似たようなこと
「施設の管理とは何の事だ?」
「地下の迷宮と呼んでいたものは実は楽園……日ノ下の国の偉大なお方が造った施設だそうで、孤児院を始めたときに一緒に造られたんだとか」
「それで?」
「その管理を代々この土地の責任者に任せられていたらしいのですが、二百年前のあの時かどうかはわかりませんが、いつからか放置されるようになったようで」
「何か資料のようなものは残っていなかったのか?」
管理というなら何か残っていてもいいような気もするが。
「資料は残らず、あるのは鍵のみでしたな。ですから調査などをしていたのです」
「鍵のみが残っていたのか?」
「二百年に奇跡によって元に戻った物は一部のみで、大半の書物や資料は無くなってしまったらしいですからのう」
それも神の怠惰か、それとも何か理由が有ったのだろうか?
「口で伝えられたりもしたのかもしれませんが、二百年の間に失われてしまったようですな」
「うーん、じゃあ学院長さんは悪く無いんじゃない?」
「そういうわけにはいきませんのう、自戒の意味も込めて今回の事は教訓にしなければならないでしょうな」
似たような事がもし有ったときのためか。私も色々と考えなければいけないな。
「……そういえば、ドアに張り付いている二人は入ってきてもいいんだぞ?」
ドアの方に声を掛けると、大きな音を立てて派手に転びながらファルナとマリーが雪崩れ込んできた。
「うわわっ!」
「きゃあっ!」
「いったぁ……」
「マリー、押さないでよ」
何をしているんだか。
「だ、大丈夫?」
「うん、平気」
「大丈夫よナコちゃん」
まったく。
「普通に入ってくればいいだろう」
「だって入ろうとしたら二人がどっか行っちゃうって聞こえてきて」
「尚更普通に入ってくればよかっただろう」
「だ、だって……」
「女王様もいたし……」
「女王の会話を盗み聞きとはな」
「う、打ち首!?」
「しないが」
やはり何故盗み聞きなどするのか謎だ。
「それで、二人がその日ノ下の国に行っちゃうって本当なの?」
「ああ、明日の朝に出発する」
「じゃあもうナコちゃんに会えなくなるということ?」
ファルナはとてつもなく落ち込んでいる。
「また来るよ」
うむ、用事が終わればまた来られるだろう。
「本当?」
「うん、絶対また一緒に勉強しようね」
「ナコちゃん……約束よ」
「うん!」
「そういうことだ、学院長。次に来たときもよろしく頼むぞ」
「いつでも大歓迎ですが、それまでには元の体に戻りたいですのう」
猫の髭を撫でながら学院長が言う。人が猫になる魔法を解くのはそれなりに難易度が高いだろう。
「ああ、応援している」
「別れの挨拶みたいのをしといてあれだけど、明日の朝出発ってことは午後は暇なんでしょ?」
「そうだが、どうかしたのか?」
「ならさ、街を観に行こうよ!」




