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しょうもなおじさん、ダンジョンに行く  作者: 埴輪庭


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僕を犯すんですか(巣鴨プリズンダンジョン・終)

 ◆


 2人は無言で廊下を進んでいく。


 蒼島としては歳三に話しかけたかったが、見えない溝というか壁みたいなものを感じてしまって話しかけることができない.


 歳三も歳三で主に思い込みからくる疎外感を感じていたため、ちょっとした会話をするのも億劫になっていた。


 しかし状況的に全くの無言でいることはできない。


 蒼島が「歳三さん、あの先に見えるドアが多分……」と控えめに声をかける。


 声をかけられてしまったら無視することができない歳三だ。


 背を向けたまま返事をする度胸もないため振り返り、しかしやはり拒絶の視線を受け止めることが怖いため目線をやや下にして何かしら答えようとしたが、言葉が喉に詰まる。


 というのも──


 あれ? と歳三は思った。


 蒼島の様子がおかしい。


 体が全体的に縮んでおり丸みを帯びている。


 丸みを帯びているといえば胸もだ。


 どう見ても女性のそれであり、しかもでかい。


 さらに視線をずらして腹、腰と見ていけばやはりこれは女性なのではと思わせる身体的特徴が多々あった。


「あ、あの……そんなに見ないで頂けると……」


 震える声で蒼島が言うと歳三を慌てて謝罪し再び前を向いた。


 これはやらかしたかという思いが歳三の総身を震わせる。


「すまねえ、本当に……痴漢するつもりでは……」


 女体をなめるように見るのも痴漢の一種だと歳三は理解している。


 そんな絶望的な歳三の声色に、蒼島は大いに慌てた。


「い、いえ!! 相手の意に反して卑わいな言動や行為などの性的嫌がらせをする事が痴漢ですから! そ、そもそも歳三さんは触ってもいないですし、い、意に反してはいませんし! 意に、意に順じて……いる?? かも……しれませんから、別に……」


「そ、そうかい、それは……それはまあ。それにしてもなんで、あ、ああ! そうか、ダンジョンの……」


 ダンジョンで性転換が起きることは歳三も知識として知っている。


「ま、まあそうなんです……ただ、その僕の場合は元に戻ったといいますか……元々がこっちなので……。とにかく僕は何とも思っていないので!」


 自身の中に湧き上がる羞恥心に困惑しつつ、蒼島は歳三を安心させようと言い募った。


 とはいえ安堵もしている。


 歳三から感じる壁のようなものはおそらく性別が変わったことへの抵抗感なのだろうと理解したからだ。


 だからというわけではないが、蒼島は男でも女でもそんなことはどうでもいいじゃないかという意を込めて、歳三に近づきその手を取る。


 この間歳三は無抵抗であった。


 抵抗しようと思えば抵抗できたものの、おっぱいを凝視してしまったという罪悪感が歳三の行動を封じている。


 そして蒼島は何を持ったか歳三の手をそのまま自身の胸へと触れさせた。


「ほ、ほら!! 全然! 何もかんじません! こ、こんなのはただの肉ですから……」


 顔を真っ赤にしてそんな事を言う蒼島に、流石の歳三も唖然とする。


 口をパクンと開け、そして閉じる。


 そしてまじまじと自身の手が蒼島の胸に触れているのを見て、その柔な感を掌いっぱいに味わい──歳三は封じていた魔が復活せんとしているのを感じた。


「えっ……」


 蒼島が絶句する。


 視線の先には全身一体型のボディアーマーをぶち抜いて隆々と存在感を主張する歳三自身。


 じり、と体を寄せる歳三。


 この時歳三の意識は半ば虚ろだ。


 完全に性欲に支配されている。


 ──僕が悪かったな


 ダンジョンという異常空間で挑発するような真似をした自分が悪かった──そう蒼島は苦笑する。


「僕を、犯すんですか」


 蒼島は歳三に尋ねる。


 答えがイエスなら、蒼島はもう歳三に体を捧げるつもりだった。


 歳三という強者の糧になるのなら、という思いもある。


 しかし──


 ──お、お、俺は犯さない! 社会復帰を社会復帰をッ!! 


 歳三の社会願望が全身の神経回路を駆け巡り、自身への怒りを込めて拳を固め──握り拳の底部、いわゆる鉄槌で暴走しようとしている男根を打ち据えた。


 ・

 ・


「だ、大丈夫ですか歳三さん! 歳三さん!?」


 蒼島の声が段々と遠ざかっていくのを感じながら、歳三はかろうじて最後の力を振り絞って大切な事を伝える。


「お、俺はしばらく動けない……たの、む、あおしま、さん……在監証明書を……」


 そこまで言って歳三は力尽きた。


 ちなみに死んではいない、意識を失っただけだ。


 そして──


 ◆


「あ、気が付きましたか?」


 歳三が目を覚ますと、上から蒼島が見下ろすような形で声をかけてくる。


 風は柔らかく、周辺は木立が広がっていた。


「ここは……?」


「ダンジョンの外ですよ。その、あー……あそこは大丈夫、ですか」


 蒼島がやや頬を紅潮させながら言う。


「だ、だいじょうぶだ、です……あの、俺は本当に、とにかく申し訳ない……あ、こんな格好ですまねえ!」


 歳三を慌てて蒼島の膝枕から起き上がり、その場に正座する。


「いいんです、本当に。というか言いっこなしにしましょう、僕も悪かったですから……これ以上言われると僕も恥ずかしくなってしまいます……」


 そう言われてしまうと歳三としては是を返さざるを得ない。


「そ、そうだ。ええと、俺たちは結局どうなったんだ?」


 蒼島は表情を引き締め、少し長くなりますと前置いてから口を開いた。


「あれから、歳三さんを担いでドアへと向かって……その先は何というか、いかにもという部屋がありまして。ぱっと見はなんてことない部屋だったんです。椅子があってテーブルがあって、テーブルは少し高級そうな木製のものだったかな。でも全体的な雰囲気が違いました。何かこうとても大きなものから見られているようなそんな感覚がして落ち着きませんでした。もしかしたらとても強力なモンスターが現れるのかと警戒していたのですがそんなことはなく、そこは本当に安心しましたよ。強敵に挑んでこそ実力が養われるとは思うのですが、それでも確実に負けるような相手に考えなしに挑むのは少し違う気がしますしね。頼みの綱の歳三さんも気絶してしまってましたし、本当に生きた心地がしませんでした。でも幸いにも古紙といいますか、紙切れが二枚テーブルの上に置いてありまして、それを手に取るとなんだか空に昇っていくような感覚がして」


 はい、と蒼島が歳三に紙切れ──在監証明書を手渡す。


「これが……」


 ようやくという想いが腹の底からこみあげてくる。


「それと……驚かないで欲しいのですが」


「わ、分かった。驚かねえ。約束しますぜ……」


 蒼島の表情は深刻そうだ。何かとんでもないことを言いそうな気配がある。


 歳三はごくりと息を呑み、続きを待った。


「僕らが巣鴨プリズンダンジョンに挑んでから……実に半年ほど経っているみたいなんです」


 歳三は驚いた。


この辺のを最近書いたので、宣伝ですよろしくよろしくー


・最強中年デブハゲ魔術師はTS勇者をファックする(18禁ハイファン)

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・【屍の塔~恋人を生き返らせる為、俺は100のダンジョンに挑む】※ネオページで先行連載中ローファン

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まだまだ沢山書いてますので作者ページからぜひよろしくお願いします。
― 新着の感想 ―
[良い点] いい感じにフラグを建てながら降り続けるおじさんが好きです
[良い点] 自分から触らせたのに耐えた!オトコレベル上がったなあ
[一言] ゲドスは連載してほしいなあ 曇らせ剣士も続き書いてくれると嬉しいです!!
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