二人で一緒に
「わたしだって、変身すればシャロンと一緒に行けるよ」
「確かに変身すれば一緒に行けるだろうが、今回は大変だぞ?」
「それでも行きたい! ……邪魔になるならいいけど」
正直に言えば私一人の方が楽だが、邪魔と言うほどでは無い。
「わかった、二人で一緒に行こう」
「ありがとう、シャロン。わたし頑張るよ!」
「うらやましい……」
何か聞こえた気がしたが、聞こえなかったことに……。
「ファルナ、なんか言った?」
おっと。
「何でもないわ」
良かった……。
「じゃあ、行くよ! ウサギさんお願い、変身!」
前回と同じように光に包まれ、収まったときには衣装が変わっていた。制服はどこへ行ったのだろうか。
「な……な……ナコ……ちゃん?」
驚き過ぎのマリー。
「かわいい!」
すかさず抱き付くファルナ。結局か。
「あ、あの……ウサギさんのほうが、かわいい……よ?」
「あのね、ナコちゃん。ウサギさんとナコちゃんのかわいさは、別の物なの」
ファルナが何やら語り始めたぞ。
「えぇ……うそ……」
マリーはまだ驚いている。
「つまり、ナコちゃんは天使、これは運命、間違いないわ。おお神よ! 我が元に使いを……」
ファルナがナコに抱き付いたまま何やら神に感謝し始めたが、間違いでも無いだろう。天使の如き可愛さと言うのも、間違いでは……ない……。なんだか恥ずかしいような気がしてきた。無性に誰かに弁解したいような気もしてきた。何故だろうか?
「あー、ナコちゃんかわいいよー!!」
「って、ファルナ! またやってるの?」
マリーが元に戻ったようだ。この調子では日が暮れてしまいそうでだめだ。しっかりしなくては。
「はっ! ごめんなさい、ついナコちゃんがかわいすぎて」
「もう、邪魔にならないように早く帰ろうよ」
「そうね、もう少し見ていたいけれど夜にまた会いましょう」
「怪我とかしないように気を付けてね」
「うん、またあとでね」
行ったか……。
「それじゃあ、行こうか」
「う、うん……」
「なんだかもう疲れていないか?」
「大丈夫! シャロン、頑張ろうね」
「ああ」
ファルナとマリーのお陰かナコが明るくなったような気がする。私も少しは役に立てているだろうか。一緒にいられるだけで嬉しいが、ナコの役に立てていればさらに嬉しい。




