1 俺と佳世
お久しぶりです。
「オッス!瞬も朝練?いつもより早いんじゃない?」
朝六時過ぎの早朝。
朝練の為、家を出た直後、声を掛けられた。
声の主は、坂本佳世。
バレー部に所属している、高校一年生だ。
昔から発育が良く、今は背は170㎝ちょいくらいかな。
発育が良いのは背だけじゃなく、胸の方も……。
黒髪ショートカットの周りからは美少女、とされている。
が、中身はというと、割とガサツで男勝りな性格をしている。
俺とは家が向かい同士で、幼稚園からの腐れ縁だ。
「おう、この間遅刻したから、その罰で練習前の掃除当番なんだよ。」
俺の名前は新谷瞬。
佳世と同い年の高校一年生、バスケ部だ。
背は佳世と同じくらい。バスケ部では中くらいかな。
黒の短髪、顔はまあまあ、だと信じたい。
バスケは小学校からやってるので、自信はあるが流石に一年生からレギュラーにはなれない。
「バッカでー!一年で遅刻とかヤバいでしょ?!」
「うるせえんだよ、しょがねえだろ?朝弱えんだから。」
「ぷっ!なっさけなー!もしかしてまだおばさんに起こしてもらってんじゃないでしょーね?!」
「そ、そんなワケねーだろ?!ひ、一人で起きれらあ!」
「どーかなー?あの瞬だからなー!」
「うるせえってんだよ!それより佳世、レギュラー取れそうなのかよ?」
「流石に一年の内は無理じゃないかなー。諦めてはいないけどね!」
「ふーん、お前も厳しいのかー。」
「何?瞬もキツそうなの?」
「まあな。先輩結構上手い人多いんだよな。」
「へえ、瞬ならイケそうみたいな話聞いたんだけどな。」
「俺も佳世ならレギュラー取れそうって聞いたけどな。」
「そう?ま、現実は厳しいってことだねー。」
「それな。入部した時は俺ならイケるって思ってたんだけどなー。」
「あたしもー。ま、頑張っていきますか!」
「そうな。俺も諦めてねえからな!」
家からの最寄り駅に着き、学校の最寄り駅からの通学途中。
「おはよー!佳世!新谷君も!」
声を掛けてきたのは、佳世と同じ部活の友達。
「相変わらず仲がいいねー!お二人さん!!」
「ち、ちがうよ?!今日はたまたま瞬が早かったから一緒になっただけで……。」
「そ、そうだぜ?!いつもは一緒になんてならないし……。」
「まあまあ、朝はそうかもだけど、仲がいいのは否定しなくてもいいんじゃない?」
「別に仲がいいわけじゃ……。」
「あ、ああ。ただの腐れ縁だしなあ……。」
「またまたあ。もう付き合っちゃえばいいのに!」
「だ、誰がこんなのと!!」
「ば、バカ言ってんじゃねえ!俺の方こそこんなガサツ女なんてお断りだっての!!」
「もう、ムキにならなくてもいいじゃん。まったく……。」
「へ、変な事言うからでしょ!!」
「ほ、ホントだぜ!」
こんなやり取りは今始まった事じゃない。
いつも俺たちはこんな感じだ。
佳世は俺の事を、男として見ていないかもしれない。
だけど、俺は……。




