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【書籍⑦巻&コミック①巻、12月発売】クソゲー悪役令嬢~滅亡ルートしかないクソゲーに転生したけど、絶対生き残ってやる!  作者: タカば
悪役令嬢は領地で暗躍する

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閑話:少女の異常な感情(フランドール視点)

「リリアーナはおかしい」


 俺がそうつぶやくと、見舞いに来ていたアルヴィン、手当をしていた賢者殿、薬の調合をしていたジェイド、つまり離れにいた人物全員が俺を見た。

 俺が名前を出した少女自身はダンスのレッスンだとかで現在席を外している。

 ……だからこそ、口にしたのだが。



「彼女は、ハルバードで育った箱入り娘のはずだろう。それなのに、あの知識量に、状況分析力。あまりにも知りすぎている。何か特殊な情報源を持っているとしか思えない」


特に、俺の家庭の事情については、正確に把握しすぎていて恐ろしいくらいだ。


「妹がおかしいといえば……まあ、そうなんですが」

「お前は何とも思わなかったのか?」


 アルヴィンは、額に手を当てた。突然襲って来た頭痛を耐えるような、苦しげな表情だ。


「妹に関しては、生まれた直後からろくなことがありませんでしたから、深く考えたことがありませんでした」

「考えられないほどおかしいのか」


 そういえば、監督生として学園で面倒を見ていた時も、頻繁に妹に関する悩みを口にしていたな。その時は、ワガママだとか思慮が浅いとか、もっと別のことで腹をたてていたようだったが。


「去年のお茶会で大失敗したあとに反省したとかで、浪費や癇癪は少なくなりましたが……それでも、何かというと突然理解不能な主張を始めるので、もう、妹というものはそういう存在なのかな、と」

「俺も姉はいるが、たぶんリリアーナのあれは規格外だ」

「ですよね……まあ、何があっても家族ですし、今はちょっと諦めてます」


 ふう、とアルヴィンは疲れたような顔になる。


「賢者殿はどう思う。あなたは、薬師として多くの人と交流してきただろう。あの言動は異常だと思わなかったのか?」

「まあ……お嬢はなあ……」

「最初っから、変でした、からねえ……」


 師弟は顔を見合わせる。


「どこの世界に、家庭教師雇うのに国宝級の虹瑪瑙を出してくる令嬢がいるかっての」

「えっ、あの虹瑪瑙のペンダント、賢者殿にあげてしまったんですか?」

「すいません、若様。あれはもう諦めてください。弟子の薬に消えてしまいました」

「ああ……そういう事情なら返せとは言わないが……」


 くすくす、とジェイドが笑う。


「まさか、こんなところでいきなり、虹瑪瑙が手に入るなんて思わなかったよね」

「ザムドの野郎が握ってんのを、ヨダレたらしながら見てたのが、馬鹿みてえだよなー」

「ふたりは、突然そんなものを出してきたリリィを見て、おかしいとは思わなかったのか?」

「だから言ってるでしょう。変だとは思ったって」

「でも、ボクも師匠も、お嬢様がどうして変なのかは、どうでもいいので」


 ふたりは、きっぱりと言い切った。


「お嬢は虹瑪瑙ひとつで俺の命を買った。そしてこいつが生き残った。その事実だけあれば、後はいいんですよ。

 なんで虹瑪瑙が必要だって知ってたか、どうして俺たちにそこまで執着するのか、どうして雷魔法の使い方を知っていたか、そんなことに興味はありません。ただ、お嬢がお嬢のやりたいように、生きていく手助けができればそれでいい」


 それは、忠誠心と言うにはあまりに純粋な感情だった。彼らはその言葉の通り、リリアーナに命を捧げているのだ。


「で? フランドール様はどうされるおつもりで?」


 今度は、逆に問いが投げかけられた。


「あなたのおっしゃる通り、お嬢は変ですよ。ですが、そうなった原因は、お嬢の抱える秘密にあります。あなたは、その秘密に触れてどうするおつもりなんですか」


 いつもの飄々とした笑顔を浮かべつつも、こちらを見つめる賢者殿の目は、笑っていなかった。その隣に立つ弟子もまた、強い目でこちらを見ている。

 主人の秘密に、軽々しく触れることは許さない。

 それは彼女の心に傷をつける行為だから。


 触れるのであれば、相応の覚悟をしろ。


「……結論はまだ出ていない」


 俺は、軽く息を吸い込むと背筋を正した。彼らの目をまっすぐ見る。


「だが、軽率なことはしない、とだけは誓おう」

「ありがとうございます、フランドール様が思慮深い方でよかった」


 賢者殿は目はそのままに、にっこりと笑った。


 やはり、リリアーナはおかしい。

 こんな連中を侍らせておいて、無邪気に生きていられるのだから。

 俺は彼女の秘密に向き合うと同時に、彼らにも向き合わないといけないらしい。





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― 新着の感想 ―
フランドールもその変なファミリーに取り込まれることはほぼ確ですねw
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