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第7章 世界の敵

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79/90

5 VS『侵食者』5


「よし、まず分身体から倒していこう。さっきアムが使ったのは『敵の動きを止める』スキル、って考えればいいのか?」

「その通りです」


 俺の問いにうなずくアム。


「効果範囲が狭いので、分身体を全部一度に止めることはできません。それと同レベル以上の相手には効きづらいので、アウシル本体にも効果はないはずです」

「なるほど……」


 じゃあ、やっぱり分身体から狙っていくのがベストだな。


「よし、一体ずつ順番に分身体の動きを止めてくれ。そいつを俺が魔剣で叩き斬る」


 アムに告げる俺。


「まず一番右側から止めますよ」

「分かった」


 アムの言葉にうなずき、俺は走った。


「【フリーズ】!」


 アムがスキルを発動。


 分身体の動きが完全に止まる。

 そこに突進した俺が、魔剣を叩きつけた。


【フリーズ】のおかげで超振動装甲が機能していないから、簡単に斬り裂ける。


「二つ! 次!」


 俺は次のターゲットを探す。


 と、二体同時に正面から突っこんできた。


「アム、右だ! 俺は左を撃つ!」

「――分かりました!」


 とっさの指示だったが、アムはすぐに意図を理解してくれたらしい。

 俺はバインドガンを使って右の分身体を拘束する。


 超振動装甲によって、光のローブはすぐに引きちぎられるが、かまわず連射した。

 とにかく足止めさえすればいい。


「【フリーズ】!」


 その間にアムが左のやつを静止させた。

 すかさず魔剣でそいつを斬る。


「三つ! アム、今度は右だ!」


 言いながら、方向転換する俺。


「【フリーズ】!」


 ちょうどいいタイミングでアムがスキルを発動した。

 動きが止まった四体目を、俺はなんなく両断する。


「四つ! あと一つ――」

「おのれっ……!」


 アウシルが向かってきた。


「こうも手際よく我が分身体を破壊していくとは――」


 もしかしたら、新たに分身体を生み出すかもしれない、と警戒したが、その様子はない。

 分身体は五体で打ち止めなのか、あるいは連続で生み出せる数には限りがあるのか。


 どちらにせよ、残るは最後の分身体と本体だけだ。


「アバターたち、あいつを足止めしてくれ!」


 俺は指示を出しながら、さらに走った。


「その間に俺が五つ目の分身体を斬る!」

「【フリーズ】!」


 アムがすかさずスキルを発動。

 動きが止まった五体目を、俺は魔剣で打ち倒した。


「五つ! これで分身体は全部倒した――」


 俺は『侵食者』に向き直る。


「残るはお前だけだ、本体――」

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