126.生誕祭スタート
訓練を終えて、いよいよ帝国では生誕祭が開かれることになった。
早朝。俺は帝城内の訓練所にひとりでいた。
「ふぅ……すぅ……」
俺の体の周りには黄金のオーラがまとわりついてる。
闘気とよばれる、自然エネルギーを体内に取り込んで、運動エネルギーに変える技術だ。
「フッ……!」
俺は地面を軽く蹴ると、遥か上空にいた。
闘気は身体能力を超向上させる。
飛び上がった俺は、錬金武装を展開。
通常の魔法矢を山なりに5連射。
次に、闘気を矢に込めて……。
「はぁ……!!!!」
超高速の一撃を放つ。それは5本の魔法矢を同時に貫いた。
空中での射撃をおこなったあと、くるんと回転して、着地する。
闘気で体を強化すると、空中で自在に矢が打てるようになった。
また、これを身につけたことで、今まで以上の俊敏さを身につけた。
「これなら……何がおきても、対処できるだろう」
戦闘面は、いいんだ。問題はそれ以外……メイベルとのこと。
彼女とはあれ以来、まともに会話できていない。
メイベルに避けられてる感があるんだよな。
「デートするっていったんだけど……どうなるんだろうか」
生誕祭デートのことだ。流れてない……とは思うんだけど。どうなることやら。
「…………」
懸念としては、リューウェンのことも気になる。
訓練で一緒になる機会が多かったのに、会うたびに彼の表情が、暗くなっていた。
俺の目には、体調不良であると写った。それと……なにか心にやましい思いがあるように、見えた。言いたいことがあるというか。
けれどいくら声をかけても、話してくれなかった。
「…………」
メイベル、そしてリューウェン。二つの懸念をかかえながら、俺は当日を迎えたのだった。
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