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【書籍⑦巻&コミック①巻、12月発売】クソゲー悪役令嬢~滅亡ルートしかないクソゲーに転生したけど、絶対生き残ってやる!  作者: タカば
悪役令嬢は婚約を破棄したい

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ランス城(フランドール視点)

「ジェイド、始めてくれ」

「はい」


 スマートグラスをかけ直すと、ジェイドは空中で軽く指を振る仕草をした。ノートパソコンの表示が切り替わり、ランス城近くの風景が映し出される。景色はすぐに移動を始めた。


「これが、使い魔の見ている景色……」


 興味深そうに、アルヴィンとグラストンがモニターを見つめた。


「あまり集中して見つめないほうがいい。気持ち悪くなるぞ」

「おっと、そうなんですね」


 アルヴィンが軽く身を引く。


「体が動いてもいないのに、見ている景色だけ動くからな。馬車酔いと同じことが起きるらしい」

「ああ、確かにそういう感覚ですね」


 しかも馬車と違って、ドローンは上下左右を滑らかに移動する。感覚の鋭いクリス殿下などは、一目見ただけでめまいを起こしたらしい。

 アルヴィンたちにいきなりスマートグラスを配らず、わざわざモニターを使って見せたのも、画面酔いの適正を見るためだ。

 今のところ、画面ごしに見るぶんには問題ないらしい。

 ふたりともドローンが高度をあげて堀と塀を越えていく様子を、冷静に見つめている。


「このまま北東側から侵入します」

「あ、ちょっと待ってください」


 ドローンが城内に入ろうとしたところで、グラストンがジェイドに声をかけた。


「見えにくいですが、城壁の内側に見張りが配置されているはずです。少し迂回して、やや北寄りで入ったほうが見つからないと思います」

「わかりました」


 ジェイドがまた指を振るのにあわせて、ドローンが方向を変える。見張りを避けて、ドローンは無事城内に侵入した。見張りを避けながら、中庭を進んでいく。


「思ったより人影が少ないですね」

「千人以上の兵士が詰めているのだから、城内は活気づいていると思ったんだが」


 城内を行き交う人間の姿はまばらだ。

 籠城戦に参加した兵が想定より少なかった。それだけなら、ただの喜ばしい情報だが。


「それにしても静かすぎる。もちお、音声は拾えるか」

『かしこまりました』


 ノートパソコンのモニターに、ひょこ、と丸々太った白猫が現れたかと思うと、うやうやしくお辞儀をした。


「ねこ……?」


 もちおに一度も接したことがないグラストンが、怪訝そうに首をかしげた。無理もない。

 殺伐とした戦場のど真ん中で、いきなり愛玩動物が現れるとは誰も思わない。


「あれは女神の超技術を管理するAI……まあ、操作をサポートする妖精のようなものだと思っておけばいい。従順で便利だ」

「女神様は、ずいぶんとかわいらしい妖精をお作りになったんですね」


 実をいうと、あの猫のデザインを採用したのはリリィで、しかも前世で親族が飼っていた猫がモデルだったらしいのだが。ここでその説明をしても混乱するだけなので、俺は口をつぐむことにした。

 あの猫が女神の産物であることに変わりはない。


『こちらでいかがでしょうか』


 ノートパソコンからかすかな音が響いてきた。風の音らしい、サー……という音が続いている。


「音が小さいな」

『申し訳ありません。音の元データには、ローターの回転音が多く含まれています。現在のマシンスペックではノイズの除去処理を行っても、この程度が限界となります』

「そうか、実際にはマイクの傍で常にローターが回っている状況なのか」


 白い猫は申し訳なさそうにうなずく。ずっと操作に集中していたジェイドが顔をあげた。


「位置的な問題もありますね。兵たちに気づかれないよう、少し距離をとって飛んでいますから」

「会話の音声を拾うのは難しそうだな」

「……でも」


 グラストンがぽつりとつぶやく。


「それでも静かすぎます。いつもなら、この時間は多くの兵や使用人が立ち働いていて、それなりに騒がしいはずなんです。でも、そんな気配がいっさいない」

「異常事態ではあるのか」


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