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【書籍⑦巻&コミック①巻、12月発売】クソゲー悪役令嬢~滅亡ルートしかないクソゲーに転生したけど、絶対生き残ってやる!  作者: タカば
悪役令嬢は婚約を破棄したい

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白銀の鎧

 管制室正面の窓に、ハーティアの地図が表示された。全体図の上に赤い点がいくつか記されている。何を示す印なんだろう。


「こちらの赤い点が、現在白銀の鎧が格納されている場所です」

「え。全部乙女の心臓に収められてるんじゃないの?」

「リスク分散と権威付けのため、それぞれの領主居城の地下に封印したのですよ」

「なるほど……?」


 言われてみれば、赤い点はどれも領主の館を示している。


「ハルバードに、クレイモア、モーニングスター、カトラス、ランス……あれ? 王都にふたつ赤い点があるのはなぜ?」

「建国王の搭乗機ソーディアンと、宰相のミセリコルデですね。このふたつだけは、この乙女の心臓の中にあります」

「魔の森にもひとつ点があるぞ。これっていいのか?」


 ヴァンの指摘に、ディーがひょいと眉をあげる。


「それはダガーの機体ですね。初代当主が土地を管理する領主になることを拒んだため、人の手が及ばない魔の森の地下に封印したのです」

「あ~……だから今、魔の森が侵略されてるのか……」


 ジェイドが死霊術師になる未来を変えても、魔の森がアンデッドパラダイスになったのは、きっとこれが原因だ。ダガーの末裔が白銀の鎧を手に入れられないよう、わざと魔物だらけにしているのだ。

 地図を見ていたヴァンがにやっと笑った。


「リスク分散っつー作戦は大当たりだな。『クレイモア』が居城にあるなら話は早い」

「どうして? 私たちはここにいるんだぞ?」


 きょとんとしている婚約者に、くすくす笑う。


「じいさんもクレイモアの『末裔』のひとりだろ。封印を解いて、じいさん自身に操縦させればいい」

「なるほど、その手があったか!」

「……それだけでは、不十分かもしれません」


 ヴァンたちの話を聞いていたディーが首をかしげた。


「さきほど、もちおから情報を共有し、戦況を分析しました。敵の数が多すぎるため、『クレイモア』一機では押し負ける可能性があります」

「まじかよ」


 明るい笑顔から一転、ヴァンの顔が不機嫌そうに歪む。


「この『乙女の心臓』に格納されている『ソーディアン』の使用を提案します。ヴァン様……正確にはクリスティーヌ様ならば、操縦は可能かと」

「ああ、俺も乗れるんだったか」

「ソーディアンには音速飛行機能があります。一時間もあれば、戦場に降り立つことが可能でしょう」

「それでいくか」

「お待ちください」


 すぐにでも出ていきそうなヴァンを、宰相閣下が止めた。


「ヴァン様が実は王家の血筋であることは国家機密です。あなたがソーディアンを操っていると知られれば、秘密が明るみに出てしまいます」

「秘密だなんだと言ってられる状況じゃないだろ」

「しかし……」


 ふむ、とディーが首をかしげた。


「ではクリス様に同乗していただきましょう。白銀の鎧はすべて『複座』となっており、副操縦士が、主操縦士のサポートをする仕様となっています」


 地図の横に、小さく鎧のイメージ画像が表示される。お腹のハッチをあけると、中には確かに縦に並んでふたつ座席が設置されているのが見えた。


「メイン操縦士を表向きクリス様とし、婚約者をひとり戦場に向かわせるわけにはいかないのでヴァン様も同乗している、とすれば対外的なつじつまはあうと思います」

「宰相、これでいいか?」

「問題ないと思います」


 宰相閣下が静かにうなずく。

 上位互換AIすごい。口を開くたびに問題が解決していく。


「ではソーディアンの発進作業を開始します。アルタイル、ヴァン様とクリス様を格納庫にご案内しなさい」


 こくりとうなずいて、赤いリボンのユキヒョウがふたりを促した。彼らが部屋から出て行こうとした瞬間、ケヴィンがふと声をあげる。


「ランスの表示、おかしくない?」


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