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火あぶり回避したい魔女ヒロインですが、事情を知った当て馬役の義兄が本気になったようで  作者: 廻り
第一章

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25 新生活魔女4

 翌日からは、リズの教育が始まった。

 リズのマナーは、見様見真似と、前世の記憶によるものだと知ったアレクシスは、それを補うような教育を施してくれることに。


 マナーの先生は小説とは違い、ローラントとカルステンの母親であるバルリング伯爵夫人が請け負ってくれた。

 ローラント兄弟とは幼馴染であるアレクシスにとって、一番信用できる家門の女性を選んでくれたことになる。

 いじめられる心配がなくなったリズは、安心して授業に専念できた。


 伯爵夫人はローラントの母親なだけあり、とても優しくて品のある女性。夫人はたびたび、ローラント達の話もしてくれるので、リズは楽しく授業を受けていた。


「小さい頃のローラント達は、どのような子だったのですか?」

「公子殿下とローラントは、いつもカルステンの後をくっついておりましたわ」


 ローラントの父親であるバルリング伯爵は、アレクシスの父親から頼まれて、アレクシス親子の護衛をしていた。カルステンとローラントも遊び相手として、よくアレクシスの家を訪れていたと、小説内でも書かれている。


(カルステンが二十五歳で、アレクシスとローラントが二十歳だから、二人にとっては頼れるお兄ちゃんだったのかな)


「二人にも、甘えたい時期があったんですね」

「ふふ。ですから、公子殿下が騎士団を処罰したとお聞きした際は、ご立派になられたと嬉しくなりましたわ」


 子供の成長を喜ぶように、バルリング伯爵夫人は微笑む。


「アレクシスにとっては、珍しいことだったんですか?」

「公子殿下はこれまで一度も、公子の権限を行使して人を罰したことはございませんでしたの」


(だから副団長は、あんなに驚いていたのかぁ……)


 あの日のことを思い出してリズが納得していると、夫人は言葉を続ける。


「それほど、リズ様のことを大切になさりたいという、意思の表れでしたのでしょう」

「そうなんですか……? アレクシスは使用人に厳しい印象があるので、意外です」


 アレクシスは、使用人のちょっとした無礼も許さない人だ。今まで一度も、公子の権限を行使しなかったとは、リズには信じがたい話。


(あっ……でも。アレクシスはあの時、『自分に対する無礼は許す』って副団長に言ってたような……)


「公宮での公子殿下のお立場は、とても難しいのです。今までは、目立たぬよう努力なさっておいででしたわ」

「それじゃ私のせいで、アレクシスの立場がさらに難しくなってしまったのでは……」


 小説でのアレクシスが、序盤でヒロインを視界に入れないようにしていた理由。リズはそれを、単なる小説の設定くらいにしか思っていなかったが、アレクシスにはアレクシスの事情があったのだ。

 面倒見の良い彼が、あえてヒロインに近づかなかった理由は、立場的に難しかったから。そう考えると今のアレクシスには、相当無理をさせているのではと、リズは心配になる。


「公子殿下が決心なされたのですから、リズ様がお気になさる必要はございませんわ。それに今の公子殿下は、とても充実しているご様子ですもの。私には、良い変化のように思えますわ」


 夫人が思うようにリズとしても、小説のアレクシスよりも今の明るいアレクシスのほうが、彼には似合っていると思っていた。

 妹への愛が多少……いや、かなり過剰ではあるが、生まれや立場に縛られず、彼らしくいられるなら喜ばしい。


「私も、アレクシスが今のアレクシスで、良かったと思います」


次話は、日曜日の夜に更新となります。

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◆作者ページ◆

~短編~

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