184.生命探知
《オスカーSide》
ガンマと別れて、地下にとらわれてる捕虜の元へ向かうBチーム。
オスカーの肩には、リスのマリク隊長が乗っている。
「リヒターから地図が送られてきたぞ」
マリクをふくめ、今回作戦してる軍人達には、みな最新の通信用魔道具が支給されている。
リヒターのドローンから得た情報が、みなの視界に共有された。
地下の立体図に目を通す面々。
「問題はどこに捕虜がとらわれてるか……だね」
「ふふ、それは私に任せて」
衛生兵のリフィルがそういう。
彼女は魔族、サキュバスとしての力を解放する。
リフィルは懐から杖を取り出す、頭上に掲げる。
その瞬間、杖先を中心として、緑色の波動が広がっていった。
「アレはなにをしてるのかね?」
「生命を探知してるんだとさ」
オスカーの問いかけにマリクが答える。
「生命探知?」
「ああ。ああして魔力を薄くそばに、超音波のように広げて、周囲の生命を調べてるのださとさ」
コウモリやイルカと同様、音波を発し、ぶつかって帰ってきた波形から、位置を探る。
そのようなことを、リフィルがやっているのだ。
「すごい高度な技術だね」
「そうね……でも、魔族の力を解放しなかったら、できなかったわ」
リフィルにはトラウマがあり、魔族であることをずっと隠してきた。
でも……。
「この部隊に入って……ガンマちゃんと出会えて、変れたの」
ガンマとともに人外魔境へ行き、そこでの出来事を経て、リフィルは成長したのだ。
ガンマが軍に入ったことで、さまざまな良いことが起きてる。
彼がいなかったら、魔蟲根絶という大規模な作戦は実行できなかった。
すべて好転していた。あの狩人がこのチームに入ったおかげで。
「捕虜の位置は特定できたわ。みんなに共有する」
リヒターからもらった地図に、捕虜の位置が緑の点で映し出される。
点は地下のあちこちにあった。
よし、とマリクがうなずく。
「全員で固まって、一カ所ずつ回っていくぞ!」




