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【書籍⑦巻&コミック①巻、12月発売】クソゲー悪役令嬢~滅亡ルートしかないクソゲーに転生したけど、絶対生き残ってやる!  作者: タカば
悪役令嬢は婚約を破棄したい

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新証拠

「しらじらしい。私が怪しいとはっきり言えばいいでしょう」


 不機嫌を隠そうともせず、王妃が言い放った。宰相閣下はわざとたっぷり間をあけて首をかしげる。


「おや、心当たりがおありで?」

「名指しで出席要請しておいて、いまさらとぼけないで」


 宰相閣下を睨んだあと、王妃はぷい、と横を向いた。


「でも、答えはノーよ。私はローゼリアの素性は知らなかった。偽の推薦状を渡されて、騙されて雇い入れただけ! あの女が王女殺害だなんて、大それたことを計画してたなんて、予想もしてなかったわ」

「……それが、あなたの主張ですね」

「違うというなら、証拠を出してちょうだい」


 疑惑には証拠を。

 王妃は宰相に当然の主張を叩きつけた。その声に迷いはない。

 なぜなら、前回の審議の途中で証拠の多くが失われてしまったからだ。


「ローゼリアを見逃したらしい官吏は証言することなく、謁見の間で血を吐いて死んだわ。彼女を王宮に推薦した書類も燃えてしまった。推薦者として名前のあったランス伯も、病で亡くなったわ。これ以上どこに証拠があるというの」


 消えた証拠を並べながら、王妃は勝ち誇る。それでも宰相閣下は揺るがなかった。


「証拠ならあります」


 なぜなら、私の用意した証拠を信じているから。


「他ならない、ローゼリア自身の証言が」

「は……?」


 自分に命がけの忠誠を誓っていたローゼリアが裏切るとは思ってなかったんだろう。王妃の顔が疑念に歪んだ。


「あの娘が証言を翻したの?」


 宰相閣下は首を振った。


「いいえ。ローゼリアは現在も牢の中で、単独犯だと主張しています」

「それじゃ意味がないじゃない。先に言っておくけれど、牢で作られた証言書は、証拠として認めないわよ。いくらでも捏造できるもの」

「私が提出するのは、過去のローゼリアの発言ですが、証言書などではありませんよ。リリアーナ嬢、お願いできますか」

「はい」


 宰相閣下に声をかけられて、私は前に出た。

 謁見の間に集まった貴族たちの視線が、今度は私に集中する。私は、淑女らしく丁寧にお辞儀をした。


「ハルバード侯爵が娘、リリアーナです。事件当日の様子を皆さまにお伝えするために、参りました。セシリア、フィーア、例のものをお願い」

「かしこまりました」


 私が命じると、侍女役ふたりが動き用意してあった機材をセッティングした。三メートル四方はあろうかという巨大な布地が天井から吊るされる。カンバス地で作られたそれには、模様も何もない。ただただ白い生地だけが広がっている。

 突然始まった奇妙なパフォーマンスだけど、貴族たちはじっと黙って成り行きを見ている。私に文句をつけたくてたまらないはずの王妃もだ。

 ハルバード家が次から次へと、今まで想像もしなかった発明品を作り出しているからだろう。

 私はあらかじめ謁見の間に設置しておいた小さな箱の隣に立つ。


「まず、新たな魔道具を紹介させてください。こちらの大きなレンズのついた箱は『プロジェクター』という名の投影機です」


 私はプロジェクターのスイッチを入れた。大きなスクリーンに、四角く光があてられる。軽く指を振ってスマートグラスごしに命令を出すと、四角い光は王城の景色に切り替わった。


「なんと精密な風景画だ……」

「まるで景色を切り取ったかのようだ」

「あれを描いたのはどこの画家だ?」


 ざわざわと、出席者たちの間でどよめきが起きる。ちらりと見ると、国王陛下やオリヴァー王子も表情を硬くしてスクリーンに見入っていた。


「……このように、あらかじめ用意した映像を布地に投影して見せることができます」

「それが証拠なの?」


 王妃の言葉に私も首を振る。


「いいえ、これは国王陛下が証拠をご覧になりやすいように、と持ち込んだディスプレイにすぎません。本当に重要なのはこちら、今私がかけている眼鏡になります」

「……眼鏡、が?」

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