120.アカシア元隊長
俺がマリク隊長たちに連れてきてもらった地下のバーで出会ったのは、胡桃隊の元部隊長という女性だった。
「マリク隊長が、最初から隊長だったわけじゃないんですね」
俺たちはカウンター前に座っている。
アカシアさんはにこやかにうなずいて説明してくれた。
「元々あたしは皇女様のお世話係だったのさ。皇女さまが社交界デビューして、外に出る機会が多くなるタイミングで、私設部隊の案があがってね。あたしがメンツを集めたんだよ。マリクも、シャーロットも」
メイベル加入まで彼女は隊長であったらしい。ということは、マリク隊長は結構最近隊長になったのか。
「おれは副隊長兼メカニックって立場だったな。シャーロットはおれの補佐。銃を作れと命令してきたのはこのアカシアなんだよ」
「え! そうなんですか……」
アカシアさんがうなずいて言う。
「このエロリス手先が器用で、あといろいろ【妙な知識】持ってたんだ。その中のアイディアのひとつに、銃があってね。それ作れよって命令したの」
「妙な知識?」
隊長が酒を飲んで、「あーうめー」とほろ酔いになってる。……そういえば、俺、この人の出自についてあまり知らないな。てゆーか、しゃべるリスについて誰も突っ込まないし。
このアカシアさん、マリク隊長の昔を知ってるみたいだし、いろいろ聞いてみたいな。
※書籍版、1月28日発売です。予約開始されてます。もうちょっとで表紙とか出ると思います。




