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【完結】S級パーティーから追放された狩人、実は世界最強 ~射程9999の男、帝国の狙撃手として無双する~  作者: 茨木野
第3章

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140.活


 魔蟲王の護衛軍が一人、剛剣のヴィクターとの再戦。

 メイベルがさらわれたことで集中力を斬らした俺。

 

 ヴィクターの一撃をもろにうけそうになった。

 そこへ、メイベルの姉……アイリス・アッカーマンが現れたのである。


「アイリス隊長……」


 黒い鎧を着込んだ、赤い髪の騎士。

 どこかメイベルに似た顔つきをしているが、姉である彼女のほうが、鋭い目つきをしてる。


「すみません……! 俺のせいで……メイベルが……」


 彼女が戦況をどこまで把握してるかわからない。

 だがこれだけは言っておかないといけない。


「メイベルが……さらわれました……」

「!」


 アイリス隊長の表情がさらに険しくなる。

 ……だが、彼女は目を閉じて息をする。

「ガンマ。今は戦いに集中しろ」

「し、しかし……」

「メイベルは、強い女だ。大丈夫だ」


 ……俺は見た。

 彼女の拳が、ぎゅーっと握りしめられてることに。


 俺の目は、たくさんの情報を見抜いてしまう。

 アイリス隊長が、本当はとても不安がっていることもわかる。


 それでも……彼女は隊長として、軍人としての責務を全うしようとしてる。

 つまり、敵をしりぞけ、帝国民たちを守るということ。


「…………」


 俺は……何やってるんだ。

 軍人になったんだぞ?


 もう自分ひとりのことだけを考える、狩人ではないんだ。

 しっかりしろ!


「……すみません。取り乱してました」


 すぅ……と視界が開ける。

 ヴィクターが俺を見て、少しだけ……ほんの少しだけ、笑った気がした。


「隊長。ここは俺に任せてください。蜻蛉の矢(ドローン・ショット)で追尾させてます」


 俺は魔法矢、蜻蛉の矢(ドローン・ショット)を使う。

 まわりに、魔法で作られたとんぼが発生。


 こいつがもう一個のとんぼの居場所を教えてくれる。


「任せて大丈夫なのだな?」

「はい!」


 アイリス隊長はうなずくと、とんぼの影の中に入り込む。

 彼女は、影呪法かげじゅほうといって、影を操るスキルを持っているのだ。

 とんぼが空をかける。

 影の中に入ったアイリス隊長は、そのままメイベルの追跡へとむかう。


「いかせて良いのか?」

「ああ……我は貴様の足止めさえできれば、それでいい」


 ヴィクターのやつ、俺が復活するまでの間、待っていやがった。

 アイリス隊長に攻撃することだって、できたろうに。


「礼は言わんぞ」

「無論。これは殺し合いだからな」


 俺は弓を構える。

 やつは剣を持ち直す。


 さっきまでとは違う。

 俺は冷静に、獲物を狩ることができる。

 ……ありがとうございます、アイリス隊長。

 心の中で感謝を述べて、俺は魔法矢を放った。

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