4 さらなる下層へ、攻略は続く
「ふうっ、もふもふタイム終了だ」
しばらくの間、アリシアの狐耳と尻尾を愛でた俺は、名残惜しい気持ちを振り切って両手を放した。
「ありがとう、アリシア」
「いえ、少しでも気分転換になれば何よりです」
「最高の気分転換だったよ」
俺はにっこりとして言った。
「まだ余力があるから、もっと下の階層まで攻略しようと思うんだ。どうかな?」
「異議なしです」
俺の提案にうなずくアリシア。
「じゃあ、行こう」
次は第十六階層だ。
三十階層まで一気に行くのは無理だろうけど、できれば二十階層くらいまで行ってみたい。
十六階層はオークの集団がいた。
「先にあたしが魔法を撃ちますね」
と、アリシア。
「じゃあ、その後で俺が剣で薙ぎ払う」
おおざっぱに攻撃順を決め、バトルスタート。
手はず通りアリシアが魔法を放つと、オークたちの何体かを撃破し、残りもたじろいだように動きを止める。
そこに俺が突進した。
魔剣を、振るう。
今の俺の身体能力なら、オークくらいは一対多数でも圧倒できるようだ。
まとめて斬り伏せ、さらにアリシアから追加で魔法攻撃の援護をもらい――ほどなくして、全滅させることができた。
「ふうっ、思ったより簡単に倒せたな」
俺の周囲には三十ほどの魔石が転がっている。
いずれも撃破したオークから出てきたものだ。
中にはRの魔石が混じっていた。
オークの中に数体、上位種の『パワードオーク』が混じっていたのだ。
今後のアイテム交換のために、Rの魔石は貴重である。
もっと強いモンスターを倒せば、SRの魔石を得られることもあるようだが――。
俺は今までの冒険者生活でSR以上の魔石を手に入れたことはなかった。
まあ、それはともかく、今はこのダンジョンの攻略だ。
十七階層まで降りていく。
罠が多いフロアだったがモンスターとは遭遇せず、どうにか十八階層へ。
十八層では逆に罠がほとんどない代わりに、何度もモンスターの群れに出くわした。
ただ、俺たちの敵じゃなかった。
身体能力などのステータスが常時向上しているのに加え、魔剣や魔法弾、爆裂魔法の罠……と攻撃オプションが豊富にある。
アリシアの魔法の援護もある。
俺たちコンビは以前よりも戦闘力を数段増していた。
そして――とんとん拍子に二十二階層までやって来た。
「そろそろ中ボスが出てきてもおかしくないな」
俺はアリシアに言った。
「警戒していこう」
「了解です」
アリシアが俺の腕にギュッとしがみついた。
「アリシア……?」
「あ、す、すみません、つい――」
照れたように離れるアリシア。
「無意識にゼノさんにくっついちゃいました……」
なんか妙に顔が赤いな、アリシア?
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