表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/20

喫茶店とか親御さんとかカオスの子はカオスとか


「ひっずむ、はい、あーん♡」

「歪くんてば、ほっぺにクリームついてますよ♡」

「歪、それ、一口ちょうだい♡ あー♡」

……さて。どうしたものか。っていうかどうしてこうなった。



「むきいいいいいいいい」

悔しそうにどこからともなく取り出した白いレースのハンカチを噛みしめる忌月三姉妹は、無力化のために親指くらいにミニマム魔法をかけられてちっこくされて、小瓶にそれぞれ別々に分けて入れられ、目の前のパフェと紅茶とイチャイチャを見せびらかされて目尻から深紅の涙を滝のように流している。


……こいつらやっぱコワイ。





あの怒涛のバトルが終わってから、牙との約束通り牙の家である喫茶店「ベアーズハート」へやって来た。


そして出迎えてくれた親父さんがおれたち(ていうかおれ)を見て一瞬凍りついたように見えた後、


「来てしまったのか……とうとうこの時が……飛んで火に入る悪い虫……牙はやらないお嫁になんかやらない牙はお父さんと結婚するってあーのーひあーのーときーあーのばーしょーでえええええ!!!!!」


と、満面の笑顔で両手を広げておれに一瞬で飛び込んできたのだ。

おお、なんかえらい歓迎されてる、と嬉しびっくりしたのもつかの間、目にも止まらぬ速さで厨房から飛び出してきた牙のお母さんと思しき金髪の女性が親父さんに追いつき、ヒュン、と追い越したかと思ったら、ふっとスピードを落として何事もなかったかのようにすたすたと歩いて、おれの手をすっと握りにきた。


「君が歪くんね? 娘からあなたの噂は365日24時間、60分あたり3600秒は聞いてるわどうぞよろしく♡」


「は、はあ。そんなにですか。て、照れるな」


ははは〜と和やかに頭をかいて談笑するおれの背中を、やじりと御影が「ふん!!」と渾身のブローでえぐらなかったら、ちょっとそのままもう5分は見つめてたい感じの、牙を大人っぽくして背徳感をも抱かせる感じのお母さんだった。


「どうぞゆっくりしていってね♡」

と、ぱっとお母さんはおれの手を離した。

「邪魔者は消しておいたから」

「邪魔者?」


突然の単語に、おれは無意識におうむ返した。


「ええ。ほら」

ひょい、と牙のお母さんがにっこりして振り返り、パチンと指を鳴らすと、それまでその場で先ほどの体制で静止していた親父さんが、なんとズズズゥウゥン、と崩れ落ちるように倒れた。



「おっとさん!?」

「あららあ。よっぽど疲れてたのねえ」

「もう、お父さんたらあ♪」

「え、ちょ」


「さささ、お席はこちらですよー♪」

「ね、いこいこ歪クン♪ 」

「え、ええ、ちょ、いいのかこれ!?」


「「いーのいーの♪」」




ガッチリと両側から固められて、奥の奥へと連れていかれる歪を見ながら、後ろの二人はゴクリと生唾を飲んでいた。


「親子揃って攻めにくるとはね……予想外だわ」

「敵は手強そうだね……」


ギリッと拳を握り、ちょっと遅れて後を追う二人を、牙のお母さんは視界の隅で値踏みするように捉えていた。


「んふふふぅぅぅぅぅ……♪」

「? どうしたの? お母さん?」


「んーん。ちょっと面白くなりそうだから」

くふふ、とものすごく悪い顔で笑う母親だが、牙は別段気にしていなかった。



「そーお? えへへ……そっかな」



アブナイお茶会編、スタートですw




続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ