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第3章 雷鳴都市のダンジョン

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28/90

10 フリージア邸

 俺はアリシアとともに、フリージアさんの邸宅を訪ねた。

 以前に聞いた住所に行くと、想像の十倍くらい大きな邸宅があった。


「……いや、十倍じゃきかないな。想像の百倍くらい大きいぞ……!」


 フリージアさんは国内で五指に入るくらいの大商人だそうだから、これくらいの家に住んでいるのは当たり前ってことなんだろうか。

 お金持ちってすごいな……。


 俺たちは正門に行き、用件を伝えた。


 ほどなくして、邸宅内に招き入れられ、応接間に案内された。

 その応接間も豪華な内装で彩られている。


「すごい家だな……」

「お金持ちです……」

「この椅子一つで庶民の年収くらいはありそうだよな」

「もっとするかも……」

「だな……」


 俺たちは顔を見合わせ、ため息をついた。


 と、ドアが開き、ドレス姿の美女が現れる。

 まるで貴族令嬢やお姫様のような出で立ちの彼女は、商人のフリージアさんだ。


「ゼノ様! アリシア様! ようこそおいでくださいました!」


 フリージアさんが俺たちを見て、パッと顔を輝かせた。


「お久しぶりです、フリージアさん」

「ご無沙汰しております」


 ぺこりと頭を下げる俺とアリシア。


「この間のお礼をぜひさせていただきたい、と思っていたところです」


 フリージアさんが会釈した。


「さあ、どうぞお掛けください」


 促され、俺たちはソファに腰掛ける。


「うわ、ふわふわだ」

「柔らかいです」


 座っていてこんなに気持ちがいいソファは初めてだった。


「実は――折り入って、フリージアさんにご相談したいことが」


 俺はさっそく用件を切り出した。




 俺たちは紅茶を飲みながら、フリージアさんと話をしていた。


 ちなみにこの紅茶も高価そうな代物だった。

 香り高くて、めちゃくちゃ美味しい。


「『ブルーオーブ』ですか……」

「ええ、かなり高価で希少な宝石だったかと思いますが、なんとか入手したくて」

「そういうことなら、私の方で手配いたします」


 フリージアさんがにっこりとして言った。


「ありがとうございます。あ、代金の方は――」

「お二人は私の命の恩人です。代金など必要ありませんわ」


 にっこりと笑うフリージアさん。


「いえ、さすがにタダというわけには……」

「私もあなたたちにお礼をしていない状況です。今回の『ブルーオーブ』の手配を持って、その礼とさせていただく……ということでどうでしょう? もちろん、不足ならばもっとお支払いいたしますし」

「不足なんて! 十分すぎますよ」


 俺は慌てて両手を振った。


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