表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/18

16 時は経ち



あのファミレスでの出来事から、佳世とは疎遠になった。


偶に近所であっても、ぎこちない挨拶を交わすだけだった。


それからは、高校時代、千尋と過ごした。


千尋とはその後、同じ大学へ通い、付き合いも続いた。


そして大学卒業後、社会人三年目で結婚した。


結婚してからわかった事だが、俺も千尋も、子供を作り辛い体質だった。


結婚前に、子供は何人が良いとか、子供が出来たときの為に家を買う貯金の話とか、二人で話し合っていた。


だから、二人の体質が判ったときは、落ち込んだ。


けど、頑張ったんだ。


二人でならきっと、って。


結婚して五年間、妊活も頑張った。


千尋はつらそうだったが、励まし合いながらやって来た。


だけど……。


二人とも精神的に限界を迎えた。


お互いの事を思い遣る余裕がなくなっていった。


誰が悪いワケでもないのに。


お互いを傷つけあうようになっていった。


疲れた。


疲れていた。


俺も、千尋も。


子供を諦めればよかったんだろうが……。


二人とも意地になっていたのかな……。


結局、離婚することになった。


俺も千尋も、子供が居なくても、幸せそうな夫婦がいることも知っている。


それでも。


自然にそう考える事が出来なかった。


お互いの事を嫌いになった訳じゃない。


だけど。


二人で居ても、幸せにはなれないんじゃないか。


お互いにそう思い始め、両親たちも交えて話し合った。


30を超えたとはいえ、まだ二人とも幸せになれるはずだ。


その為に、別れた方がいいという結論になった。


二人で住んでいたアパートも引き払い、しばらく実家に世話になる事になった。



「悪い、親父、お袋」


「まあ、気にすんな。しばらくゆっくりしたらいい」


「そうね。でも、家事は手伝いなさいよ!」


「わかってるって」


「そういえば、佳世ちゃん、まだ実家暮らしなんだってよ?」


「へ?そうなのか?」


「連絡とってみたら?昔は仲良かったんだから。気晴らしになるんじゃない?」


「あー……。まあ、考えてみるよ」



両親は俺と佳世の間にあった出来事を知らない。


もう10年以上連絡なんてしてないしな。


ばったり会ったら話くらいはするかもしれないが。



そんな風に考えていたある日。









「あ!瞬!久しぶり!オッサンになったねえ!!」






佳世と再会した。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ