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6 彼氏持ちの佳世



昨日はあまり良く眠れなかったな。


佳世は兵藤先輩と付き合い始めた。


これからの事を考えると、なかなか寝付けなかった。



「「あ……」」



今日も朝練前に掃除をしなきゃいけない。


早めに家を出ると、佳世と出くわした。



「お、オス」


「う、うん」



どうしてもぎこちなくなってしまう。


佳世も照れ臭いのか、気まずそうにしている。


そうか、今日から佳世も彼氏持ちか……。


一緒に登校ってワケにもいかないよな。



「じゃあな」


「あっ……」



佳世を残して走った。


どう接していいのかわからない。


兵藤先輩からしたら、幼馴染っていっても、俺は男だ。


自分の彼女が、他の男と二人で歩いていたら、気分は良くないだろう。


もう……あまり関われないな。


これでいいのか?


俺は、このまま諦められるのだろうか。


どうしたらいいのか、わからなかった。




「あれ?今日は佳世と一緒じゃないの?」



昨日、俺と佳世をからかっていた佳世の友達が声を掛けてきた。



「ああ、まあな」


「この時間なら、佳世、一緒でもおかしくないのに」


「まあ、出くわしたけどな……」


「えっ?何?喧嘩でもしたの?」


「いやいや、してねえよ。……佳世に彼氏が出来たから、まずいだろ?」


「……はあっ?!!!!!ど、どういう事よ!!!」


「な、なんだよ、声がでけえよ……」


「いいから!!どういう事?!!」


「い、いや、佳世は兵藤先輩と付き合う事になったんだよ」


「はあ?な、なんで……?」


「俺に聞くなよ。もうすぐ佳世も来るだろうから、佳世に聞けよ」


「……わかった、そうする……」



あー、びっくりした。


なんでそんなに驚くんだよ?


友達なら、佳世の好きな人くらい知ってたんじゃないのか?


俺に聞かれたってわからねえよ。


俺が聞きたいくらいだっての。



学校に着いて、朝練も終わり、自分の教室へと。



「おっす!新谷!部活大変だな!」


「おう、まあな」


「ところでよ?さっき、バレー部のヤツらが話してたんだけどな?」


「おう」


「坂本さんと兵藤先輩が付き合う事になったって、マジ?」


「ああ」


「おいおい!!『ああ』じゃねえだろ!!何やってんだ、新谷!!」


「は?」


「良いのかよ!!新谷はそれで!!」


「良いのかって言ったって……しょうがねえだろ」


「しょうがねえで済むんかよ?新谷、坂本さんの事好きだったんじゃねえの?」


「ま、まあ、そうだけど……」


「お前、諦められんの?」


「……わかんねえよ」


「気持ちだけでも伝えたらどうだ?」


「え?」


「ダメ元でよ?もしかしたら上手く行くかもしんねえし。ダメならダメで諦めもつくだろ?」


「あ……」


「な?俺は新谷の方がお似合いだと思うぜ?」


「……」



確かに……。


このままじゃ、踏ん切り着かないのも事実だ。


そうか、ダメ元でも……。


よし!!


気持ちだけ伝えよう。


それで俺の初恋も、ケリをつけられる。


少し気持ちが楽になった。




その日の部活が終わり、佳世の家に向かう事にした。


腹は括った。


緊張はしているが、気分はそんなに悪くない。


気合い入れろ!俺!!


佳世の家に向かう途中で、小さい頃、佳世とよく遊んでいた公園に差し掛かった。


懐かしいな、あの頃は佳世を女として見ていなかったな。


男友達と同じ感覚で、二人で走り回っていたっけ。


少し薄暗くなってきた公園に、二人の人影が見えた。


高校生か。


ん?同じ学校?っていうか、あれは……。


佳世?と、兵藤先輩?


兵藤先輩は俺に背を向ける格好で、佳世と向き合っている。


と、その時、佳世と目が合った。



「あ……」



小さく佳世が発した声が聞こえた。


が、その直後、
































兵藤先輩が、佳世にキスをした。





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