13 拘束用アイテム
さて、どれくらいの効力があるのか――。
「『バインドガン』――発射」
銃口から光り輝くネットのようなものが広がった。
こいつは持ち主の『精神力』をエネルギー源にして作動する。
使った瞬間、フッと脱力感が訪れた。
「けっこう疲れるな……」
たぶん何度も連射するのは無理そうだ。
飛んで行った光るネットが、山賊たちに覆いかぶさった。
「な、なんだ、こりゃ……!?」
「くそっ、動けねぇ……!」
山賊のほぼ全員がネットの効果範囲にいたため、彼らは身動きが取れなくなった。
残った数人は騎士団が取り囲み、なんなく拘束する。
最奥に控えていた魔術師も、自分を守ってくれる山賊たちがいなくなれば何もできない。
あえなく拘束された。
あっという間に無力化成功である。
「おお……思った以上にすごいな」
俺はその効果に感嘆した。
「助けられた……のか」
カイルが俺をにらんでいた。
うっ、もしかして怒らせたか。
騎士のプライドを傷つけちゃったとか。
「ありがとう、冒険者殿!」
深々と頭を下げてきた。
「えっ?」
いきなり態度が変わって驚く俺とアリシア。
「先ほどは冒険者風情などと侮蔑的な言葉を言って申し訳なかった。このとおり、謝罪させていただきたい」
カイルはふたたび俺とアリシアに頭を下げた。
さっきよりもさらに深々と。
ほとんど地面に頭がつきそうなくらいの下げっぷりだ。
「い、いや、別にいいんです」
「君は命の恩人だ。ぜひお礼をさせてもらいたい」
頭を上げたカイルが俺を見つめる。
その目がキラキラしていた。
「さっきの道具はなんだ? あんなもの、騎士団では見たことがない」
「ああ、あれは捕獲用のアイテムです。モンスターにも使えますけど、見た通り人間相手でも十分効果があります」
説明する俺。
「特殊なアイテムで市場には出回ってませんが……」
「なるほど。そんなものを所持しているとは、君はただ者ではなさそうだな」
カイルが微笑んだ。





