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【書籍⑦巻&コミック①巻、12月発売】クソゲー悪役令嬢~滅亡ルートしかないクソゲーに転生したけど、絶対生き残ってやる!  作者: タカば
悪役令嬢は領地で暗躍する

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厄介な男

「あー! フランが椅子に座ってる!!」


 いつものようにディッツの離れを訪れた私は、中に入るなり声をあげてしまった。

 そこには、食事用のテーブルについているフランがいる。足元はまだ包帯が巻かれた状態だったけど、自然な様子で椅子に座っていた。


「賢者殿の治療のおかげで、足の骨がほぼ全て元の位置に戻ったからな。あとは、リハビリしながら完全にくっつくのを待つだけだそうだ」

「よかった! ずっと寝てるのってつらそうだったもんね」


 よしよし、椅子に座れるなら上半身は自由だな。

 こわばった筋肉をほぐすために、フランにも某国民的ラジオな体操をさせよう。あれは椅子に座っていてもできるから!

 多少見た目がマヌケだけど、気にしない!


「……リリィ、お前また何かたくらんでるだろう」

「いえー、なんにもー? それで、今は何をやってるの?」


 私はテーブルに近づいた。そこには書類が山積みになっている。

 んー? この数字一杯の書式は見覚えがあるぞー?

 もしかしなくても、この間まで私が半泣きで処理してた経理書類ちゃんたちじゃないかな?


「お前たちにただ匿われているのも悪いからな。今日からは、俺も汚職の証拠集めに参加する」

「本当に?! 助かる!」


 いやもうマジで心の底から感謝するわ!

 あの数字地獄は勘弁してもらいたいもん!


「俺を襲ったのも、ハルバード家に入り込んだのも、元をただせば同じアギト国の連中だ。まとめて地獄を見てもらおうじゃないか……」


 くっくっく、と黒い笑みをうかべるフランは、まるっきり悪の黒幕だ。やってることは、正義の味方のはずなのにおかしいなー。


「へえ……こんな風に分析してるんだ……」


 私はフランの描いた報告書に目を落とした。フランらしい、きっちりとした筆跡で、どこの数字がズレているのか、何が正しくて、どうおかしいのかが理詰めで書いてある。

 こわー。

 私がこんな報告書もらったら泣く自信あるわ。

 さすが王立学園主席卒業生。やることに隙がない。


「内容がわかるのか?」

「似たような書式をひたすら計算してたから、ざっくりはね。でも、こんな風に結論を導き出したりするのは無理かなあ」

「そうか。ではこれを頼む」


 感心している私の前に、どさりと書類の山が積まれた。その上にリリィちゃん愛用のそろばんが載せられている。


「んんん?」

「検算処理が必要な書類をまとめておいた。指定の紙に検算結果を記してくれるだけでいい」

「ちょっと待ってよ! 兄様から渡された書類の2倍くらいあるんだけど?」

「最終的にはその5倍くらい処理する必要がある。書類は厳選しているから、不必要な作業はさせないはずだ」

「証拠集めを手伝ってくれるんじゃなかったの? なんで私の仕事が増えてるのよ!」


 私は怒鳴りつけるけど、フランは全く動じない。


「適材適所の結果だな。お前は機械的に計算する係。俺はお前の計算結果を分析する係。お前たちが、電撃治療係と記録係を分担していたのと一緒だ」

「ちょ……もしかして、無理やり雷魔法使ったの、根に持ってる?」

「いやあ? 必要な治療だったと納得してるぞ? おかげさまで、こんなに早く椅子に座れるようになったんだからな」


 じゃあその邪悪な笑みは何なのさ!

 目がぜんっぜん笑ってないじゃん!


「それでどうする? お前がさぼれば、その分執事が逃げおおせる可能性が増えるだけだが」


 最近わかったことがある。

 兄様は飴と鞭を使い分けてうまく人を使うタイプだ。それに対して、フランは理詰めで退路を塞ぎ、やらざるを得ない状況を作り出すタイプだ。

 つまり、どっちも厄介で面倒くさくて困った奴らだ!


 やればいいんでしょう、やれば!


「ううう……やっと数字から解放されると思ったのになー」


 私は諦めてフランの向かいに座った。

 逃げたところで状況は変わらない。こういう面倒な作業は、さっさとやっつけるに限る。


「いい子だ」

「ふぁっ」


 フランの手が私の頭をなでた。

 だから! なでる時は一言予告しなさいよ!

 びっくりして手元狂うから!!


「お、お嬢様……っ!」


 計算に集中しようとしたところで、離れに新たな人物がやってきた。


「ジェイド、どうしたの?」

「お城に、変な人たちが入ってきた」


 ジェイドの報告に、わたし達は顔を見合わせた。




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