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発現!!

 俺こと狩野勇斗は途方に暮れていた。

 何故かって?そんなの国を追い出されたからに決まってんだろ!オッサンが帰ってからずっと門の前から一歩も動いてねーよ!どうすればいいの?ねぇ!俺はどうすればいいのッ!?


「取り敢えずここにいても仕方ないからオッサンが言ってた村でも目指すかな」


 それ以外俺の生き残れる道が無さそうだしな。

 ユウトは見渡す限りの草原をゆっくりと歩き始めた。


「ったく! 何で俺がこんな目に合わなきゃいけないんだよ。……これも全部あのクソ王女のせいだ!とは言えないよな。あの王女も俺に力が無かったから追い出したんだろうし。誰だって勇者の力だけが目当てだろうし……」


 でも、何で俺には力が無いんだ?歴代の勇者はみんな強力な魔法とスキルを持っていたって言うし……。俺も鑑定石では勇者って出てたのにな。

 だいたいあの鑑定は本当にあってんのか?何もかもが怪しく見えてきた。

 ユウトは後ろを振り返り小さくなったエンディミオン帝国を睨み付けた。睨み付けたかと思えば直ぐに前を向き、再び歩き始めた。


「あの国とはもう関わらない事にしよう。絶対に」


 エンディミオン帝国の事はもう良いとして、問題は無事に村まで辿り着けるかだ。ここも異世界だ、ラノベみたいにモンスターとかがいる可能性が高いはずだ。村に着くまでに遭遇する可能性も高い。幸い周りは開けているからモンスターの出現は遠目からでも分かる筈だ。まぁ倒せるかは別として逃げることぐらいは出来るだろう。……多分。


「はぁ……。俺に力がないかもう一回確認したい。やっぱりラノベとかだとこう言うとき"ステータス"とか言うと見れるは…ず?」


 ユウトがステータスと言うと、目の前に鑑定石で見たようなホログラムが写り出した。


「うわっ! まさか本当に出るとは。……え~と何々」



  ユウト・カノ 16才 Lv.1 追い出された勇者(笑)


 HP/100 MP/100


 魔法:無属性魔法Lv.1

 固有スキル:なし

 スキル:鑑定Lv.1



「あっれぇ? おかしぃなぁ? 少し前に見たときは勇者だったのにいつの間にか追い出された勇者(笑)になってるぅ。アハハ♪アハハ♪……誰だこのステータス書いた奴! 何が追い出された勇者(笑)じゃ! 絶対(笑)いらなかっただろ!」


 思いっきり地団駄を踏み悪態を吐く。

 ユウトは肩で息をしながらマジマジともう一度ステータスに目を通す。


「はぁ…はぁ…俺属性が無いんじゃなくて無の属性だったのかよ……。まぁ相変わらず固有スキルは無いままだけどな。でもスキルに鑑定があるな。ま、定番に鑑定は物とか相手のステータスを見れるってヤツだよなきっと」


 ユウトはその辺に落ちてあった石を適当に拾い、マジマジと見つめる。


「やっぱりスキル名を言えば発動するのか? まぁやってみれば分かるか。よし……【鑑定】」


 

  石


 ただの石。集めれば岩になるかも♪



 さっきと同じように目の前にホログラムが写り出した。


 ……本当に出来たのはいいんだが、この説明文絶対俺のステータスを書いた奴と同じだよな。この♪絶対いらないよな。


「まぁいいか。それより気になるのは無属性魔法の効果だよな。一体どんな能力なのやら」


 これってどうやって説明文が出るんだろ?鑑定すれば良いのか?


「う~ん。説明文出ろ!!」


 俺の掛け声とともに新しいホログラム?ウインドウが出てきた。


  

  無属性魔法


 私にもわかりませーん。使ってみて確かめてくださーい!!



 うざ!説明文なのに一切説明してねーじゃねーか!それで良いのかそれで!


「使ってみないと分からないって危なくねッ! まぁやらなきゃいけないからやるけどさ」


 いざ使おうとすると鼓動が早くなっていくのが分かる。お、俺の初めての魔法だ、どんなのだろう。


「ごくッ! 【無属性魔法】発動!」


 ユウトは右手を突きだし大声を出して魔法を発動させる。しかし、何も起こらない。ユウトは動かず、顔だけを赤くしていく。


 は、発動しねぇー!大声出したて右手突きだしたのにカッコ悪!何で発動しないんだよ。俺は少しずつ右手を元の位置まで戻した。

 すると、急激に体から力が抜け出した。


「な、なんだ! 急に体から力が……」


 ピロンッ!


 体から力が抜けたかと思ったらまた目の前に新しいホログラムが出てきた。それと同時に頭へ声と文字の様なものが流れてきた。


『画面をダップしてください。画面をタップしてください。画面をタップしてください。画面をタップしてください。画面をタップしてください。画面をタップしてください。画面をタップしてください。画面をタップしてください。画面をタップしてください。画面をタップしてください。画面をタップしてください。画面をタップしてください。画面をタップしてください。画面をタップしてください。画面をタップしてください。画面をタップしてください。画面をタップしてください。画面をタップしてください。画面をタップしてください。画面をタップしてください……』


「うるせぇー! 俺の中で画面がゲシュタルト崩壊するわ! 画面をタップってこれのことか?」


 新しい出てきたホログラムを見て俺は首を傾げた。……これってよくスマホのゲームであるガチャの画面だよな。……もしかして俺の魔法ってガチャ?さっき体の力が抜けたのもMPが減った感覚なら説明が出来るし、やっぱりそうなのかな?


「まぁどちらにせよタップしないと頭がどうにかなりそうだしな」


『画面をタップしてください。画面をタップしてください。画面をタップしてください。画面をタップしてください。画面をタップしてください。画面をタップしてください。画面をタップしてください。画面をタップしてください。画面をタップしてください。画面をタップしてください。画面をタップしてください。画面をタップしてください。画面をタップしてください。画面をタップしてください。画面をタップしてください』


「はいはいタップすりゃあいいんでしょ! はいポチッとな!」


 ユウトは画面をタップした。すると、画面が輝きだした。


「うッ! 目がぁ! 目がぁ!」


 定番の台詞を言い、目を押さえる。



 暫くして光が止んできた。


「一体何が…」


 目を開けると画面にはステータスが浮かび上がっていた。



  ベビードラゴン ★★★★ Lv.1


 HP/70 MP/70

 固有魔法:竜魔法Lv.1

 スキル:引っ掻きLv.1 飛行


 召喚:MP25 ???:MP?? ???:MP??……

 ユウトのモンスター



「は?」


 一体どういう…


『おめでとうございます!【固有スキルLv.1:配下能力拝借】が発現しました』

『おめでとうございます!魔法に【無属性魔法Lv.1・モンスター召喚】が加わりました』


 頭の中に機械的な声が流れてきた。


「……は?」


 その声に俺は唖然とするしかなかった。

総合評価よろしくお願いしました!!

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