断罪劇
「王妃の断罪ね。でもそれって、一度やろうとして中断してるわよね」
私は大法廷の様子を思い返す。
宰相閣下は、証拠と承認を使って王妃をあと一歩のところまで追いつめた。しかし、トドメを刺す直前に、証拠を消されてしまった。
ヘルムートの独立宣言というとんでもない事件のせいでうやむやになってしまったけど、あのまま裁判を続けていて、王妃を断罪できていたか、わからない。
「あの時の争点は何だったっけ」
ケヴィンに問われて、私はさらに記憶を掘り返す。
「確か、暗殺者ローゼリアと王妃の関係だったわ。王妃が、彼女を処刑されたマクガイアの娘と知って、雇い入れたかどうか」
「本来連座で罪に問われるべき逆賊の家族を素性を隠して王宮にいれた。その結果恨みを持ち続けたローゼリアが王女殺害未遂を起こしてしまった。立派な失脚の理由になるね」
「でも証言する前に調査官は毒殺されて、ローゼリアを王妃に紹介した推薦書も燃やされてしまったわ。物証が全部ないの」
これが現代日本だったら、証拠は厳重に保管しつつコピーを提出するとか、事前に鑑定書を作っておくとか、証言を録音しておくとか、いろいろ証拠を保護する方法があったんだろう。しかし、ここは残念ながら科学が未発達なファンタジー世界だ。現物を燃やされてしまったらどうにもならない。
「他にいい証拠はないかなあ……うーん……」
「あ、あのっ……他の証拠はないんでしょうか」
「他?」
セシリアが、遠慮がちに提案してきた。私が首をかしげると、小さな拳を握りながら、必死に説明をしてくれる。
「道具の開発をしていると、時々設計につまずくことがあるんです。そんな時は、一方向だけで考えずに、別の方向から考えることにしていて」
「他の証拠……視点を変える、って話ね」
議論に行き詰った時に有効な考え方だ。
でも、変えたところでうまくいくかな?
この世界の行政は基本密室だ。監視カメラも作業記録もないから、あとでどうとでも誤魔化せてしまう。サインを使ってかろうじて筆跡鑑定くらいだ。現代に比べて圧倒的に痕跡が残らない。
「でも他にそんなもの……」
「あ、新しい証拠、とか」
「新しいもなにも、ローゼリアが王宮に入ったのは何年も前よ。その時点の痕跡しか……あれ?」
「リリィ様?」
私はぱっと顔をあげた。
「あるかも、新しい証拠」
「本気で言ってる?」
ヴァンやケヴィンも目を丸くする。彼らが見守るなか、私はポケットからスマホを取り出した。手元に残っている記録を確認してみる。
……可能性は、ゼロじゃない。
私はさらに、メッセージアプリを起動した。協力者に連絡を取るためだ。
横から宛先名を確認したヴァンが首をかしげる。
「宰相? フランじゃねえのか」
「城攻めやってる相手にこれ以上仕事は振れないでしょ。それに、これは宰相閣下の領分だわ」
話しながら、文章を作成していく。
直接通話したいところだけど、相手は激務の宰相閣下だ。メッセージだけ送っておいて、折り返し連絡を受けたほうがいいだろう。
「王宮の大法廷をやり直しさせるわ」
今度こそ王妃を失脚させてやる!!
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