6 成長の証
「ゼノさん……」
「大丈夫だ。こいつは以前にも倒してるだろ?」
不安げなアリシアの頭をくしゃっとする俺。
「……ですね」
狐耳がぴょこんと跳ねた。
こんなときだけど、やっぱり可愛い。
「俺たちだって強くなってるんだ。リトルミノタウロスくらい、サクッと倒して――先に進むぞ」
「はい!」
「――さあ、以前より強くなったところを見せてやる」
俺は前に出た。
まあ、強くなったのは俺自身じゃなくて装備アイテムだけどな!
リトルミノタウロスがこちらに気づいたのか、向かってきた。
「来い、『双竜牙剣』」
俺は空中に呼びかけた。
異空間の収納エリアから、一本の剣が俺の手元に現れる。
【アイテム交換所】で魔石R5個を使って手に入れた魔剣『双竜牙剣』。
所持者の攻撃力とパワーを大幅に引き上げ、さらに炎や雷属性の追加ダメージを与えられる強力な剣だ。
ただし、こいつも『加速魔導装置』と同じくクールタイムが設定されているため、無制限には使えない。
きっちり使いどころを考え、強敵相手に使用するのがよさそうだ。
で、今がその強敵相手だと俺は判断する。
「いくぞ」
剣を手に、俺は進んだ。
ぐおおおおんっ。
リトルミノタウロスが雄たけびを上げて向かってくる。
以前は即死魔法効果がある矢を使って戦っていた。
だけど、あの矢は必ず即死魔法が発動するわけじゃないし、もし発動しなかった場合は、矢が一本無駄になる。
確実に倒せる武器で攻撃した方が、リスクは少ない。
「吠えろ、『双竜牙剣』!」
俺の声とともに刀身から炎が噴き出した。
ぐおうううっ!?
たまりかねたように後退するリトルミノタウロス。
俺はすかさず間合いを詰め、剣を振り下ろした。
一撃――。
リトルミノタウロスは頭から真っ二つになる。
「おお……思った以上にパワーがアップしてるな」
剣の効果で引き上げられた俺の腕力は、本職の戦士も顔負けのレベルだ。
炎を使えば遠距離の敵も攻撃できるし、間合いを詰めての斬撃は強力無比。
この剣は――使えるぞ!





