすれば助かる可能性が高くなるだろう」


「でもギリアムさん達は?」


「皆が逃げたら、俺達、騎士達も逃げるさ。

給料貰っている分、ちゃんと仕事しないとな。

さあ、早く中に入るんだ」


僕達は言われるがままに樽の中に入った。

樽の中は意外と広く、三人で入ったが窮屈とは感じなかった。


「よし、蓋を閉めるぞ。

海に落ちて周りが静かになったら、自分達で中から蓋を蹴り開けて脱出するんだぞ、いいな」


そういうとギリアムさんは蓋をゆっくりと閉め密閉された。

次の瞬間、『ガラガラ、バキバキ』と激しい音と共に僕達の入っている樽に強い衝撃が走る。

中に入っていた僕達には分からなかったが、クラーケンの触手の足の一本が周りの樽を壊しながら薙払っていた。

僕達の樽は運良く壊されなかったものの、遠くへと飛ばされてしまった。

あまりにも強い衝撃と飛ばされた時に樽が高速回転した為、中にいた僕達は気を失なっていた。

気がついたのは、クラーケンに襲われてから大分だいぶん経ってからの事だった。

勿論、あの後、船がどうなったのか、ギリアムさん達は助かったのか、分からないままだった。





なかなか更新出来ずにすいません。

気長に更新待ってもらえると助かりますm(__)m

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