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【書籍⑦巻&コミック①巻、12月発売】クソゲー悪役令嬢~滅亡ルートしかないクソゲーに転生したけど、絶対生き残ってやる!  作者: タカば
悪役令嬢は領地で暗躍する

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閑話:悪役令嬢はお風呂に入りたい・前編(リリアーナ視点)

「毎日お風呂に入りたい!」


 ハルバード城の執務室に集まった面々に向かって、私は主張した。


 補佐官フラン、帰省中の兄様、医局引継ぎ中のディッツ、書類整理中のジェイド、お茶をいれている途中のフィーアが、不思議そうに私を見る。


「入りたいなら……入ればいいんじゃないのか?」


 ややあって、兄様が言う。


 確かにそうだね!

 私はこのお城のお嬢様なわけだし?

 メイドに一言命令したら、あっという間に準備が始まって、一時間もすればお風呂に入れてもらえるだろう。

 でも、命令できるからといって、頻繁にやっていいものじゃない。


「お風呂の準備ってめちゃくちゃ重労働じゃない。毎日やらせてたら、メイドがかわいそうでしょ」


 日本とは風呂文化の違うこのハルバードでは、お風呂の準備は大量の湯沸かしから始まる。大型の竃を利用してはいるものの、何十リットルものお湯を沸かすのは大仕事だ。しかも、準備はそれだけで終わらない。ぐらぐらに沸いたそのお湯を、浴室まで運んで行って、浴槽に満たさなくちゃいけない。しかも放っておいたらすぐに冷めてしまうから、保温に気を付けながら急いで運ぶ必要がある。

 つまり、ものすごい重労働なんである。


「だったら、入らなければいいのでは……」


 フランが困惑気味に言う。


「運動の後は、汗を流したいの!」

「運動すんなっつー意見は野暮か。お嬢は白百合の娘だしなあ」


 ぽりぽり、とディッツが無精ひげの生えたアゴをかく。


「社交界に出たら、絶対ダンスを披露させられるに決まってるもの。今のうちに練習しておかないと」


 ダンスの天才である母様に勝てるとは思っていない。しかし、娘として恥ずかしくないレベルには踊れるようになっておかないといけない。そのためには、子供のころから地道に基礎を学んでおく必要がある。


「ダンサーを優雅に見せるのは、何曲踊っても息が切れない鋼の心肺能力と、ブレない体幹よ。毎日のランニングと筋トレが欠かせないのよ」


 そして、トレーニングの後には汗を流したい!

 汗くさい侯爵令嬢なんて絶対嫌だ!!


「で、どうしたいんだ? メイドに苦労させたくない、運動はしたい、ではただの我儘でしかないが」


 フランの言葉に私はうなずく。


「要は、メイドに苦労させずに、簡単に入れるお風呂があればいいのよ」

「なるほど、風呂を改善しろというわけか。それもずいぶんな我儘だが」

「ふっふっふ~、今回はちゃーんとアイデアがあるの。見て!」


 私は皆の前に一枚の絵を広げた。それを見て、ジェイドが首をかしげる。


「えええ……っと、お嬢様……人が、お鍋で煮られてる……?」

「近いわね」

「新手の拷問方法ですか……?」


 フィーアもネコミミをぴこぴこさせながら困惑顔だ。


「これがお風呂なの! えっと……この鍋っぽいのが、金属でできた浴槽。で、下に竃があって、炎で直接お湯を温めるのよ。それで、中に入る時には、直接熱があたらないよう、底板をしいてその上に乗るの」


 私が描いてみせたのは、いわゆる『五右衛門風呂』だ。社会科の教科書で昔ちらっと見たのを、記憶を頼りに書いてみた。猫の妖怪バスに乗ったりする映画では、女の子ひとりで五右衛門風呂をいれていた。多分、今のお風呂よりは楽に用意ができるはずだ。


「却下」


 しかし、私の補佐官は一言のもとに切り捨てた。


「なんでー!!!」

「この構造だと、今の浴室を改造するだけではすまない。少なくとも、城の一階部分に新たに浴室を作る必要がある」

「そ……それも……そうね……」


 台所や洗濯場など、大型の竃が必要な設備はだいたい1階にある。それはなぜか。上層階で火事が出たら大変なことになるからだ。


「仮に1階部分に浴室部屋を増設したとして、だ。こんな外部から接触しやすい構造の風呂に本気で入る気か? 不審者に侵入してください、と言わんばかりじゃないか」

「警備を強化……したら、本末転倒よね」


 メイドの仕事を減らして、警備兵の仕事を増やしたのでは、問題解決にならない。


「ううう……お風呂……」

「まあまあリリィ、来月にはメイドや下働きの数も増えるから」


 兄様はよしよし、と頭をなでてくれるけど、問題はそこじゃない。

 お風呂の準備が重労働、という点が解決しないと、気兼ねなくお風呂に入れない。


「……コストの低い浴室か」


 しばらく眉間に皺をよせて考え込んでいたフランがぽつりとつぶやく。


「何かアイデアがあるの?」

「そうだな……」


 フランは別の紙に何かを書き始めた。










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