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第3章 雷鳴都市のダンジョン

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27/90

9 もふもふで一休み

「あいつを倒すには水属性の魔法攻撃手段が必要だ」

「水属性……? あっ」

「そうだ、さっきちょうど『アイテム交換所』に追加されたアイテムなら、あいつにダメージを与えられると思う」


 アリシアに説明する俺。


「確か……魔石以外に『ブルーオーブ』が必要、って書いてありましたね」

「ああ、『ブルーオーブ』はすごく高価な宝石だったはず」

「お金がたくさん必要、ということですか?」

「ああ。魔石を売れば、ある程度まとまったお金にはなると思うけど、それだけでは足りないだろうな……」


 とはいえ、どれくらいの金額が必要なのかも分からない。


「まずは宝石を取り扱っている商人を訪ねてみるか」


 言ったところで、アリシアの耳と尻尾が目に映った。


 うっ、もふもふしたい……。


「ゼノさん?」

「はっ! い、いや、何も邪まなことは考えてないぞ!? アリシアにもふもふしたいとか、そんなことはちっとも!」

「もふもふしたかったんですか?」

「ははははは、俺がもふもふしたいなんて、そんなストレートに自分の欲求を表すわけがないだろ……はははは」

「目が泳いでますよ、ゼノさん」

「あ……」


 バレバレだったか。


「す、すまん……もふもふしたら、きっと癒やされるだろうな、なんて考えてた」

「いえ、ゼノさんが相手なら……いいですよ?」


 アリシアが微笑んだ。

 頬が少し赤い。


「ちょっと恥ずかしいけど……」

「い、いや、君に無理強いするつもりなんてないから! さっきの言葉は忘れてくれ!」

「ふふ、無理強いとかじゃないです。ゼノさんが相手なら、本当に大丈夫ですよ」


 アリシアがふたたび微笑む。


「ただ、気恥しいので、ちょっとだけにしてくださいね?」

「あ、ああ」


 どうやら嫌がってはいないようだ。


 お言葉に甘えてみよう。


 もふもふ、もふもふ。

 もふもふ、もふもふ。


 ああ、至高の時間だ――。


 その柔らかさやしなやかさに俺はうっとりと浸った。


「……ん、そういえば」


 ふと思いつくことがあった。


 もふもふがちょうどいい気分転換になったのかもしれない。


「どうかしたんですか、ゼノさん?」

「この間知り合った商人のフリージアさんっていただろ? 彼女に『ブルーオーブ』のことを聞いてみようかな」

「フリージアさんに……」

「確か、宝石も取り扱っている、って言ってたからな」

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